意識することなく再生される記憶はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
手続き記憶は、運動スキルや習慣に関する記憶で、一度習得すると意識的な努力なしに自動的に実行できるようになります。例えば、自転車の乗り方や楽器の演奏などは、意識してその手順を思い出すことなく行えます。これは非宣言的記憶(潜在記憶)の一種であり、無意識のうちに再生される記憶に該当します。
選択肢ごとの解説
- 1. 即時記憶は、感覚器から入った情報を非常に短い時間(数秒以内)保持するもので、意識的な注意によって一時的に保持されます。例えば、電話番号を聞いてすぐにダイヤルする際などに使われます。正しくは:意識的に注意を向けて、ごく短時間だけ保持される記憶です。選びやすい理由:記憶の一種であるため、他の記憶と混同しやすいですが、その持続時間と意識レベルが異なります。混同注意:作業記憶(ワーキングメモリ)と混同しやすいですが、即時記憶はより受動的で、情報の一時的な保持に特化しています。
- 2. 意味記憶は、一般的な知識や事実、概念に関する記憶であり、意識的に検索して思い出される記憶です。例えば、『日本の首都は東京である』といった知識は意味記憶に含まれます。正しくは:これは、一般的な知識や概念に関する意識的な記憶です。選びやすい理由:『知識』という広い概念のため、無意識的なものも含まれると誤解されやすいですが、内容は意識的にアクセス可能です。混同注意:エピソード記憶と混同されやすいですが、意味記憶は個人的な経験とは結びつかない客観的な情報です。
- 3. 近時記憶は、数分から数日前の出来事や情報に関する記憶であり、通常は意識的に想起されます。新しい情報を一時的に保持し、必要に応じて利用する記憶です。正しくは:これは、比較的最近の出来事を意識的に思い出す記憶です。選びやすい理由:日常的に使う記憶のため、無意識的な側面もあると誤解されやすいですが、情報を呼び出す際には意識が伴います。混同注意:遠隔記憶(長期記憶の中でも古いもの)や、即時記憶(より短い時間)と混同されやすいです。
- 4. 正解。手続き記憶は、特定の技能や動作の手順に関する記憶であり、一度習得すると意識することなく自動的に実行できるようになります。自転車に乗る、泳ぐ、楽器を演奏するなどのスキルが含まれます。これは宣言的記憶(意味記憶やエピソード記憶)と対比され、非宣言的記憶(無意識的記憶)の一種です。
- 5. エピソード記憶は、個人的な経験や出来事に関する記憶であり、『いつ、どこで何が起こったか』といった文脈情報を含み、意識的に思い出すことができる記憶です。例えば、昨日の夕食のメニューを思い出すなどがこれにあたります。正しくは:これは、個人の経験や出来事に関する、意識的な記憶です。選びやすい理由:具体的な『出来事』の記憶であるため、無意識のうちに過去の経験が影響することと混同されやすいですが、その『出来事』自体を思い出す行為は意識的です。混同注意:意味記憶と混同されやすいですが、エピソード記憶は個人的な時間的・空間的な文脈を持つ点が異なります。
国試ポイント
記憶の種類に関する基本的な知識が問われています。特に、宣言的記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非宣言的記憶(手続き記憶、プライミング、古典的条件づけなど)の区別、およびそれぞれの特徴(意識的に想起されるか否か、言語化できるか否か)を理解しているかが重要です。
混同注意
各記憶の種類とその特徴(特に意識的か無意識的か、言語化できるか否か)が混同されやすいです。特に、意味記憶とエピソード記憶はともに宣言的記憶ですが、内容が異なります。また、即時記憶と近時記憶は、時間の長さで区別されます。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、各記憶の具体的な例と、それがどの分類に属するかを問う問題、あるいは特定の疾患(例:アルツハイマー病)でどの記憶が障害されやすいかを問う問題が出る可能性があります。また、リハビリテーションにおける記憶障害への介入方法と関連付けて出題される可能性もあります。
関連知識
記憶は短期記憶と長期記憶に大別され、長期記憶はさらに宣言的記憶(陳述記憶)と非宣言的記憶(非陳述記憶)に分かれます。宣言的記憶にはエピソード記憶と意味記憶が含まれ、非宣言的記憶には手続き記憶、プライミング、古典的条件づけなどが含まれます。リハビリテーションの現場では、脳損傷患者の記憶障害の種類を特定し、残存する記憶能力を活用したアプローチを計画する上で、これらの分類の理解が不可欠です。