ICFで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ICFはその広範な適用範囲と個人の生活機能に関わる性質から、個人情報保護や差別防止の観点において倫理的な配慮が不可欠です。そのため、世界保健機関(WHO)によって、ICFの適切な使用を確保し、誤用による負の影響を防ぐための倫理的ガイドラインが発行されています。これは、ICFを人権尊重の視点から活用するための重要な要素です。
選択肢ごとの解説
- 1. ICFは、障害の有無にかかわらず、全ての人の健康状態と関連要因を包括的に記述するために開発されました。特定の対象者に限定されるものではありません。正しくは:ICFは、すべての人の健康状態を記述できる分類です。選びやすい理由:ICFは障害者福祉の文脈でよく取り上げられるため、障害者に特化した分類だと誤解しやすいです。混同注意:旧来の国際障害分類(ICIDH)と混同すると、障害者を対象とするという認識になりがちです。
- 2. ICFはICIDHの後継として、その問題点を改善し、より広い視点から生活機能と障害を捉えるために開発されました。ICIDHに置き換わるものであり、相互補完の関係ではありません。正しくは:ICFは、ICIDHを改訂・発展させた分類です。選びやすい理由:「補完」という言葉自体は良い意味合いがあるため、関係性を肯定的に捉えやすいです。混同注意:分類の発展過程や、それぞれの分類の目的の違いを理解していないと、混同しやすいです。
- 3. ICFの主要な構成要素は「心身機能と身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」です。「健康状態」は分類の出発点となる概念であり、これらの構成要素を通して記述されますが、それ自体が直接的な構成要素として挙げられているわけではありません。正しくは:ICFの主要な構成要素は「心身機能と身体構造」「活動」「参加」「環境因子」「個人因子」です。健康状態はICF全体の傘概念です。選びやすい理由:「健康」という言葉はICFの根幹にあるため、構成要素であると錯覚しやすいです。混同注意:分類のフレームワークにおける「健康状態」の位置づけと、具体的な構成要素の区別がついていないと混同しやすいです。
- 4. ICFは、疾病や健康状態を個人レベルの問題(医学モデル)だけでなく、社会的な文脈(社会モデル)からも捉える「生物心理社会モデル」を基本としています。純粋な社会モデルではありません。正しくは:ICFは、生物心理社会モデルをその基盤としています。選びやすい理由:ICFがICIDHの医学モデル的な限界を克服しようとしたため、「社会モデル」が強調されることが多く、純粋な社会モデルだと誤解しやすいです。混同注意:医学モデル、社会モデル、生物心理社会モデルの違いや、ICFがなぜ生物心理社会モデルを採用しているのかを理解していないと混同しやすいです。
- 5. 正解。ICFの利用にあたっては、目的外利用やスティグマ化を防ぐため、WHOにより倫理的ガイドラインが策定されています。これは、ICFが個人を評価するツールとして誤用されることを防ぎ、人権を尊重する目的があります。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:ICFの広範な利用範囲や個人情報に関わる性質上、倫理的側面が重要であるという直感から、正答を選びやすいです。
国試ポイント
ICFの基本的な枠組み、構成要素、旧分類(ICIDH)との違い、そしてその根底にあるモデル(生物心理社会モデル)に関する理解が問われます。特に、ICFが単なる分類ツールに留まらず、その利用には倫理的配慮が求められる点も重要です。単語のイメージにとらわれず、各概念の正確な定義を理解しているかが試されます。
混同注意
ICFの構成要素と、その根底にある概念やモデル(例:健康状態、医学モデル、社会モデル)を混同しやすいです。また、ICIDHとの関係性(置き換えか補完か)も誤解しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後もICFの基本概念、特に構成要素の定義、それぞれの概念が具体的に何を指すのか、そしてICFがどのような哲学に基づいて構築されているか(生物心理社会モデル)が問われ続けるでしょう。倫理的側面やガイドラインの存在は、分類の単なる知識だけでなく、その運用における実践的な理解を問う良問です。また、具体的な事例を挙げてICFの分類コードを適用させる問題も出題される可能性があります。
関連知識
ICFの構成要素(心身機能と身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子)、各構成要素の具体的な内容、修飾因子(環境因子、個人因子)の役割。ICIDHとの比較(医学モデルから生物心理社会モデルへ、障害の否定的な側面だけでなく肯定的な側面も含む)。WHOが推奨するICFの活用方法。