摂食嚥下障害に対するリハビリテーション手技と目的の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Shaker法は、頭部挙上運動を通じて舌骨上筋群を特異的に強化する訓練法です。この筋群は、嚥下時に喉頭を挙上させ、食道入口部を開大させる重要な役割を担っており、誤嚥防止に寄与します。したがって、Shaker法と舌骨上筋群の強化の組み合わせは正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Shaker法は、頭部を挙上する運動を反復することで、舌骨上筋群を効果的に鍛え、咽頭期における喉頭挙上や食道入口部の開大を促進します。これにより、嚥下機能の改善を目指します。
- 2. ハフィング(huffing)は、強制的な呼気によって気道内の分泌物を排出する、つまり喀痰を促すための呼吸理学療法の一つです。食道入口部の開大とは直接関係ありません。正しくは:ハフィングは、気道内分泌物の排出。選びやすい理由:嚥下関連の手技であるため、関連があるように思えるかもしれません。しかし、ハフィングは呼吸器系の手技です。混同注意:他の嚥下関連の手技、例えばValsalva法などと混同する可能性があります。Valsalva法は排痰効果もありますが、ハフィングとは異なります。
- 3. バルーン拡張法は、主に食道の狭窄部位を拡張するために行われる内視鏡的な処置です。誤嚥物の喀出は、咳反射やハフィングなどの呼吸器系の手技が関与します。正しくは:バルーン拡張法は、食道狭窄の拡張。選びやすい理由:嚥下困難の原因が物理的な狭窄にある場合に行われるため、嚥下障害治療の一環であることは正しいですが、目的が異なります。混同注意:誤嚥物の喀出は、嚥下訓練ではなく、呼吸器理学療法の手技(ハフィング、スクイージングなど)や、体位ドレナージなどと混同しやすいです。
- 4. ブローイング(blowing)は、ストローなどで息を吹き込む運動を指し、口腔内の感覚刺激や口唇・頬の筋力強化、呼気機能の改善などに用いられます。喉頭挙上の直接的な強化を目的とした手技ではありません。正しくは:ブローイングは、口唇・頬の筋力強化や呼気機能の改善。選びやすい理由:摂食嚥下訓練で用いられる「吹き戻し」などの口腔運動と関連があるため、嚥下機能全体に良い影響があると思われがちです。混同注意:嚥下訓練として行われる他の口腔や咽頭の運動、例えばMendelsohn手技やMasako maneuverなどと目的を混同しやすいです。
- 5. Mendelsohn手技は、嚥下時に喉頭挙上を意識的に長く保持することで、輪状咽頭筋の弛緩を促進し、食道入口部の開大時間を延長することを目的とします。鼻咽腔閉鎖の強化とは関係ありません。正しくは:Mendelsohn手技は、食道入口部の開大時間の延長。選びやすい理由:Mendelsohn手技は重要な嚥下訓練の一つであり、喉頭挙上に関連するため、喉頭に関する他の機能と結びつけてしまいやすいです。混同注意:鼻咽腔閉鎖は軟口蓋の動きが重要であり、Mendelsohn手技が直接的に強化する部位ではありません。軟口蓋の運動(例:あくび、発声訓練)と混同しやすいです。
国試ポイント
摂食嚥下障害のリハビリテーションにおいて、各手技の具体的な目的と効果を正確に理解しているかが問われています。特に、主要な訓練法の名称とその生理学的・解剖学的基盤に基づいた目的を把握していることが重要です。
混同注意
各訓練法の名称と、それらがターゲットとする筋肉群、解剖学的構造、または生理学的機能の組み合わせを誤解しやすいです。特に、嚥下の一連の動作に関わる複数の筋肉や構造(舌骨上筋群、輪状咽頭筋、軟口蓋など)が多岐にわたるため、それぞれの手技がどこに作用するのかを明確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、訓練法の名称だけでなく、それが作用する具体的な筋群や神経、または嚥下反射のどのフェーズに影響を与えるのかまで踏み込んで理解しているかを確認しましょう。また、誤嚥の種類(前誤嚥、後誤嚥)とそれに対応する訓練法との関連性も問われる可能性があります。
関連知識
嚥下反射のメカニズム(口腔期、咽頭期、食道期)、舌骨上筋群と舌骨下筋群の機能、輪状咽頭筋の生理、誤嚥のメカニズム、各嚥下訓練法(Shaker法、Mendelsohn手技、Masako maneuver、経口摂取時の姿勢指導など)の詳細な適用と目的。