自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
自律訓練法は、ドイツの精神科医シュルツによって考案された心身医学的なリラクセーション法です。自己暗示によって「手足が重い」「手足が温かい」「心臓が静かに規則正しく打っている」といった特定の感覚を意識的に作り出し、心身を深くリラックスした状態(自己催眠的な状態)に導くことを目的とします。このプロセスは、設問で問われている「自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法」に完全に合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 思考や感情のパターンを認識し、認知行動療法などで用いられる自己分析の手法であり、自己暗示によるリラクゼーションを目的とするものではありません。正しくは:自身の思考や感情を客観的に記録・分析し、非合理的な思考パターンを修正する認知行動療法の一技法です。選びやすい理由:「自己」という言葉と関連付けやすい心理的なアプローチであるため、選択肢として目を引きやすいかもしれません。混同注意:マインドフルネスや日記療法といった、自己内省を促す他の心理的手法と混同されることがあります。
- 2. 正解。自己暗示によって、体の各部位に「重さ」や「温かさ」などの感覚を集中させ、心身を深くリラックスした、いわゆる自己催眠状態へと導く代表的な技法だからです。
- 3. 精神分析において、心に浮かぶあらゆる思考やイメージを自由に言葉にすることで、無意識を探求する技法であり、リラクゼーションを直接の目的とするものではありません。正しくは:精神分析の際に、患者が無意識下の葛藤や感情を語り出すことを促す、治療者主導の会話手法です。選びやすい理由:「心」や「無意識」といった心理学的な概念と関連が深いため、リラックス法の一種であると誤解されやすいかもしれません。混同注意:瞑想やマインドフルネスのような、自己の内面を見つめる他の心理的手法と混同されることがあります。
- 4. 身体の特定の筋肉群を意図的に緊張させた後、弛緩させることを繰り返すことで、心身の緊張を段階的に解きほぐすリラクゼーション法です。自己暗示による催眠状態の誘導とはメカニズムが異なります。正しくは:特定の筋肉群を意識的に強く収縮させた後、力を抜くことで筋肉の弛緩を感じ取り、リラックスを促す身体的な技法です。選びやすい理由:リラクゼーション法として非常に有名であり、身体感覚に焦点を当てる点で自律訓練法と共通点があるように感じられ、選択されやすい可能性があります。混同注意:自律訓練法(両者ともに身体的な感覚を利用してリラックスを促しますが、自律訓練法は自己暗示、漸進的筋弛緩法は筋肉の収縮と弛緩のコントラストを利用します)。
- 5. 現在瞬間の体験に意識を集中し、それを評価せずに受け入れることで、心の状態を整える実践です。リラックス効果はありますが、自己暗示によって催眠状態を積極的に誘導する手法とは異なります。正しくは:呼吸や身体感覚、音など、今この瞬間に意識を向け、判断せずに受け入れることで精神的な安定を図る瞑想法です。選びやすい理由:心身のリラックスやストレス軽減に効果があることで広く知られているため、一般的なリラクゼーション法として選択されやすいでしょう。混同注意:瞑想全般、または自律訓練法(リラックス効果がある点で共通していますが、アプローチが異なります)。
国試ポイント
本問題は、心理療法における主要なリラクセーション技法の基本的な概念と、その具体的なメカニズムを理解しているかを問うものです。特に「自己暗示」と「催眠状態」というキーワードが、自律訓練法を特定する重要な手掛かりとなります。各技法の名称だけでなく、その原理と目的を正確に把握していることが求められます。
混同注意
漸進的筋弛緩法やマインドフルネスは、自律訓練法と同様にリラクセーション効果をもたらしますが、その機序が異なります。漸進的筋弛緩法は筋肉の緊張と弛緩のコントラストを、マインドフルネスは現在の瞬間の意識を重視します。自己暗示による「催眠状態」の誘導という点が、自律訓練法の決め手となります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、「自己暗示」や「自己催眠」といったキーワードがあれば自律訓練法をまず疑います。一方で、「筋肉の緊張と弛緩」であれば漸進的筋弛緩法、「今ここへの注意」であればマインドフルネス、「思考の整理」であればコラム法、というように、核となるメカニズムを区別する視点が重要になります。
関連知識
リラクセーション技法には、自律訓練法、漸進的筋弛緩法の他に、呼吸法、バイオフィードバック、瞑想、イメージ療法などがあります。それぞれの技法がどのようなメカニズムで心身に作用し、どのような目的で用いられるのかを理解しておくことが重要です。また、これら技法が適用される疾患や状態(ストレス関連疾患、不安障害、疼痛管理など)についても関連付けて学習すると良いでしょう。