関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準1995年)に従って図のように肩関節の可動域を測定する。正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
肩関節の外転運動を測定する際、代償運動として最もよく見られるものの一つが体幹の側屈です。これは、真の肩甲上腕関節の動きではなく、体幹の傾きによって見かけ上の腕の挙上を得ようとする動きであり、正確な可動域を評価するためには厳重に監視し、防ぐ必要があります。日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会基準(1995年)においても、測定時の注意点として記載されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩関節の外転(図で想定される動き)の標準的な測定姿勢は、座位または立位です。仰臥位では体幹の固定はしやすいですが、重力の影響や全可動域の評価が難しい場合があります。特に代償運動の確認には座位や立位の方が適しています。正しくは:測定は座位または立位で行う。選びやすい理由:肩関節の屈曲や内外旋など、一部の運動は仰臥位で行うことがあるため、迷う可能性があります。混同注意:肩関節屈曲や内外旋の測定姿勢と混同しやすいです。
- 2. 選択肢5で「体幹側屈の代償運動」が指摘されていることから、測定されているのは肩関節の外転であると判断できます。肩関節の屈曲では、体幹側屈のような明らかな代償運動は通常発生しません。正しくは:測定対象の運動方向は外転である。選びやすい理由:肩関節の主要な運動方向の一つであるため、一般知識として想起されやすいかもしれません。混同注意:肩関節の外転と屈曲の代償運動の種類を混同している可能性があります。
- 3. 肩関節の外転の基本軸は、体幹の正中線(体幹の背面に垂直に立てた線)です。上腕骨は移動軸として使用されます。上腕骨を基本軸とするのは、肩関節の回旋(内外旋)測定時です。正しくは:基本軸は体幹正中線を用いる。選びやすい理由:上腕骨が肩関節の主要な構成骨であり、測定に関わるため、基本軸と誤解しやすいかもしれません。また、肩関節回旋では上腕骨が基本軸となるため、その知識と混同しやすいです。混同注意:基本軸と移動軸、および肩関節の各運動における基本軸を混同しやすいです。
- 4. 肩関節の外転の参考可動域は0度から180度です。135度は標準的な参考可動域の数値ではありません。正しくは:参考可動域は180度である。選びやすい理由:135度という数値は、他の関節の可動域や、肩関節の初期または中期可動域を示す際に使われることがあるため、誤って正しいと判断するかもしれません。混同注意:他の関節(例: 膝関節屈曲の参考可動域140度など)の参考可動域と混同している可能性があります。また、肩関節における肩甲上腕関節の可動域と肩甲骨との協調運動による全体可動域の違いを混同している可能性もありますが、基準では全体を指すことが多いです。
- 5. 正解。肩関節の外転運動を行う際、特に可動域が制限されている場合や無理に大きく動かそうとする場合に、体幹を反対側に傾ける(側屈)ことで代償することが頻繁に見られます。これは正確な肩関節の可動域を評価する上で重要な注意点です。この代償運動を防止するために、測定者は体幹をしっかりと固定する必要があります。
国試ポイント
関節可動域測定法(ROM測定)は理学療法士国家試験において頻出テーマです。特に、測定肢位、基本軸、移動軸、参考可動域、そして代償運動の有無に関する知識が問われます。今回は、肩関節の外転における典型的な代償運動に焦点を当てており、臨床現場での実践的な知識が問われる問題と言えます。
混同注意
肩関節の各運動方向(屈曲、伸展、内外転、内外旋)における測定方法、基本軸、移動軸、参考可動域、そして代償運動がそれぞれ混同されやすいです。特に、代償運動は様々な関節・運動で発生するため、どの運動でどのような代償が起こりやすいかを正確に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点が次に問われた場合、肩関節の他の運動(屈曲、内外旋など)の測定方法や代償運動、または他の主要な関節(股関節、膝関節など)のROM測定に関する詳細な知識(基本軸、移動軸、参考可動域、代償運動の種類)が問われる可能性が高いです。特に、代償運動の種類とその防止策は臨床で重要です。
関連知識
肩関節のROM測定において重要な要素は以下の通りです。1. 測定肢位: 一般的に座位または立位。体幹の固定が重要。2. 基本軸: 体幹正中線。3. 移動軸: 上腕骨。4. 参考可動域: 0-180度。5. 代償運動: 体幹側屈、肩甲骨の過剰な挙上・上方回旋など。これらを適切に観察し、記録することで正確な評価が可能となります。