インシデントレポート収集の目的で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
インシデントレポートは、実際に医療事故には至らなかったものの、一歩間違えば事故になりかねなかった出来事(ヒヤリハット)を報告する制度です。その最大の目的は、これらの情報を組織全体で共有し、潜在的なリスク要因を特定・分析することで、将来的な医療事故の発生を未然に防ぐための具体的な改善策を検討し、実施することにあります。責任追及や罰則を目的とするものではなく、あくまで医療安全体制の強化と質向上に資するものです。
選択肢ごとの解説
- 1. インシデントレポートの主目的は、責任追及や処罰ではなく、今後の事故防止に役立てることです。正しくは:再発防止のためのシステム改善に役立てること。選びやすい理由:重大なインシデントが発生した場合、責任の所在が気になるのは自然な反応ですが、レポート収集の第一目的ではありません。混同注意:事故調査と責任追及が混同されやすいですが、インシデントレポートは予防が主眼です。
- 2. インシデントレポートは内部改善が主目的であり、監督官庁への報告は必ずしもすべてのインシデントレポートの直接的な目的ではありません。特定の重大事故の場合は報告義務が生じますが、一般的なインシデントレポート収集の目的ではありません。正しくは:医療事故発生防止策を検討すること。選びやすい理由:医療事故の中には監督官庁への報告義務があるものも存在するため、関連性が高いと誤解しやすいです。混同注意:医療事故報告制度とインシデントレポート収集の目的が混同されやすいです。
- 3. 正解。インシデントレポートは、実際に事故には至らなかったものの、発生する可能性のあった事象(ヒヤリハット)を報告することで、その原因を分析し、同様の事態やさらに深刻な事故が再発しないように予防策を講じるための重要な情報源となります。これは医療安全管理の根幹をなす活動です。正しくは:選択肢は正しい内容のため、修正の必要はありません。選びやすい理由:この選択肢は、インシデントレポートの最も本質的な目的を明確に述べています。混同注意:誤った選択肢が責任追及や報告義務など、インシデントに関連するが主目的ではない事柄を述べているため、正しい目的を見極める必要があります。
- 4. インシデントの原因究明と対策検討は、多職種連携で行われるべきであり、施設管理者が単独で行うものではありません。また、目的は『検討』自体に留まらず、具体的な『防止策の実施』が最終的な目標です。正しくは:多職種協働で医療事故発生防止策を検討し、実施すること。選びやすい理由:施設管理者は医療安全において重要な役割を担うため、解決策の立案に深く関与するのは事実ですが、『単独で』行うことや『検討すること』自体が目的ではありません。混同注意:管理者の役割の重要性と、医療安全における多職種連携の必要性が混同されやすいです。
- 5. インシデントの原因検討は、当事者だけでなく、医療安全管理者、関連部署のスタッフ、必要に応じて外部の専門家など、多角的な視点から行われるべきです。当事者間のみでは客観性や網羅性に欠け、真の原因究明や効果的な再発防止策の立案が難しい場合があります。正しくは:当事者からの報告に基づき、多職種連携でインシデントの原因を客観的に検討すること。選びやすい理由:当事者が最も詳しく状況を知っているため、当事者間の検討が重要だと考えがちですが、それだけでは不十分です。混同注意:原因究明における当事者の役割の重要性と、客観性・多角性を確保するための組織的アプローチの必要性が混同されやすいです。
国試ポイント
医療安全管理におけるインシデントレポートの意義と目的は、国家試験で頻繁に問われる基本的な知識です。特に、『責任追及ではなく再発防止が主目的である』という点を理解しているかが試されます。また、多職種連携や組織的な取り組みの重要性も関連して問われることがあります。
混同注意
インシデントレポートの目的と、医療事故が起きた際の責任問題や、特定の重大事故における監督官庁への報告義務が混同されやすいです。インシデントレポートは予防的・学習的側面が強いのに対し、責任問題や報告義務は結果に対する対応という側面の比重が大きいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、インシデントレポートが『誰のため』『何のため』に利用される情報なのか、その本質を問う選択肢に注目すると良いでしょう。特に、個人への責任追及や単発的な問題解決ではなく、組織全体のシステム改善と再発防止に焦点を当てた選択肢が正答となる可能性が高いです。また、報告されたインシデント情報をどのように活用して改善に繋げるかのプロセスに関する問題も想定されます。
関連知識
医療安全管理体制、ヒヤリハット報告、医療事故調査制度、リスクマネジメント、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)による継続的改善、多職種連携。