欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
反動形成とは、受け入れがたい欲求や衝動を意識的に抑圧し、その欲求とは正反対の言動を強調して示すことで、心の安定を保とうとする防衛機制です。例えば、本当は嫌いな相手に対し、過剰に親切に振る舞うなどがこれに該当します。設問の記述は、この反動形成の定義と完全に一致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 置き換えは、ある対象に向けられた感情や欲求を、より安全な別の対象へと向ける防衛機制です。元の欲求や感情の方向を変えるもので、正反対の欲求を発展させるわけではありません。正しくは:欲求不満の原因となっている対象に直接感情を向けることができないとき、別のより安全な対象にその感情を向ける。選びやすい理由:欲求の対象が変わる点で、何らかの変換が行われると誤解しやすいかもしれません。混同注意:反動形成が「感情の方向転換」と捉えられるのに対し、置き換えは「対象の転換」である点で混同しやすいです。
- 2. 合理化は、受け入れがたい衝動や行為に対して、もっともらしい理由や口実をつけて正当化する防衛機制です。欲求そのものを正反対に変えるものではありません。正しくは:自分の行動や感情に対して、社会的に受け入れられやすいもっともらしい理由をつける。選びやすい理由:欲求が満たされない状況で「心の安定を保とうとする」という点で、何らかの理由付けによって安定を図ると錯覚する可能性があります。混同注意:欲求不満の状況で「自分を納得させる」という点で、反動形成の「感情を逆転させる」ことと混同するかもしれません。
- 3. 正解。反動形成は、自分自身の受け入れがたい衝動や欲求が存在する場合、それを抑え込み、意識的にその正反対の行動や態度を示すことで心のバランスを保とうとする防衛機制です。設問の記述と完全に一致します。
- 4. 否認は、不快な現実や事実を認めず、存在しないものとして扱う防衛機制です。欲求を満たせない状況で、その欲求自体を正反対にするものではありません。正しくは:受け入れがたい現実や事実を、あたかも存在しないかのように無視する。選びやすい理由:欲求が満たされない現実から目を背けたい心理状態は共通するため、その方法として否認を考えるかもしれません。混同注意:反動形成が「行動や感情の変換」であるのに対し、否認は「現実の認識の拒否」である点で混同しやすいです。
- 5. 抑圧は、受け入れがたい感情や記憶、欲求などを意識から無意識へと追いやることで、一時的に苦痛を回避する防衛機制です。正反対の欲求を発展させるわけではありません。正しくは:苦痛な記憶や感情、欲求などを意識から排除し、無意識へと押し込める。選びやすい理由:欲求を「満たせない」ことによる不快感を「心の中にしまっておく」という解釈で、抑圧と捉えるかもしれません。混同注意:反動形成が「意識的な逆転行動」であるのに対し、抑圧は「無意識への追放」である点で混同しやすいです。
国試ポイント
防衛機制の理解は、精神医学分野で頻出です。それぞれの防衛機制の定義と具体例を正確に結びつける能力が問われます。特に、類似した概念(例:抑圧と抑制)や、一見すると別の心理現象(例:反動形成と合理化)との違いを明確に理解しているかが重要です。
混同注意
反動形成は、抑圧された欲求の反対の行動をとるため、単純な「抑圧」や、自分を納得させる「合理化」、感情の対象を変える「置き換え」などと混同されやすいです。特に、「意識的な逆転行動」という点が他の防衛機制との大きな違いです。
次に同じ論点が出たら
次に類題が出題された場合、まず「欲求が満たせない状況」「受け入れがたい感情や衝動があるか」という前提条件を確認します。次に、「正反対の行動や感情を示す」といった「逆転」のキーワードがあるか、あるいは「感情や欲求の対象が変わる」「もっともらしい理由をつける」「現実を認めない」など、各防衛機制に固有の特徴的な行動パターンを示すキーワードに注目して判断します。
関連知識
フロイトが提唱した防衛機制の概念とその種類(抑圧、否認、合理化、投射、同一視、退行、昇華、知性化など)。それぞれの防衛機制がどのような状況で働き、どのような心の働きを示すか。防衛機制は適応的に働くこともあれば、不適応的に働くこともあるという理解。