正常歩行について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
正常歩行における骨盤の動きは、様々な面で複雑に協調しています。特に水平面での回旋は、歩幅の増大と重心のなめらかな移動に寄与し、歩行効率を高める重要な要素です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正常歩行において、肩関節は体幹と協調して振り子運動をします。同側の踵接地時は、通常、腕は体幹よりやや後方に位置し、反対側の腕が前方に振り出されている状態です。最大屈曲位になるのは、むしろ反対側の踵接地直前か、遊脚相の中盤あたりで、前方への振り出しが最も大きくなる時点です。正しくは:肩関節は、反対側の踵接地時に最大屈曲位となる。選びやすい理由:歩行時の腕の振りはイメージしやすいが、どのタイミングで最大屈曲・伸展するかは詳細な知識が必要なため、曖昧な理解だと誤りやすい。混同注意:歩行時の腕の振り子のタイミングと、股関節や膝関節の動きのタイミングを混同しやすい。
- 2. 踵接地(Initial Contact)直後、荷重応答期(Loading Response)において、膝関節は衝撃吸収と重心の降下のために約15度程度まで屈曲します。その後、立脚中期(Mid-stance)にかけて徐々に伸展します。踵接地直後の伸展は誤りです。正しくは:膝関節は、踵接地直後に軽度屈曲する。選びやすい理由:立脚相で最終的に伸展することは確かであるため、直後の動きとして誤解しやすい。混同注意:踵接地直後の「衝撃吸収のための屈曲」と、その後の「立脚中期の伸展」を混同しやすい。また、遊脚相末期の膝伸展と混同することもある。
- 3. 正解。正常歩行において、骨盤は歩幅を長くし、重心移動を滑らかにするために、遊脚側の股関節を中心に水平面で前後に回旋します。これにより、歩行効率が向上します。正しくは:この記述は正しい。選びやすい理由:骨盤の動きは複雑で、様々な面での動きがあるため、他の選択肢と迷う可能性はある。混同注意:骨盤の回旋運動と、前額面での傾斜や矢状面での傾斜(前傾・後傾)を混同しやすい。
- 4. 前額面では、立脚相において支持脚側が上がり、遊脚側が下がる「骨盤の傾斜(デュシャンヌ現象)」が生じます。これは重心の上下動を最小限に抑え、歩行の安定性を高めるために必要な動きです。常に水平に保たれるわけではありません。正しくは:骨盤は、前額面において立脚相で遊脚側へ傾斜する。選びやすい理由:安定した歩行は「水平」というイメージと結びつきやすいため、一見正しいように感じられる。混同注意:骨盤の水平面での回旋運動と、前額面での傾斜(ティルティング)を混同しやすい。
- 5. 骨盤は立脚相において、重心を支持脚上にとどめるため、支持脚側へわずかに側方移動します(トレンデレンブルグ徴候との関連)。遊脚側への大きな側方移動は、むしろ異常歩行で見られるトレンデレンブルグ歩行や動揺性歩行の特徴です。正常歩行では、重心の横方向の移動を最小限に抑えるように制御されます。正しくは:骨盤は、支持脚側へわずかに側方移動する。選びやすい理由:遊脚側への重心移動自体はあるが、「骨盤の大きな側方移動」という表現が誤りであり、曖昧な知識だと引っかかりやすい。混同注意:重心の側方移動と、骨盤自体の大きな側方移動を混同しやすい。また、異常歩行のパターンと混同しやすい。
国試ポイント
正常歩行のバイオメカニクスに関する知識が問われています。特に、各関節や骨盤が「どの面で」「どのような動きをするか」「どのタイミングで最大・最小となるか」といった詳細な理解が求められます。単に動きがあるかどうかだけでなく、その方向性やタイミングが正確に把握できているかが重要です。
混同注意
骨盤の運動は、水平面での回旋、前額面での傾斜(ティルティング)、矢状面での前傾・後傾がそれぞれ独立した動きとして存在するため、これらを混同しやすいです。また、各関節の動きの最大・最小タイミングを他の関節の動きと混同したり、正常と異常歩行の動きを混同したりするケースが多いです。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出た場合、各関節の最大・最小角度のタイミング、または骨盤の各面における具体的な動き(角度、方向性)について、さらに詳細な知識が問われる可能性があります。また、異常歩行との比較や、歩行補助具使用時の変化なども関連して出題されるかもしれません。
関連知識
正常歩行の重心動揺曲線、各関節角度の変化(股関節、膝関節、足関節)、ロッカー機能(踵、足首、前足部)、歩行の決定因子(骨盤の回旋、骨盤の傾斜、膝の屈曲、足関節の運動、足部の運動、生理的外反)など。