転倒予防を目的とした理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
選択肢2の「認知機能の低下は、転倒リスクに関連する」は、認知機能の低下が注意力や判断力の低下を引き起こし、転倒リスクを高めるため正しいです。選択肢3の「静的バランスから動的バランスを段階的に練習する」は、運動療法の原則に基づき、安全かつ効果的な機能向上のための段階的なアプローチとして適切であるため正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 転倒高リスク群では、身体機能の低下により動作に時間がかかるため、TUGの所要時間は長くなります。正しくは:転倒高リスク群では、TUGの所要時間が長くなります。選びやすい理由:TUGが転倒リスク評価に用いられるため、なんとなく正しいと感じるかもしれませんが、結果の解釈を誤っています。混同注意:TUGの評価指標そのものと、その結果が示すリスクレベルの関連性。
- 2. 正解。認知機能の低下は、注意散漫、危険察知能力の低下、判断力の低下などを引き起こし、転倒のリスクを高める主要な要因の一つです。混同注意:認知機能と身体機能の関連性を軽視する傾向。
- 3. 正解。理学療法の原則として、運動負荷は段階的に増やすことが基本です。まずは安定した状況での静的バランスを確立し、次に不安定な状況や動作中の動的バランスへと進めることで、安全かつ効果的に機能向上を図れます。混同注意:いきなり高負荷な運動から始めるべきだと誤解すること。
- 4. バランス練習の主な目的は転倒リスクの軽減であり、そのために安定性、姿勢制御、反応速度などを向上させることです。歩行速度の向上も重要ですが、それが「最優先」というわけではありません。安定性を犠牲にして速度を上げると、かえって転倒リスクが増す可能性もあります。正しくは:バランス練習では、安定性の向上や姿勢制御能力の改善など、転倒リスク軽減に関わる様々な要素を総合的に考慮して目標設定します。選びやすい理由:歩行速度の低下が転倒リスクに関連するため、速度向上も重要な目標だと考えてしまいがちですが、「最優先」という表現が誤りです。混同注意:バランス能力向上の目的と、その具体的な練習目標の優先順位。
- 5. バランス制御に最も重要な感覚情報は、固有受容覚(深部感覚)、視覚、前庭覚の3つです。温痛覚は皮膚感覚の一部であり、危険回避には重要ですが、バランス制御そのものにおいて「最も重要」ではありません。正しくは:バランス制御に関わる感覚機能の評価では、固有受容覚、視覚、前庭覚が特に重要です。選びやすい理由:末梢神経障害などで温痛覚が障害されると転倒リスクが上がるため、重要だと感じやすいですが、「最も」という比較表現が誤りです。混同注意:様々な感覚機能と、それぞれのバランス制御における役割の相対的な重要性。
国試ポイント
転倒予防に関する基礎知識、特に転倒リスク因子、評価指標の解釈、理学療法介入の原則(段階的負荷)、およびバランスに関わる感覚の種類と重要性について問われています。具体的な知識だけでなく、優先順位や程度を表す表現(「最も」「最優先」など)にも注意が必要です。
混同注意
転倒リスク因子の多因子性、評価指標の解釈の方向性(短い/長いがどちらがリスク高いか)、理学療法の段階的アプローチの原則、バランスに関わる主要な感覚の区別。
次に同じ論点が出たら
TUGなど評価尺度の結果解釈(数値とリスクの関連性)、転倒予防のための多面的アプローチ(運動、環境調整、薬剤調整など)、バランス訓練の具体的な方法論(難易度調整、プログレッション)、バランスに関わる感覚器の解剖生理学。
関連知識
転倒リスク評価バッテリー(TUG, FRT, Berg Balance Scaleなど)、転倒のintrinsic/extrinsic factor、理学療法における運動処方の原則(漸進性負荷の原則)、バランス制御に関わる感覚システム(視覚、前庭覚、体性感覚)。