脳卒中後の左片麻痺の患者が車椅子からベッドへの移乗動作を行う際の介助方法として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
車椅子からベッドへの移乗において、患者が殿部を車椅子の座面の前方に移動させることで、重心が前方に移動し、立ち上がり動作が容易になります。これは移乗動作を安全かつ効率的に行うための基本的な準備動作です。
選択肢ごとの解説
- 1. 麻痺がある場合、装具は患肢を保護し、安定性を提供するために使用されます。特に下肢装具は、膝折れや転倒のリスクを軽減し、安全な移乗動作を支援する重要な役割を果たします。正しくは:下肢装具など、安全な移乗を補助する装具は装着したまま行う。選びやすい理由:装具が動きを妨げると感じる人もいるかもしれないが、安全性の確保が最優先。混同注意:装具を装着したままでは動きにくい、というイメージと混同しやすい。
- 2. 移乗介助の際は、患者さんの動きや重心移動を直接的に支援できるよう、患者さんの前方または患側から介助するのが一般的です。後方からの介助では、重心のコントロールや足元の不安定さへの対応が困難になります。正しくは:介助者は患者の重心移動を直接支援できるよう、前方または麻痺側(患側)から介助する。選びやすい理由:転倒を後ろから支えるイメージがあるかもしれないが、移乗動作全体を安定させるには不十分。混同注意:単に転倒防止のための「支え」と、動作介助のための「サポート」の役割の違い。
- 3. 正解。車椅子からベッドへ移乗する際、殿部を前方に移動させることで、重心が前方に移り、立ち上がりや臀部挙上が容易になります。これにより、必要な身体の傾斜角度が確保され、移乗時の身体的負担が軽減されます。正しくは:正しい選択肢のため修正不要。選びやすい理由:直感的に正しいと理解しやすい基本的な介助技術。混同注意:特に混同しやすい点はないが、この工程を忘れると移乗が困難になる。
- 4. ベッドと車椅子を平行に配置すると、介助者が介助しにくく、患者が移動する距離が長くなり、身体の向きを変える動作も大きくなるため、転倒リスクが高まります。通常は、ベッドに対して車椅子を少し角度をつけて(約30度)配置し、移乗距離を短くし、移乗動作をスムーズにします。正しくは:ベッドに対して車椅子を斜め(約30度程度)に配置し、移乗距離を短くする。選びやすい理由:まっすぐ並べる方が合理的だと感じるかもしれないが、実際は非効率的で危険。混同注意:整然と並べることと、動作効率・安全性の確保の混同。
- 5. ベッドの高さを車椅子より高く設定すると、移乗時に身体を上に持ち上げる動作が必要となり、患者さんへの負担が増加し、転倒リスクも高まります。安全かつ効率的な移乗のためには、ベッドの座面を車椅子の座面とほぼ同じか、やや低めに設定するのが望ましいです。正しくは:ベッドの高さは、車椅子の座面とほぼ同じか、やや低めに設定する。選びやすい理由:少し高めの方がスムーズに移れると誤解する可能性がある。混同注意:段差を利用した移乗と、単純な高低差の混同。
国試ポイント
脳卒中患者の片麻痺における移乗介助の基本原則と、介助時の安全確保の知識が問われています。特に、体位の設定、介助者の位置、装具の管理、環境設定(ベッドと車椅子の配置、高さ)に関する実践的な理解が重要です。
混同注意
移乗介助の細かな手順や、さまざまなタイプの患者(例:下肢切断者、脊髄損傷者)における介助方法と混同しやすいですが、基本原則は共通しています。特に、麻痺の有無や種類によって装具の必要性や介助の方向が異なる点を正確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、麻痺の側だけでなく、患者の残存機能や認知機能に応じた介助方法の選択、介助者の身体負担軽減策、あるいは特定の介助用具(スライディングボードなど)の使用に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
介助技術の基本、重心移動の原則、関節可動域制限や筋力低下のある患者への対応、環境設定の重要性、装具の種類と役割。