腰椎椎間板ヘルニアで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
腰椎椎間板ヘルニアの治療方針において、進行性の筋力低下、特に単一神経根支配域を超えた多発性神経根症による筋力低下や、馬尾症候群の症状(排尿排便障害、会陰部のしびれなど)は、神経の不可逆的な損傷を防ぐために緊急または準緊急での手術適応となる重要な兆候です。これは非保存療法が困難な状態を示すため、手術的介入が検討されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 腰椎椎間板ヘルニアの急性期では、炎症が強く、症状が悪化する可能性があるため、牽引療法は通常禁忌または慎重に行われます。特に間欠的な牽引は、病態を悪化させるリスクがあります。正しくは:急性期には、痛みが強い場合は炎症を抑え、安静を保つことが優先されます。牽引療法を行う場合は、専門医の判断のもと、慎重に実施するか、症状が落ち着いた慢性期に検討されます。選びやすい理由:牽引療法が腰痛治療に用いられることがあるため、正しいと考えてしまうかもしれません。混同注意:牽引療法が腰痛全般に有効であるという認識と混同しやすいですが、急性期の椎間板ヘルニアには適応が限られます。
- 2. 硬性コルセットは急性期の痛みを軽減するために使用されることもありますが、急性期から長期間使用すると、体幹筋の弱化を招く可能性があります。また、コルセットの種類や使用期間は症状や患者の状態によって異なります。正しくは:急性期には、痛みの軽減と安定化のために軟性コルセットや腹部を圧迫するタイプのコルセットが一時的に使用されることがあります。硬性コルセットは、特定の状況や医師の判断に基づいて使用されますが、早期からの過度な使用は避けるべきです。選びやすい理由:コルセットが腰を安定させるというイメージから、急性期に有効だと考えてしまうかもしれません。混同注意:コルセットの急性期における役割(一時的な固定・安定化)と、長期使用によるデメリット(筋力低下)のバランスが混同されやすいです。
- 3. 急性期の激しい痛みがある時期に体操療法を行うと、症状が悪化する危険性が非常に高いです。急性期は安静が基本であり、痛みがある状態で無理に運動することは避けるべきです。正しくは:急性期の激しい痛みに対しては、安静を保ち、痛み止めの服用や物理療法などが行われます。体操療法は、痛みが軽減し、炎症が落ち着いてから、専門家の指導のもとで徐々に開始されます。選びやすい理由:体操療法がリハビリテーションの一環として重要であるという知識から、急性期にも有効だと誤解してしまうかもしれません。混同注意:急性期の安静と、慢性期以降のリハビリテーションにおける運動療法の役割が混同されやすいです。
- 4. 正解。腰椎椎間板ヘルニアにおいて、進行性の筋力低下、排尿排便障害(膀胱直腸障害)、耐え難い痛みなどの神経学的悪化がある場合は、神経圧迫が進行している可能性が高く、神経損傷を避けるために手術療法の絶対的または相対的適応となります。
- 5. かつては長期間のベッド上安静が推奨されていましたが、現在のガイドラインでは、過度な長期間の安静は筋力低下や精神的ストレス、血栓症のリスクを高めることが分かっています。一般的には、痛みの強い時期は短期間の安静が推奨されますが、数ヶ月間もの長期間安静は推奨されません。正しくは:急性期の激しい痛みがある間は短期間(数日〜1週間程度)の安静が推奨されますが、それ以降は痛みに応じて早期に活動を再開し、徐々に日常生活に戻ることが重要です。選びやすい理由:安静が痛みの軽減に有効であるという認識から、長期間の安静も良いと考えてしまうかもしれません。混同注意:短期間の安静の必要性と、長期間の安静のデメリットが混同されやすいです。
国試ポイント
腰椎椎間板ヘルニアの診断と治療に関する基本的な知識、特に保存療法の限界と手術適応について理解しているかどうかが問われる問題です。各治療法の適応・禁忌を正しく把握している必要があります。
混同注意
急性期の保存療法(安静、薬物療法、物理療法)と、手術適応となる重篤な症状(進行性の神経症状、膀胱直腸障害)の区別が混同されやすいです。また、各種治療法(牽引、コルセット、体操療法)の急性期・慢性期での使い分けもポイントです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、椎間板ヘルニアの保存療法の具体的な内容(薬物療法、物理療法)や、手術療法以外の介入(ブロック注射など)に関する知識、さらに各神経根圧迫による具体的な筋力低下部位や感覚障害部位についても確認しましょう。
関連知識
椎間板ヘルニアの病態生理、神経学的診察の重要性(デルマトーム、ミオトーム)、保存療法の種類とその効果、馬尾症候群の緊急性。