62歳の男性。Parkinson病。起立と歩行は可能であるが、歩行中の方向転換時には不安定となり転倒しそうになる。姿勢反射障害もみられる。独居で日常生活はほぼ自立しているが、通院には介助が必要である。この患者のHoehn&Yahrの重症度分類ステージはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
本症例では、パーキンソン病患者が「まっすぐ立つことや歩くことはできるが、歩行中に方向を変えようとするとふらつき、転びそうになる」「バランスを崩した時に体を立て直す姿勢反射の障害も認められる」とあります。これは、日常生活動作(ADL)はほぼ自立しているものの、姿勢反射障害によるバランスの問題が顕著で、転倒のリスクがある状態を示しており、Hoehn&Yahr分類のステージⅢに合致します。ステージⅢは、中等度の症状があり、体幹のバランス障害や姿勢反射障害が出現し、転倒しやすくなるが、歩行は自立している段階です。
選択肢ごとの解説
- 1. ステージⅠは、症状が一側性のみで、姿勢反射障害はない状態を指します。本症例は両側性の症状(歩行中のふらつき、転びそうになること)と姿勢反射障害を認めるため、該当しません。正しくは:ステージⅠは、一側性症状のみで、姿勢反射障害がない段階である。選びやすい理由:症状が比較的軽度に見える場合、このステージを選びたくなるかもしれないが、姿勢反射障害の有無が重要な鑑別点となる。混同注意:症状が軽度な初期段階全般。
- 2. ステージⅡは、症状が両側性になりますが、姿勢反射障害はまだ認められない状態を指します。本症例は「バランスを崩した時に体を立て直す姿勢反射の障害も認められます」と明記されているため、ステージⅡには該当しません。正しくは:ステージⅡは、両側性症状を認めるが、姿勢反射障害はまだない段階である。選びやすい理由:日常生活動作がほぼ自分で行えるという点から、中等度より軽度と判断しがちだが、姿勢反射障害の有無が重要なポイント。混同注意:ADLが比較的自立しているが、両側性症状が出現している段階。
- 3. 正解。本症例は「まっすぐ立つことや歩くことはできますが、歩行中に方向を変えようとするとふらつき、転びそうになることがあります。また、バランスを崩した時に体を立て直す姿勢反射の障害も認められます。」とあり、日常生活動作はほぼ自立しているものの、姿勢反射障害によるバランスの問題が顕著で転倒のリスクがある状態です。これはHoehn&Yahr分類のステージⅢの定義(中等度の症状があり、体幹のバランス障害や姿勢反射障害が出現し、転倒しやすくなるが、歩行は自立している)に完全に合致します。
- 4. ステージⅣは、重度の症状を認め、日常生活動作(ADL)に著しい障害があり、歩行は可能でも介助が必要になる段階を指します。本症例は「普段の生活動作はほぼ自分で行えます」とあり、重度のADL障害があるわけではないため、該当しません。正しくは:ステージⅣは、重度のADL障害があり、介助なしには歩行が困難な段階である。選びやすい理由:転びそうになるという症状から重度と判断しがちだが、ADLの自立度を考慮すると過大評価となる。混同注意:転倒リスクが高い状態全般。
- 5. ステージⅤは、車椅子生活または寝たきりとなり、常に介助を必要とする末期状態を指します。本症例は「普段の生活動作はほぼ自分で行えます」とあり、明らかにこれには該当しません。正しくは:ステージⅤは、車椅子または寝たきりで、常に介助を必要とする段階である。選びやすい理由:最も重度の状態として、誤って選択することはないと思われる。混同注意:パーキンソン病の末期状態。
国試ポイント
Hoehn&Yahr分類の各ステージにおけるパーキンソン病の主要症状と日常生活への影響を正確に理解し、臨床症例に適用できるか。
混同注意
Hoehn&Yahr分類とUPDRS (Unified Parkinson's Disease Rating Scale) は混同しやすいが、Hoehn&Yahr分類は疾患の重症度を大まかに示すのに対し、UPDRSは運動症状、非運動症状、ADLなどをより詳細に評価するスケールである点で区別される。また、各ステージの症状の境界が曖昧なため、特にステージIIとIII、IIIとIVの区別で迷いやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、症例の「姿勢反射障害の有無」「日常生活動作(特に歩行能力)の自立度や介助の必要性」「一側性か両側性か」の3点を中心に確認し、Hoehn&Yahr分類の定義と照合して判断する。
関連知識
Hoehn&Yahr分類の各ステージの定義(Ⅰ:一側性症状のみ、Ⅱ:両側性症状、姿勢反射障害なし、Ⅲ:両側性症状、姿勢反射障害あり、軽度~中等度のADL障害、Ⅳ:重度のADL障害、介助なしには歩行困難、Ⅴ:車椅子または寝たきり)。治療法(L-DOPA製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬など)と、その進行に応じた治療調整。理学療法、作業療法、言語聴覚療法などのリハビリテーションの重要性。