組織の再生能力が最も高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
骨髄は造血幹細胞と間葉系幹細胞という、多様な細胞に分化できる幹細胞を豊富に含んでいます。これらの幹細胞は、血液細胞だけでなく、骨、軟骨、脂肪、筋、腱といった様々な結合組織細胞へと分化・増殖する能力を持つため、選択肢の中で最も広範かつ高い再生能力を持つ組織であると言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 角膜は上皮細胞の再生能力が高く、表面の損傷であれば比較的速やかに修復されます。しかし、基質層など深部の損傷では再生能力が限定的であり、瘢痕形成に至ることもあります。全体として、骨髄のような多能性幹細胞を豊富に含む組織と比べると、最も高い再生能力を持つとは言えません。正しくは:角膜の再生能力は主に上皮層に限られ、深部の損傷では機能的な再生が難しい場合があります。選びやすい理由:目の表面の傷が治りやすいという日常的な経験から、再生能力が高いと誤解しやすいです。混同注意:皮膚など他の上皮組織の表面的な再生能力と、組織全体の機能的再生能力を混同しやすいかもしれません。
- 2. 正解。骨髄は造血幹細胞や間葉系幹細胞を豊富に含んでおり、これらの幹細胞が血液細胞だけでなく、骨、軟骨、脂肪、筋、腱などの多様な細胞や組織に分化・増殖できるため、非常に高い再生能力を有しています。再生医療の分野でも、その高いポテンシャルが注目されています。
- 3. 心筋細胞は高度に分化しており、再生能力が非常に低い組織です。損傷を受けた場合、主に線維芽細胞による線維性結合組織の形成(瘢痕治癒)で修復され、機能的な心筋の再生はほとんど期待できません。このため、心筋梗塞などで失われた心機能の回復は困難とされています。正しくは:心筋は再生能力が極めて低く、損傷は主に瘢痕形成で修復されます。選びやすい理由:生命維持に不可欠な臓器であるため、再生能力が高いと勘違いする学生もいるかもしれません。混同注意:肝臓など、比較的再生能力が高い他の内臓組織と混同しやすいです。
- 4. 中枢神経系(脳や脊髄)の神経細胞(ニューロン)は再生能力がほとんどなく、損傷を受けると永久的な機能障害につながることが多いです。末梢神経では軸索の再生が見られますが、その速度は遅く、完全な機能回復に至ることは稀であり、再生能力としては骨髄に及びません。正しくは:中枢神経は再生能力がほぼなく、末梢神経の再生も限定的で不完全な場合が多いです。選びやすい理由:末梢神経の損傷後に機能回復が見られることがあるため、再生能力が高いと誤解する可能性があります。混同注意:末梢神経の軸索再生と中枢神経の再生の違い、およびその限界を混同しやすいです。
- 5. 横紋筋(骨格筋)には筋衛星細胞という幹細胞が存在し、限定的ながら筋線維の再生が可能です。しかし、損傷が広範囲にわたる場合や重度の場合は、筋衛星細胞の能力だけでは不十分で、線維化(瘢痕形成)による修復が多くなり、機能的な回復が困難となることもあります。骨髄のような高い再生能力とは異なります。正しくは:横紋筋は筋衛星細胞により再生するが、広範囲の損傷では瘢痕化しやすいです。選びやすい理由:トレーニングによる筋肥大など、筋肉が変化する印象があるため、再生も活発だと誤解する可能性があります。混同注意:筋肥大や適応反応と、損傷後の組織再生能力を混同しやすいです。
国試ポイント
生体組織の再生能力に関する基礎知識を問う問題です。特に、幹細胞を豊富に含む組織が持つ高い再生ポテンシャルと、再生が困難な組織(心筋、中枢神経など)の違いを理解しているかを確認します。再生医療の基礎となる重要な概念です。
混同注意
学生は「再生」の概念を、完全に機能的な組織の再構築と、瘢痕形成による修復(治癒)とで混同しやすい傾向があります。また、特定の組織が部分的に示す再生能力(例:角膜上皮、末梢神経軸索)と、組織全体の機能的な再生能力の高さとを混同する可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題される場合、特定の疾患における組織損傷と修復のメカニズム、再生医療技術が応用される可能性のある具体的な組織や疾患、あるいは特定の幹細胞の種類とそれがターゲットとなる組織の組み合わせについて問われる可能性があります。
関連知識
幹細胞の種類と分化能(多能性、多分化能)、組織の修復様式(再生、瘢痕治癒)、再生医療の基礎、各臓器や組織の組織学的特徴と生理機能。