50歳の男性。1か月前から腰痛と右殿部痛が生じ、徐々に右下肢の疼痛が増悪してきた。腰部MRI(別冊No. 2)を別に示す。この病態で陽性になるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
提示された症例は50歳男性の腰痛と右下肢痛の増悪であり、下図のMRI画像で腰椎椎間板ヘルニア(特にL4/5やL5/S1レベル)が示唆される場合、神経根圧迫による坐骨神経痛が強く疑われます。Lasègue testは坐骨神経の牽引を評価するもので、神経根圧迫による症状がある場合に陽性となります。他の選択肢は膝関節や足関節の整形外科的検査であり、本症例の病態には直接関連しません。
選択肢ごとの解説
- 1. Apley testは膝関節の半月板損傷や靭帯損傷を評価する検査であり、腰椎疾患による下肢痛とは関連性が低いです。正しくは:膝関節の半月板や靭帯損傷を評価する検査である。選びやすい理由:下肢の痛みを訴えているため、下肢関連の検査を想起させる可能性があります。混同注意:下肢痛の鑑別診断において、膝関節疾患との区別が重要となる場合があります。
- 2. 正解。Lasègue test(ラセーグ徴候)は、坐骨神経の牽引によって疼痛を誘発する検査であり、腰椎椎間板ヘルニアなどによる神経根圧迫症状(坐骨神経痛)を評価するのに用いられます。下図のMRI画像から腰椎椎間板ヘルニアが示唆される場合、この検査は陽性となります。正しくは:腰椎椎間板ヘルニアなどによる神経根圧迫症状(坐骨神経痛)を評価する検査である。選びやすい理由:下肢痛があるため、神経症状を疑うには適切な検査です。混同注意:神経学的検査の知識が不十分だと、他の整形外科的検査と混同する可能性があります。
- 3. Lachman testは膝関節の前十字靭帯損傷を評価する検査であり、腰椎疾患による下肢痛の評価には適していません。正しくは:膝関節の前十字靭帯損傷を評価する検査である。選びやすい理由:Apley testと同様に、下肢の痛みに関連する検査として誤解される可能性があります。混同注意:膝関節の安定性評価に関する検査として、他の膝関節検査と区別する必要があります。
- 4. Thompson testはアキレス腱断裂を評価する検査であり、腰椎疾患による下肢痛とは直接関係がありません。正しくは:アキレス腱断裂を評価する検査である。選びやすい理由:下肢の特定の部位の痛みや機能障害を示すため、誤って選択される可能性があります。混同注意:下腿後面の症状を訴える場合に、神経根症状と腱損傷を鑑別する知識が求められます。
- 5. McMurray testは膝関節の半月板損傷を評価する検査であり、腰椎疾患による下肢痛の診断には用いられません。正しくは:膝関節の半月板損傷を評価する検査である。選びやすい理由:膝関節疾患の有名な検査であるため、下肢痛の鑑別診断で想起される可能性があります。混同注意:膝関節の他の検査と同様に、膝関節の病態と腰椎由来の神経症状の区別が重要です。
国試ポイント
腰椎疾患による神経根症状の評価に必要な理学検査の知識が問われています。特に、下肢痛を訴える患者に対して、その原因が腰椎由来なのか、あるいは末梢関節由来なのかを鑑別するための基本的な検査法を理解していることが重要です。
混同注意
各選択肢はすべて整形外科領域の著名な検査ですが、評価対象の部位と病態が大きく異なります。下肢痛の鑑別診断において、どの検査がどの病態に特異的かを正確に理解していないと混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
Lasègue testが陽性の場合、その後の詳細な神経学的診察として、深部腱反射、感覚検査、徒手筋力検査を行い、どの神経根が圧迫されているかを確認します。また、画像所見との整合性を確認し、保存療法か手術療法かの治療方針を決定します。
関連知識
腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などの坐骨神経痛をきたす疾患の病態生理と、それらを鑑別するための神経学的検査(Lasègue test, Fémoral nerve stretch testなど)の実施方法と陽性所見の意味。また、Apley test, Lachman test, Thompson test, McMurray testなどの各関節の主要な理学検査の対象疾患と方法。