加齢により増加するのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
加齢に伴う身体機能の変化に関する知識を問う問題です。血管抵抗は動脈硬化の進行により増加し、血圧上昇のリスクを高めます。炎症性サイトカインは、加齢に伴う慢性的な微細炎症(炎症老化)により、基礎レベルが増加することが知られています。一方、除脂肪体重(主に筋肉量)、唾液分泌量、予備呼気量は加齢とともに減少するのが一般的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。加齢とともに血管の弾力性が低下し、動脈硬化が進行するため、血管抵抗は増加します。これは血圧上昇の一因となります。選びやすい理由:血管抵抗の増加は、動脈硬化や高血圧と密接に関連しており、加齢に伴う代表的な生理的変化です。混同注意:血管の弾力性や順応性が低下することと混同しやすいですが、結果として血管抵抗は増加します。
- 2. 加齢により、筋肉量を中心に除脂肪体重は減少するのが一般的です。サルコペニア(加齢性筋肉減少症)はその典型例です。正しくは:加齢により減少するのは除脂肪体重です。選びやすい理由:一見すると体重が増えることもあるため、除脂肪体重も増えるかと誤解しがちですが、脂肪が増えるだけで筋肉は減少します。混同注意:体重や体脂肪量と混同しやすいです。総体重は変化しないか、脂肪増加により増えることもありますが、除脂肪体重(筋肉・骨・臓器など)は減少します。
- 3. 加齢により、唾液腺の機能低下や薬剤の影響などから、唾液分泌量は減少するのが一般的です。口腔乾燥(ドライマウス)の原因となります。正しくは:加齢により減少するのは唾液分泌量です。選びやすい理由:口の中の乾燥を感じにくい人もいるため、変化がない、あるいは増えるのではないかと思うかもしれませんが、基本的には減少します。混同注意:口腔衛生習慣と混同しやすいですが、機能的な生理変化として分泌量は減少します。
- 4. 加齢により肺や胸郭の弾性低下、呼吸筋力の低下などから、肺活量は減少し、それに伴い予備呼気量も減少するのが一般的です。正しくは:加齢により減少するのは予備呼気量です。選びやすい理由:肺活量全体の変化を捉えにくいと、個々の肺気量分画の変化も判断しづらいです。高齢者が息苦しさを感じにくい場合、減少していないと感じるかもしれません。混同注意:残気量と混同しやすいです。残気量は加齢とともに増加しますが、予備呼気量は減少します。肺活量の一部です。
- 5. 正解。加齢に伴い、慢性的な微細炎症(炎症老化、inflammaging)の状態となり、体内の炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-αなど)の基礎レベルは増加することが知られています。選びやすい理由:炎症は若い人にも起こるため、加齢との直接的な関連を見落としやすいですが、加齢に伴う全身性の低レベル慢性炎症は重要な概念です。混同注意:急性炎症反応と混同しやすいですが、ここで言及されているのは、加齢による基礎レベルの持続的な上昇です。
国試ポイント
加齢による生理的変化は、理学療法士として高齢者に対する評価・介入を行う上で基礎となる知識であり、国家試験では頻繁に問われます。特に『増加するもの』と『減少するもの』を正確に区別できるかが重要です。血管の弾性変化、呼吸機能の変化(肺気量分画)、体組成の変化、内分泌・免疫系の変化がよく出題されます。
混同注意
加齢による肺気量分画の変化(残気量の増加と予備呼気量の減少、肺活量の減少)は特に混同しやすいです。また、総体重と除脂肪体重(筋肉量)の変化、炎症と免疫力の低下といった関係も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、加齢に伴う各臓器・システムの機能変化について、具体的な数値変化やそのメカニズム、臨床症状との関連を問う問題が出題される可能性があります。特に、フレイルやサルコペニア、ロコモティブシンドロームといった高齢者特有の症候群と関連付けて問われることも予想されます。
関連知識
・加齢による心血管系の変化:血管弾性低下、心拍出量低下(最大時)、収縮期血圧上昇。 ・加齢による呼吸器系の変化:肺の弾性低下、胸郭可動性低下、呼吸筋力低下、残気量増加、肺活量減少。 ・加齢による筋骨格系の変化:筋力低下、筋量減少(サルコペニア)、骨密度低下(骨粗鬆症)。 ・加齢による内分泌系の変化:インスリン感受性低下、性ホルモン減少。 ・加齢による免疫系の変化:免疫機能低下(獲得免疫)、慢性炎症の増加(自然免疫の一部活性化)。