52歳の男性。2型糖尿病。足のしびれと血糖値の上昇のため入院となった。検査結果では空腹時血糖305 mg/dL、尿検査でケトン体陽性であった。虚血性心疾患と腎機能障害は認めない。この患者への対応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
2型糖尿病患者でケトン体が検出されるほどの高血糖状態(空腹時血糖305 mg/dL)では、インスリン作用不足による急性合併症(糖尿病ケトアシドーシスなど)のリスクがあり、運動によって血糖がさらに上昇する可能性があるため、激しい運動は避けるべきです。病棟内の歩行のような軽度な負荷であれば、活動量を維持しつつ急激な血糖変動を避けられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 安静臥床は、活動量の低下を招き、インスリン感受性の改善や血糖コントロールに寄与しないため不適切です。また、過度な安静は廃用症候群のリスクもあります。正しくは:軽度な活動は継続し、安静臥床は避けるべきです。選びやすい理由:高血糖状態であるため、安静にすべきと誤解する可能性があります。混同注意:急性期の重症合併症で絶対安静が必要な病態と混同する可能性があります。
- 2. 空腹時血糖値305 mg/dL、尿中ケトン体陽性の状態では、運動によって血糖がさらに上昇したり、ケトアシドーシスが悪化するリスクがあるため、運動は禁忌または慎重であるべきです。200kcal消費する運動は、この状態では適切ではありません。正しくは:この状態では運動は控え、まず血糖コントロールを優先すべきです。運動を開始する場合は、ケトン体が消失し血糖値が250mg/dL未満になってからにするのが望ましいです。選びやすい理由:糖尿病治療には運動療法が重要であるため、運動を推奨する選択肢を選びたくなる可能性があります。混同注意:血糖コントロールが安定している糖尿病患者への運動療法と混同する可能性があります。
- 3. 1 RMの80%での下肢の筋力増強運動は、中〜高強度のレジスタンストレーニングに該当します。高血糖・ケトン体陽性の状態では、このような高負荷の運動は血糖をさらに悪化させるリスクがあり不適切です。正しくは:この状態での高強度運動は避け、血糖値が改善してから適切な強度で導入を検討すべきです。選びやすい理由:糖尿病患者には筋力トレーニングも推奨されるため、これを良い運動と判断する可能性があります。混同注意:血糖コントロールが安定している糖尿病患者への筋力トレーニングの推奨と混同する可能性があります。
- 4. 正解。空腹時血糖値305 mg/dLで尿中ケトン体が検出されている状況では、運動は相対的禁忌となります。しかし、病棟内の歩行のような軽度な負荷であれば、廃用症候群を予防しつつ、急激な血糖上昇リスクを最小限に抑えられます。インスリン治療などで血糖値が下がり始めていれば、軽度な活動は血糖降下作用も期待できます。選びやすい理由:軽度な負荷であるため、安全性が高いと判断できるからです。混同注意:運動の絶対的禁忌と、相対的禁忌における軽度活動の許容範囲。
- 5. 目標心拍数115/分での有酸素運動は、中〜高強度の運動に相当します。空腹時血糖305 mg/dL、尿中ケトン体陽性の状態では、このような中等度以上の運動は血糖上昇やケトアシドーシスの悪化を招く危険があるため不適切です。虚血性心疾患はないとされていますが、高血糖時の運動自体がリスクです。正しくは:この状態では有酸素運動は控え、血糖コントロールを優先すべきです。運動を開始する場合は、ケトン体が消失し血糖値が250mg/dL未満になってからにするのが望ましいです。選びやすい理由:有酸素運動は糖尿病治療の基本であるため、推奨される運動と誤解する可能性があります。混同注意:血糖コントロールが安定している糖尿病患者への有酸素運動の推奨と混同する可能性があります。
国試ポイント
糖尿病患者の運動療法の禁忌と相対的禁忌、および高血糖時の運動に関する注意点。
混同注意
血糖コントロールが良好な場合の運動と、ケトン体検出時のような血糖コントロール不良時の運動の区別。
次に同じ論点が出たら
糖尿病患者の運動療法問題では、まず症例の血糖値、ケトン体の有無、合併症(心疾患、腎機能障害、網膜症など)の有無を確認し、運動実施の可否と運動強度を判断する。
関連知識
糖尿病患者の運動療法の絶対的禁忌(例:増殖網膜症、不安定狭心症、重症腎症、活動性足病変)と、相対的禁忌(例:空腹時血糖250mg/dL以上でケトン体陽性、心疾患の既往、自律神経障害)を一緒に覚える。