非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉の副作用で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害することで、炎症や痛みの原因となるプロスタグランジン(PG)の産生を抑制します。しかし、PGには胃粘膜保護作用や腎血流維持作用など、生体の恒常性維持に重要な役割を果たすものもあります。これらのPGの合成が阻害されることで、胃粘膜の防御機能が低下し胃潰瘍や消化管出血のリスクが高まること、また腎血流が低下し腎機能障害を引き起こすことがあるのが、NSAIDsの主要な副作用です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。NSAIDsはプロスタグランジン合成を阻害することで炎症や痛みを抑えますが、このプロスタグランジンには胃粘膜を保護する作用もあります。そのため、プロスタグランジンの合成が抑制されると胃酸分泌が増加し、胃粘膜が傷つきやすくなり、胃潰瘍や消化管出血を引き起こすリスクが高まります。
- 2. 骨粗鬆症はNSAIDsの直接的な副作用ではありません。これは主に副腎皮質ステロイドの長期的な使用によって引き起こされる代表的な副作用の一つです。正しくは:骨粗鬆症は、副腎皮質ステロイドの長期使用によって引き起こされる主な副作用の一つである。選びやすい理由:「ステロイド」という言葉から、NSAIDsと副腎皮質ステロイドを混同し、関連付ける可能性がある。混同注意:副腎皮質ステロイド(糖質コルチコイド)の副作用と混同しやすい。
- 3. 多幸感はNSAIDsの一般的な副作用ではありません。多幸感は特定の向精神薬や一部の薬物乱用、あるいは副腎皮質ステロイドの服用によって生じることがあります。正しくは:多幸感は、特定の向精神薬や薬物乱用、または副腎皮質ステロイドの服用によって見られることがある。選びやすい理由:薬の副作用には精神神経症状も含まれることがあるため、可能性として考えてしまうかもしれない。混同注意:精神作用を持つ他の薬物や、副腎皮質ステロイドの副作用と混同しやすい。
- 4. 中心性肥満はNSAIDsの副作用ではありません。これはクッシング症候群や副腎皮質ステロイドの長期的な服用に特徴的に見られる副作用です。正しくは:中心性肥満は、副腎皮質ステロイドの長期使用によって引き起こされる主な副作用の一つである。選びやすい理由:「肥満」という言葉から、代謝系の副作用として考える可能性がある。また、副腎皮質ステロイドの副作用と混同しやすい。混同注意:副腎皮質ステロイド(糖質コルチコイド)の副作用と混同しやすい。
- 5. 低血糖はNSAIDsの一般的な副作用ではありません。NSAIDsが直接的に低血糖を引き起こすことは稀ですが、糖尿病治療薬(例:スルホニル尿素薬)と併用した場合に、その薬の血糖降下作用を増強し、結果として低血糖を誘発する可能性はあります。正しくは:低血糖は糖尿病治療薬の副作用や、一部の薬物相互作用によって引き起こされることがある。選びやすい理由:薬によっては血糖値に影響を与えるものもあるため、可能性として考えてしまうかもしれない。混同注意:糖尿病治療薬(インスリンや経口血糖降下薬)の副作用や、薬物相互作用によるものと混同しやすい。
国試ポイント
NSAIDsは理学療法士が関わる患者さんが日常的に服用する機会の多い薬剤であるため、その主要な副作用(特に消化器系、腎臓系)は基礎薬理学として必ず理解しておくべき点です。また、選択肢には副腎皮質ステロイドの副作用が複数含まれており、これらの薬剤の副作用の違いを正確に区別できるかどうかが問われる典型的な問題形式です。
混同注意
副腎皮質ステロイドの副作用(例:骨粗鬆症、中心性肥満、ムーンフェイス、高血糖、易感染性など)とNSAIDsの副作用を混同しやすい。「ステロイド」という名称の類似性から誤解が生じやすいですが、作用機序も副作用プロファイルも大きく異なるため、それぞれを明確に区別して理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
NSAIDsの副作用を問われた場合、まず消化器系(胃潰瘍、消化管出血)、腎臓系(腎機能障害)、アスピリン喘息の3つを優先的に想起できるかを確認します。次に、副腎皮質ステロイドの副作用との明確な区別ができているか、特に長期服用時の副作用の違いを理解できているかを判断基準とします。
関連知識
NSAIDsにはアスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど多種多様な薬剤があり、シクロオキシゲナーゼ(COX)-1とCOX-2の選択性によって副作用プロファイルが多少異なります(例:COX-2選択的阻害薬は消化器系副作用が少ない傾向がありますが、心血管系リスクが指摘されることがあります)。消化器系、腎臓系の副作用の他に、アスピリン喘息、肝機能障害、皮膚症状なども重要な副作用として認識しておく必要があります。