20歳の男性。肩関節の痛を訴えている。図に示した状態から手背を腰部から離すように指示したところ、離すことができなかった。 筋力低下が疑われるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
20歳の男性が肩関節の痛みを訴えており、図のように手背を腰部に当てた状態から、手背を腰部から離すように指示されても離すことができなかったとあります。この動作は「Lift-off sign」または「Gerber test」と呼ばれ、肩関節の内旋筋力、特に肩甲下筋の機能を評価するテストです。肩甲下筋は、棘下筋、棘上筋、小円筋とともに回旋筋腱板を構成し、肩関節の内旋作用を担っています。このテストが陽性である場合、肩甲下筋の筋力低下が強く疑われます。
選択肢ごとの解説
- 1. 棘下筋は肩関節の「外旋」を主に行う筋肉です。手背を腰部から離す動作は内旋筋の評価であり、棘下筋の筋力低下は直接的な原因ではありません。正しくは:棘下筋の筋力低下は、外旋抵抗テストなどで評価されます。選びやすい理由:棘下筋は回旋筋腱板の一部であり、肩関節の機能に関与するため、混同しやすいです。混同注意:肩甲下筋(内旋)と棘下筋(外旋)の作用
- 2. 棘上筋は肩関節の「外転」を主に行う筋肉です。手背を腰部から離す動作は内旋筋の評価であり、棘上筋の筋力低下は直接的な原因ではありません。正しくは:棘上筋の筋力低下は、空き缶テスト(Jobe's test)などで評価されます。選びやすい理由:棘上筋は回旋筋腱板の中で最も損傷されやすい筋肉であり、肩関節の痛みと関連が深いため、誤って選択しやすいです。混同注意:肩甲下筋(内旋)と棘上筋(外転)の作用
- 3. 正解。図の体位から手背を腰部から離す動作(Lift-off sign)は、肩関節の内旋筋の機能、特に肩甲下筋の筋力を評価するものです。この動作ができない場合、肩甲下筋の筋力低下が強く疑われます。選びやすい理由:肩甲下筋は回旋筋腱板の唯一の内旋筋であり、このテストの陽性は肩甲下筋の機能不全を直接示します。混同注意:特になし。このテストと肩甲下筋の関連は重要です。
- 4. 小円筋は肩関節の「外旋」を主に行う筋肉です。手背を腰部から離す動作は内旋筋の評価であり、小円筋の筋力低下は直接的な原因ではありません。正しくは:小円筋の筋力低下は、外旋抵抗テストなどで評価されます。選びやすい理由:小円筋も回旋筋腱板の一部であり、棘下筋とともに外旋筋として機能するため、混同しやすいです。混同注意:肩甲下筋(内旋)と小円筋(外旋)の作用
- 5. 上腕二頭筋は肘関節の屈曲と前腕の回外、肩関節の屈曲に作用します。手背を腰部から離す動作は肩関節の内旋機能の評価であり、上腕二頭筋の筋力低下は直接的な原因ではありません。正しくは:上腕二頭筋の筋力低下は、アームカールなどの肘関節屈曲抵抗テストや、ヤーガソンテストなどで評価されます。選びやすい理由:上腕二頭筋は肩関節の安定性にも関与し、一般的な肩の痛みに関連することがあるため、選択肢として考慮されやすいです。混同注意:肩関節の回旋筋腱板の筋肉と上腕二頭筋の作用
国試ポイント
肩関節の各筋肉の作用と、それらを評価する代表的な徒手検査法を理解することが重要です。特に回旋筋腱板の4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその機能(外転、外旋、内旋)はよく問われます。
混同注意
肩関節の回旋筋腱板の各筋肉の作用と、それらを評価するテストは混同しやすいです。例えば、棘上筋は外転、棘下筋と小円筋は外旋、肩甲下筋は内旋といったように、それぞれの主たる作用を正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合は、「手背を腰部から離す」という動作が肩関節のどの筋肉の作用を評価しているのか、特に内旋機能に注目して判断します。また、他の肩関節の徒手検査(例:空き缶テスト、外旋抵抗テスト)とその評価筋も合わせて確認します。
関連知識
回旋筋腱板損傷は、野球やテニスなどのスポーツ外傷や、加齢による変性でよく見られます。腱板損傷の部位によって、対応する筋肉の機能が低下し、特定の動作で痛みや筋力低下が起こります。それぞれの筋肉の機能を把握していれば、損傷部位を推測できます。