呼吸の生理で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
呼吸商(RQ: Respiratory Quotient)は、単位時間あたりの二酸化炭素排出量(VCO2)と酸素摂取量(VO2)の比率(RQ = VCO2 / VO2)として定義されます。この比率は、体内でどの栄養素が主にエネルギー源として利用されているかを示す指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 横隔神経は横隔膜を支配し、その活動電位は吸気時に横隔膜を収縮させ、吸気を引き起こします。呼気は安静時には受動的な運動です。正しくは:横隔神経の活動電位は吸気時に発生します。選びやすい理由:呼吸運動に関わる神経なので、呼気にも関与すると誤解しやすい。混同注意:吸気と呼気のメカニズム、特に安静時呼吸と努力呼吸の違い。
- 2. 迷走神経(副交感神経)の刺激は、気管支平滑筋を収縮させ、気道の内腔を狭めます。これにより気道抵抗は増加します。正しくは:迷走神経が活発になると、気道の抵抗は増加します。選びやすい理由:自律神経の作用について、交感神経との対比が曖昧だと迷いやすい。混同注意:迷走神経の他の臓器への作用(心拍数低下など)と気道への作用。
- 3. 肺コンプライアンス(肺の膨らみやすさ)が増加すると、肺はより大きく膨らみ、弾性収縮力が低下します。これにより呼気時に肺から空気が排出されにくくなり、機能的残気量は増加する傾向にあります(例:肺気腫)。正しくは:肺コンプライアンスが高まると、機能的残気量は多くなります。選びやすい理由:コンプライアンス増加が良いことのように感じられ、残気量が減る方向に作用すると考えがち。混同注意:コンプライアンスの意味、肺容積と関連する病態(肺線維症と肺気腫)。
- 4. pHが上昇する(アルカリ性になる)と、ヘモグロビンと酸素の結合力は強まります(ボーア効果の逆)。つまり、酸素はヘモグロビンから分離しにくくなります。正しくは:pHが上昇すると、酸素はヘモグロビンから分離しにくくなります。選びやすい理由:ボーア効果の方向を逆に捉えたり、pHと酸素解離曲線との関係を混同したりしやすい。混同注意:ボーア効果(pH低下・CO2増加で解離促進)とpH上昇時の関係。
- 5. 正解。呼吸商 (RQ) は、体内で産生された二酸化炭素量と消費された酸素量の比率(CO2産生量 / O2消費量)と定義され、主に栄養素の利用状態を反映します。この選択肢の記述は呼吸商の正確な定義です。選びやすい理由:定義を正確に覚えていないと、他の選択肢も正しいように見えてしまう。混同注意:呼吸商と換気効率など、呼吸関連の他の指標。
国試ポイント
本問題は、呼吸生理学の基礎的な知識、特に神経支配、気道抵抗、肺の力学的特性、酸素運搬、そして呼吸代謝に関する正確な定義を問うものです。各選択肢が異なる重要な生理学的事項に触れており、広範な知識が求められます。
混同注意
特にボーア効果(pHと酸素解離曲線)、自律神経の気道への作用(交感神経と副交感神経)、そして肺コンプライアンスと肺気量の関係は、混同しやすいポイントです。定義やメカニズムを正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点に関して次に問われるとしたら、各選択肢の具体的な疾患との関連(例:肺気腫とコンプライアンス、喘息と気道抵抗、COPD患者の呼吸商)、またはボーア効果以外の酸素解離曲線のシフト要因(温度、2,3-BPGなど)が考えられます。
関連知識
吸気筋と呼気筋、肺気量・肺換気量、ガス交換の原理、酸塩基平衡、自律神経系の機能、主要な栄養素の呼吸商(糖質は約1.0、脂質は約0.7、タンパク質は約0.8)。