67歳の男性。両下肢に脊髄後索性運動失調がみられる。座位で図のように床に記された複数の足形に対し、目で確認しながら自身の足を移動するよう指示した。この運動はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Frenkel体操は、脊髄後索障害による運動失調(感覚性失調)の患者に対して、視覚、聴覚、触覚などの感覚情報を利用して運動の正確性、協調性、平衡機能を向上させることを目的とした訓練法です。設問にある「目で確認しながら」「床に記された足形に対し自身の足を移動する」という状況は、視覚フィードバックを用いた協調運動訓練であるFrenkel体操の典型的な実践方法に合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. Böhler体操は主に脊椎圧迫骨折後の体幹の安定化と疼痛軽減を目的とした体操であり、運動失調の改善を直接の目的とはしません。正しくは:この体操は運動失調に対する協調運動訓練ではありません。選びやすい理由:体幹や脊椎に関連するリハビリテーションの一種であるため、一般知識として知っていると選択肢に入りやすいかもしれません。混同注意:脊椎疾患の患者に対して行われる他の体操(例: Williams体操など)と混同することがあります。
- 2. Buerger-Allen体操は、末梢動脈疾患患者の血行改善を目的とした運動療法で、臥位での挙上、座位での下垂、水平位での休憩というサイクルを繰り返します。運動失調の改善とは関連がありません。正しくは:この体操は運動失調の協調運動訓練ではありません。選びやすい理由:循環器系のリハビリとして知られているため、一般的な運動療法の一つとして知っていると候補になりえます。混同注意:他の循環器系疾患に対する運動療法や、四肢の血流改善を目的とした他の手技(例: ホットパック、フットバスなど)と混同することがあります。
- 3. 正解。Frenkel体操は、脊髄後索性運動失調(感覚性失調)の患者に対して、視覚フィードバックを活用し、協調性、平衡感覚、正確な運動を改善することを目的とした運動療法です。床に描かれた足形に合わせて足を動かすことは、この体操の典型的な内容です。
- 4. McKenzie体操は、主に腰痛や頚部痛などの脊椎疾患に対して行われる自己運動療法で、特定の方向への繰り返し運動を通じて症状の改善を目指します。運動失調の改善を目的としたものではありません。正しくは:この体操は運動失調に対する協調運動訓練ではありません。選びやすい理由:脊椎疾患に対する非常に有名な体操であるため、脊髄後索性運動失調という脊髄に関連する疾患名から連想してしまいやすいかもしれません。混同注意:脊椎疾患に対する他の運動療法(例: Williams体操、腰痛体操全般)と混同することがあります。
- 5. Williams体操は、主に腰椎前弯の軽減と体幹屈筋群の強化を目的とした腰痛体操です。運動失調の改善を直接の目的とはしません。正しくは:この体操は運動失調に対する協調運動訓練ではありません。選びやすい理由:腰痛体操として非常に有名であるため、Böhler体操やMcKenzie体操と同様に、脊髄後索性運動失調という脊髄に関連する疾患名から選択肢として魅力的に映る可能性があります。混同注意:他の腰痛体操や体幹安定化体操と混同することがあります。
国試ポイント
理学療法士国家試験では、特定の疾患や病態に対する代表的な運動療法や体操の種類、その目的、具体的な方法を正確に理解しているかが頻繁に問われます。特に、運動失調のタイプ(小脳性か感覚性か)と、それに対する適切な訓練法の選択は重要なポイントです。Frenkel体操は感覚性失調の代表的な訓練であり、その特徴的な方法を具体的なシナリオとして提示することで、知識の応用力を試す問題形式となっています。
混同注意
各選択肢の体操の目的や対象疾患が異なっているため、それぞれの体操の特徴を曖昧に覚えていると混同しやすいです。特に、Böhler体操、McKenzie体操、Williams体操はすべて脊椎に関連する疾患で用いられるため、脊髄後索性運動失調という「脊髄」というキーワードからこれらの体操を選んでしまう可能性があります。Frenkel体操が「運動失調」に特化した体操であることを明確に理解している必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、運動失調の種類(小脳性か感覚性か)が明記されているか、またはその症状から判断できるかが重要になります。また、提示される具体的な訓練内容が、視覚や聴覚フィードバックを重視しているか、反復運動やリズム運動を重視しているかなど、失調の種類に合わせた訓練原則と合致しているかを確認します。例えば、小脳性失調に対する運動療法(例: 代償運動、抑制と促通を組み合わせた運動など)が選択肢に含まれる可能性も考慮し、それぞれの特徴を比較できる知識が必要です。
関連知識
運動失調の種類(小脳性失調、感覚性失調)とその原因・症状の違い。それぞれの失調に対する評価方法と訓練アプローチ(例: 小脳性失調に対する訓練)。Frenkel体操の具体的な内容(座位、立位、歩行訓練における様々なバリエーション)。各選択肢に挙げられている体操(Böhler体操、Buerger-Allen体操、McKenzie体操、Williams体操)の対象疾患、目的、具体的な方法。