大動脈解離の続発症で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
大動脈解離は、大動脈壁の剥離によって大動脈から分岐する血管の血流障害や大動脈自体の破裂を引き起こし、様々な重篤な合併症を生じさせます。選択肢1の腎不全、2の脳梗塞、3の脊髄障害、5の心タンポナーデはいずれも大動脈解離の合併症として知られています。これに対し、選択肢4の三尖弁閉鎖不全は右心系の弁疾患であり、大動脈解離との直接的な関連性は通常ありません。大動脈解離が弁膜症を合併する場合、それは主に大動脈弁閉鎖不全です。
選択肢ごとの解説
- 1. 大動脈解離が腎動脈の血流を阻害すると、腎臓への血流が不足し、急性腎不全を引き起こすことがあります。これは大動脈解離の既知の合併症です。正しくは:この選択肢は、大動脈解離の合併症として正しい内容を述べています。選びやすい理由:大動脈解離は広範囲の血管に影響を及ぼすため、腎臓のような主要臓器への影響は容易に想像でき、正しい合併症として認識されやすいです。混同注意:他の血管性腎障害や慢性腎臓病の原因と混同されることがあります。
- 2. 大動脈解離が脳へ血液を送る主要な血管(頸動脈や椎骨動脈など)の血流を妨げたり、解離した部位から血栓が飛んで脳血管を閉塞させたりすることで、脳梗塞が生じる可能性があります。これは大動脈解離の合併症として知られています。正しくは:この選択肢は、大動脈解離の合併症として正しい内容を述べています。選びやすい理由:動脈系の疾患であるため、脳への血流障害による脳梗塞との関連性は比較的理解しやすく、正しい合併症として選ばれやすいでしょう。混同注意:脳出血や一過性脳虚血発作、他の心原性脳塞栓症などと混同されることがあります。
- 3. 大動脈解離が脊髄に血液を供給する動脈(特に大動脈から分岐するアダムキュービッツ動脈など)の血流を遮断すると、脊髄虚血が発生し、麻痺などの脊髄障害を引き起こすことがあります。これは大動脈解離の合併症として重要です。正しくは:この選択肢は、大動脈解離の合併症として正しい内容を述べています。選びやすい理由:大動脈と脊髄は解剖学的に近く、大動脈の病変が脊髄に影響を与える可能性は理解されやすいため、正しい合併症として判断されがちです。混同注意:末梢神経障害やギラン・バレー症候群などの他の神経疾患と混同されることがあります。
- 4. 正解。三尖弁は右心房と右心室の間にある弁で、右心系に属します。大動脈解離は主に左心室から出た大動脈の病変であり、直接的に三尖弁の機能不全を引き起こすことは通常ありません。大動脈解離が原因となる弁膜症は、解離が弁輪に及んだ場合の大動脈弁閉鎖不全です。正しくは:三尖弁閉鎖不全は大動脈解離の直接的な合併症ではありません。大動脈解離が引き起こす可能性のある弁膜症は、大動脈弁閉鎖不全です。選びやすい理由:心臓に関連する症状であるため、漠然と「心臓の病気だからあり得る」と誤解されやすいです。また、大動脈弁閉鎖不全と混同されやすい点も誤答を誘引します。混同注意:大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全といった他の心臓弁膜症。
- 5. 大動脈解離が心膜腔へ破裂することで、心臓の周りに血液が貯留し、心臓が外部から圧迫されて拍動できなくなる心タンポナーデを引き起こすことがあります。これは大動脈解離の最も重篤で致死的な合併症の一つです。正しくは:この選択肢は、大動脈解離の合併症として正しい内容を述べています。選びやすい理由:大動脈解離の緊急性を象徴するような、非常に危険な合併症としてよく知られているため、正しいと判断されやすいです。混同注意:心筋炎、心膜炎、心不全など他の心臓疾患に伴う症状と混同されることがあります。
国試ポイント
大動脈解離の多岐にわたる合併症に関する知識が問われています。特に、どの臓器がどのように影響を受けるのか、また直接的な関連がある合併症とそうでないものを区別できるかが重要です。
混同注意
大動脈解離の合併症として、他の心臓弁膜症(特に大動脈弁閉鎖不全)と三尖弁閉鎖不全を混同しやすい点が挙げられます。また、循環器系の様々な疾患の合併症が多岐にわたるため、個々の疾患と合併症の因果関係を正確に理解していないと迷いやすいでしょう。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、大動脈解離のStanford分類(A型、B型)とそれに応じた合併症の違い、あるいは解離の部位と関連する臓器虚血についてより具体的に問われる可能性があります。また、治療法とその合併症、予後についても確認しておくべきです。
関連知識
大動脈の解剖と生理、各臓器への血流支配、心臓弁膜症の種類と原因、虚血性疾患の病態生理、心タンポナーデの機序、大動脈解離のStanford分類(A型、B型)とそれに応じた合併症の違い。