各臓器と血流量の局所性調節の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肺循環は全身循環とは異なり、低酸素に対して血管収縮するという特殊な局所性調節を行います。これは、換気の悪い肺胞領域への血流を減らし、換気の良い領域へ血流を再分配することで、換気血流比を最適化し、血液の酸素化効率を高めるための重要な生理学的適応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 骨格筋において、乳酸の蓄積は血管を収縮させるのではなく、むしろ拡張させる作用があります。これは運動時の血流増加(機能性充血、active hyperemia)を促すための生体反応です。正しくは:骨格筋では、乳酸が増加すると血管が拡張する。選びやすい理由:一般的に、異常な物質の蓄積は体に悪影響を及ぼすというイメージから、血管収縮という悪い結果を連想しやすいかもしれません。しかし、これは生体内の適応反応です。混同注意:血管収縮を引き起こす他の因子や、乳酸が酸性物質であることと血管収縮を結びつけて考えてしまう可能性があります。
- 2. 心臓の冠細動脈は、低酸素状態になると収縮するのではなく、むしろ拡張して血流を増やし、心筋への酸素供給を確保しようとします。正しくは:心臓では、低酸素状態になると冠細動脈が拡張する。選びやすい理由:肺血管と混同しやすいかもしれません。また、低酸素が体に悪いというイメージから、血管収縮というネガティブな反応を連想しやすい可能性があります。混同注意:肺血管の低酸素性血管収縮(Pulmonary hypoxic vasoconstriction)と混同しやすいです。全身の多くの組織では低酸素で血管拡張が起こりますが、肺は例外です。
- 3. 脳では、二酸化炭素分圧が上昇すると脳細動脈は収縮するのではなく、拡張して脳血流を増加させます。これは、脳の代謝産物である二酸化炭素の排出を促進し、脳組織のpHを正常に保つための重要な調節機構です。正しくは:脳では、二酸化炭素分圧が上昇すると細動脈が拡張する。選びやすい理由:全身性血管反応や、二酸化炭素の過剰が体に悪いというイメージから収縮を連想しやすいかもしれません。混同注意:脳の血流調節において、二酸化炭素以外の因子(例えば酸素分圧低下)による影響と混同する可能性があります。
- 4. 正解。肺の血管(肺細動脈)は、全身の他の臓器とは異なり、低酸素状態に陥ると収縮する特徴的な反応を示します。この「低酸素性肺血管収縮」は、換気の悪い肺領域への血流を減少させ、換気の良い領域へ血流を再分配することで、血液の酸素化効率を向上させるための重要な適応機構です。
- 5. 皮膚の細動脈は主に交感神経によって支配されており、交感神経が亢進すると血管は収縮するのが一般的です。これは体温調節において熱放散を抑制するために重要です。正しくは:皮膚では、交感神経の活動が活発になると細動脈が収縮する。選びやすい理由:運動時など、熱放散のために皮膚血管が拡張することもあるため、混乱しやすいかもしれません。しかし、これは特殊なケース(アセチルコリン作動性交感神経による拡張)や、他の調節機構の結果である場合が多いです。一般的な交感神経興奮は収縮作用です。混同注意:発汗や運動による熱放散時の皮膚血管拡張と、一般的な交感神経の直接的な作用を混同する可能性があります。皮膚血管の交感神経にはアドレナリン作動性(収縮)とコリン作動性(拡張)がありますが、基礎的な調節は収縮が基本です。
国試ポイント
この問題は、各臓器における血流の局所的調節機構、特に代謝産物や酸素・二酸化炭素濃度、自律神経系が血管に与える影響について問われています。臓器によって反応が異なる点(特に肺の特殊性)が重要であり、基本的な生理学的知識の理解が求められます。
混同注意
全身のほとんどの臓器では低酸素で血管が拡張するのに対し、肺は収縮するという例外的な反応を示します。また、交感神経刺激が必ずしも血管収縮を意味しないケース(例えば発汗時の皮膚血管)や、代謝産物が血管収縮を引き起こすという誤解も混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各選択肢の臓器と因子が「血管を拡張させるか収縮させるか」の基本的な生理反応を正確に判断することが重要です。特に、肺循環が低酸素に対して全身循環とは逆の反応を示す点や、脳のCO2反応、骨格筋の代謝産物に対する反応など、各臓器の特異性を意識して判断します。
関連知識
血流の局所的調節には、代謝性調節(酸素分圧、二酸化炭素分圧、乳酸、アデノシンなど)、血管内皮細胞由来因子(NO、エンドセリン)、筋原性調節(自動調節能)、そして自律神経による調節などがあります。特に脳、心臓、骨格筋、肺、皮膚におけるこれらの調節の特性を理解することが重要です。