関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による)で正しいのはどれか。2つ選べ。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
選択肢1の胸腰部屈曲は、胸腰椎の屈曲運動を示しており、標準的な関節可動域測定法において正確な肢位と計測方法が示されています。選択肢4は、示されているのは母指のCM関節での掌側外転の測定法であり、示されている手関節の尺側偏位の測定法としては適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。胸腰部の屈曲の測定は、体幹を前屈させ、頸部を含まない胸腰椎の運動を計測する。図は胸腰部屈曲の標準的な測定方法を示しており、正しく、頸部を含まない胸腰椎の純粋な屈曲運動の測定方法が示されています。選びやすい理由:図が直感的に胸腰部の屈曲を示しているため、正解と判断しやすい。混同注意:頸部屈曲と体幹屈曲の区別。頸部屈曲は頸椎のみの運動を指すのに対し、胸腰部屈曲は胸椎と腰椎を合わせた運動を指す。
- 2. 頸部屈曲の測定は、座位または立位で、頸部を前屈させる運動を指す。図では頸部を伸展位にして壁に背中をつけているため、頸部屈曲の基本肢位が誤っており、正しい頸部屈曲の測定方法ではない。正しくは:頸部屈曲の測定では、立位または座位で顔面が床に向かうように頸部を前屈させ、耳介と肩峰を結んだ線を基準に計測する。選びやすい理由:「頸部屈曲」という文字情報から、頸部の動きを計測しようとしている点で一部は正しいが、測定肢位が不適切である。混同注意:頸部屈曲と頸部伸展の測定法の混同。また、体幹の傾きと頸部の屈曲を混同することもある。
- 3. 肩甲帯挙上は肩甲骨が上方に動く運動を指し、上肢の運動とは区別される。図は、肩甲帯挙上の運動方向を示しているが、測定する際の基準線や測定点が不明確であり、標準的な計測方法としては不適切である。正しくは:肩甲帯挙上の測定では、測定部位を明確にし、基準点からの移動距離を計測するか、または肩甲骨上縁の挙上運動を評価する。選びやすい理由:「肩甲帯挙上」という運動自体は正しいが、その測定方法の具体性や正確性が欠けているため、正しい測定法としては選びにくい。混同注意:肩関節の外転や屈曲といった上肢全体の運動との混同。肩甲帯の動きは、肩関節の動きとは独立して評価されるべきである。
- 4. 正解。図は母指のCM関節での掌側外転を示している。これは、手掌面から母指が外側に向かって開く運動を指し、標準的な関節可動域測定法に合致している。母指の掌側外転は、手関節から計測するのではなく、母指の第一中手骨の動きを計測するもので、図はその測定方法を正しく示している。選びやすい理由:一見すると手関節の動きに見えるが、母指のCM関節の動きとして正しく描かれている。混同注意:手関節の橈尺屈と母指のCM関節運動の混同。母指の掌側外転は、手関節の動きとは別の独立した運動である。
- 5. 図は母指の橈側外転の測定を示しているが、関節可動域測定法において母指の「橈側外転」という明確な運動は通常定義されない。母指の運動は屈曲・伸展、内転・外転、対立などが一般的であり、図のような「橈側外転」という表記は誤解を招く。また、この図は母指のCM関節における外転運動を測定しようとしているように見えるが、その基準軸の設定が不適切である。正しくは:母指の外転運動を測定する場合、手掌から母指を広げる掌側外転と、示指から離す橈側外転(これは通常CM関節の外転として測定される)があるが、図は一般的な橈側外転の測定法とは異なり、明確に定義されていない。選びやすい理由:母指の運動を測定しようとしている意図は伝わるため、一見正しく見える可能性がある。混同注意:母指のCM関節での外転運動と、手関節の橈側偏位を混同しやすい。図は母指の運動を示しているが、その定義と測定法が不明確である。
国試ポイント
日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準による関節可動域測定法の基本肢位と計測方法を正確に理解しているかが問われる。特に各関節の基準軸と運動方向を把握することが重要である。
混同注意
関節可動域測定において、各関節の基本軸と移動軸、運動方向の定義が混同しやすい。特に「屈曲」や「伸展」といった一般的な言葉が、特定の関節においては異なる計測法となることがあるため注意が必要。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、各選択肢の図が示している関節と運動方向、そしてその測定方法が標準的な基準に合致しているかを詳細に確認する。
関連知識
関節可動域測定は、運動機能評価の基本であり、治療効果判定やADL評価に不可欠である。測定に際しては、ゴニオメーターの適切な使用法や代償運動の有無の確認も重要となる。