見捨てられ不安を特徴とするのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
境界性パーソナリティ障害の診断基準には「見捨てられることを避けるためのなりふり構わない努力(実際のものか想像上のものであるかを問わない)」が含まれており、この不安が症状の中心的な要素となります。感情の不安定さ、衝動性、自己同一性の混乱、不安定な対人関係といった他の特徴も、この見捨てられ不安と密接に関連しています。
選択肢ごとの解説
- 1. この障害を持つ人は過度な依存心から見捨てられることを恐れますが、特徴としては『一人で意思決定ができない』や『他者に面倒を見てもらいたい』といった受動的な行動が前面に出ます。見捨てられ不安も抱えますが、境界性パーソナリティ障害ほど自己同一性の混乱や衝動性が強くありません。正しくは:この障害は、他者への過度な依存、一人でいられないこと、重要な決定を他者に委ねることを特徴とします。選びやすい理由:見捨てられることへの恐怖という点では共通しますが、その表現や背景にあるメカニズムが異なります。依存性パーソナリティ障害の不安は、自己の無力感から他者にしがみつく形をとります。混同注意:境界性パーソナリティ障害と見捨てられ不安を持つ点で混同しやすいですが、感情の不安定さや衝動性、自己同一性の混乱といった他の主要な特徴が異なります。
- 2. この障害の主要な特徴は、他者の注目を集めるための過度な感情表現や行動であり、自己中心性が見られます。見捨てられ不安が前面に出ることは通常ありません。正しくは:この障害は、注目の的になろうとする過度な感情表現、誘惑的な行動、自己劇化を特徴とします。選びやすい理由:周囲の関心を引こうとすることで、結果的に他者からの見捨てられ感を回避しようとしていると解釈できるかもしれませんが、直接的な「見捨てられ不安」を主症状とはしません。混同注意:自己愛性パーソナリティ障害と、他者の注目を求める点で混同しやすいですが、自己愛性パーソナリティ障害は賞賛を要求するのに対し、演技性パーソナリティ障害は注目そのものを求めます。
- 3. この障害の人は、批判や拒絶を恐れて社会的な交流を避ける傾向にありますが、見捨てられることそのものよりも、傷つくことへの恐怖が強いです。関係を持たないことで見捨てられるリスクを最初から避けます。正しくは:この障害は、批判や拒絶に対する過敏さ、不十分さの感情、社会的な抑制のために人間関係を避けることを特徴とします。選びやすい理由:人間関係において不安を抱えるという点では共通しますが、回避性パーソナリティ障害は関係を築くことを最初から避ける傾向が強く、見捨てられ不安とは異なるメカニズムです。混同注意:社交不安症と似ていますが、回避性パーソナリティ障害はより広範で持続的な対人関係の回避と自己評価の低さを含みます。
- 4. 正解。境界性パーソナリティ障害は、対人関係、自己像、感情の不安定さに加え、著しい衝動性を特徴とします。特に『見捨てられ不安』が非常に強く、それを回避するために極端な行動(例:自傷行為、自殺企図)や、理想化とこき下ろしの両極端な対人関係パターンを示しやすいです。
- 5. この障害の人は、誇大性、賞賛への欲求、共感性の欠如を特徴とします。見捨てられることへの恐怖は直接的な症状ではなく、むしろ自己の特別さや優越性を疑われることへの脆弱性があります。正しくは:この障害は、誇大な自己評価、賞賛への絶え間ない欲求、他者への共感性の欠如を特徴とします。選びやすい理由:他者からの評価に敏感であるという点では共通しますが、自己愛性パーソナリティ障害は賞賛を求めるのに対し、境界性パーソナリティ障害は見捨てられないことを切望します。混同注意:演技性パーソナリティ障害と、注目を求める点で混同しやすいですが、自己愛性パーソナリティ障害は賞賛と優越性を求めるのに対し、演技性パーソナリティ障害は注目そのものを求めます。
国試ポイント
パーソナリティ障害の各類型の主要な特徴、特にDSM-5などの診断基準における核となる症状を正確に理解しているかが問われます。単なる暗記ではなく、各障害の病態生理や行動パターンを結びつけて覚えることが重要です。
混同注意
各パーソナリティ障害は部分的に類似した症状を示すことがありますが、特に見捨てられ不安という点で依存性パーソナリティ障害と混同しやすいです。しかし、依存性パーソナリティ障害の不安は自己の無力感に基づく受動的な依存であり、境界性パーソナリティ障害の不安は感情の激しい変動や衝動的行動を伴う能動的な見捨てられ回避行動につながります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、パーソナリティ障害の各類型における診断基準の中核症状、特に他の障害と区別するキーポイントを把握できているかが重要です。また、治療法や合併症についても問われる可能性があります。
関連知識
パーソナリティ障害はクラスターA(奇妙で風変わり)、B(劇的で感情的で気まぐれ)、C(不安で恐れやすい)に分類されます。境界性パーソナリティ障害はクラスターBに属し、感情の不安定さ、衝動性、対人関係の激しい変動が特徴です。治療には弁証法的行動療法(DBT)が有効とされています。