曝露反応妨害法が有効なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
曝露反応妨害法(Exposure and Response Prevention, ERP)は、強迫性障害の治療において最も効果的な行動療法のひとつです。患者を不安や強迫観念を引き起こす対象や状況に意図的に曝露させ、通常であれば行う強迫行為(反応)を意図的に行わせないように指導することで、不安の慣れ(habituation)と強迫行為の消去を図ります。これにより、強迫性障害の中核症状である強迫観念と強迫行為の悪循環を断ち切ります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。曝露反応妨害法は、不安や強迫観念を引き起こす刺激(曝露)に段階的に触れさせ、それに対する強迫行為(反応)を行わないように介入することで、不安の軽減と強迫行為の消去を目指す行動療法です。強迫性障害の主要な治療法の一つとして確立されています。
- 2. 身体化障害は、身体症状を訴えるものの医学的な説明が困難な状態であり、曝露反応妨害法は主な治療法ではありません。治療には精神療法(認知行動療法など)や支持的精神療法が用いられます。正しくは:身体化障害には、精神療法(特に認知行動療法)や支持的精神療法が有効です。選びやすい理由:精神的な要因が関与する疾患であるため、行動療法の一種である曝露反応妨害法も有効だと勘違いする可能性があります。混同注意:他の不安症や気分障害の治療法と混同しやすいです。
- 3. 神経性過食症は摂食障害の一種であり、過食と代償行為(嘔吐など)を特徴とします。治療には認知行動療法が有効とされますが、曝露反応妨害法は直接的な治療法ではありません。正しくは:神経性過食症には、認知行動療法(CBT-Eなど)が有効です。選びやすい理由:特定の行動(過食、代償行為)に対する介入という点で、曝露反応妨害法と関連があるように感じるかもしれませんが、直接的な適用はありません。混同注意:摂食障害の他の行動療法と混同しやすいです。
- 4. 全般性不安障害は、特定の対象がない持続的な不安や心配を特徴とします。治療には認知行動療法や薬物療法が用いられますが、特定の刺激への曝露と反応妨害という形式はあまり適合しません。正しくは:全般性不安障害には、認知行動療法や薬物療法(SSRIなど)が有効です。選びやすい理由:不安障害の一種であるため、不安を扱う曝露反応妨害法が有効だと考えてしまう可能性があります。混同注意:パニック障害や特定の恐怖症に対する曝露療法と混同しやすいです。
- 5. PTSDは、トラウマ体験後に生じる精神症状で、曝露反応妨害法は直接的な治療法ではありません。治療にはトラウマ焦点型認知行動療法(TF-CBT)や眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)などが用いられます。曝露療法は用いられますが、反応妨害とは異なります。正しくは:PTSDには、トラウマ焦点型認知行動療法(TF-CBT)やEMDRが有効です。選びやすい理由:PTSDの治療に曝露療法が用いられるため、混同して選択しやすいです。しかし、曝露『反応妨害』法とはメカニズムが異なります。混同注意:PTSD治療で使われる曝露療法(想像曝露やin vivo曝露)と、『反応妨害』を伴う曝露反応妨害法を混同しやすいです。
国試ポイント
精神疾患に対する行動療法や認知行動療法の具体的な適用疾患とその原理が問われる問題です。特に曝露反応妨害法は強迫性障害と強く結びつく治療法として頻出します。他の不安障害や摂食障害、身体化障害に対する治療法との違いを理解しているかが試されます。
混同注意
曝露反応妨害法は、強迫性障害に特化した治療法であり、他の不安障害(パニック障害、特定の恐怖症、PTSDなど)で用いられる『曝露療法』とは、反応妨害という要素の有無で区別されます。例えば、パニック障害では広場恐怖に対して曝露療法が用いられますが、反応妨害は重視されません。PTSDではトラウマ記憶への曝露(想像曝露)が主ですが、反応を妨害する概念は直接的ではありません。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、精神疾患の各病態生理と、それに対する標準的な薬物療法および精神療法の種類(特に認知行動療法の具体的な技法名とその適応疾患)を正確に結びつけられるかが重要になります。特に、『曝露』というキーワードがある精神療法は多岐にわたるため、それぞれの方法がどの疾患のどの症状に対して、どのようなメカニズムで効果を発揮するのかを細かく理解する必要があります。
関連知識
強迫性障害の診断基準(DSM-5)、強迫性障害の神経生物学的背景、薬物療法(SSRIなど)、認知行動療法の他の技法(認知再構成法など)。不安障害全般に対する行動療法の種類とその適応(例:系統的脱感作法、洪水法)。