随意運動について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
小脳は、運動のタイミングや精度を調整し、姿勢の保持、平衡機能、運動学習に深く関わります。これにより、随意運動が滑らかで協調的、かつ目標通りに実行されるように制御する重要な役割を担っています。例えば、歩行や指先を使った精密な動作など、あらゆる随意運動の円滑化に寄与しています。
選択肢ごとの解説
- 1. γ運動ニューロンは筋紡錘内の錘内筋線維(感覚受容器)を支配し、筋の伸張感受性を調節します。随意的な筋収縮の指令を直接骨格筋に伝えるのはα運動ニューロンです。正しくは:α運動ニューロンは、意図的な筋収縮の指令を筋肉へ直接伝達します。選びやすい理由:「運動ニューロン」という言葉から、筋収縮と直接関連すると思いやすいです。混同注意:α運動ニューロンとγ運動ニューロンの役割を混同しやすいです。α運動ニューロンが錘外筋線維を収縮させ、γ運動ニューロンが錘内筋線維の緊張を調整することで、筋紡錘の感度を保ちます。
- 2. 一次運動野(運動野)では、身体各部位の代表領域の大きさは、その部位の運動機能の複雑さや重要性に比例します。手の領域、特に巧緻運動を司る部分は、脳の皮質上では非常に広範囲を占めています。正しくは:一次運動野では、巧緻な動きを必要とする手の領域は広い。選びやすい理由:「小さい」という言葉に漠然としたイメージで流されやすいです。体表面積の大小と皮質上の占有面積は異なります。混同注意:身体のサイズと皮質マップのサイズを混同しやすいです。運動野や体性感覚野のホムンクルスでは、手や顔のように機能的に重要な部位ほど皮質での占める割合が大きくなります。
- 3. ベッツの巨大錐体細胞は、一次運動野の大脳皮質第Ⅴ層に特異的に存在する大きな神経細胞であり、錐体路の主要な構成要素となります。補足運動野には存在しません。正しくは:ベッツの巨大錐体細胞は、一次運動野の大脳皮質第Ⅴ層に存在します。選びやすい理由:運動関連の皮質であることと、皮質の層構造の知識から、部分的に正しい情報と混同しやすいです。混同注意:一次運動野と補足運動野の機能を混同しやすいです。また、皮質層の知識(V層に錐体細胞が存在すること)は正しいですが、それがどの領域に特異的に存在するかを区別する必要があります。
- 4. 正解。小脳は、随意運動の協調性、平衡、姿勢の維持、運動学習などに関与し、運動の開始、速度、範囲、力の調節を行い、運動をスムーズかつ正確にするために不可欠な役割を担っています。選びやすい理由:小脳の機能として最も基本的な内容の一つであり、分かりやすい記述です。混同注意:小脳が運動の直接的な指令を出すわけではなく、あくまで調整・修正を行う役割であることを理解しているかがポイントです。
- 5. 放線冠は、大脳皮質と脳幹・脊髄を結ぶ主要な神経線維の束で、主に錐体路の一部を形成しています。そのため、放線冠の障害は錐体路に影響を及ぼし、錐体路症状(例:痙性麻痺、バビンスキー反射陽性など)が出現します。錐体外路症状(例:振戦、固縮、無動など)は、大脳基底核などの錐体外路系の障害によって生じます。正しくは:放線冠の障害で、錐体路症状が出現します。選びやすい理由:放線冠が脳の深部にある重要な運動経路であるため、運動障害全般を引き起こすという漠然とした知識から、錐体外路症状も含むと考えてしまう可能性があります。混同注意:錐体路と錐体外路の経路とその症状の違いを混同しやすいです。放線冠は内包と連続する錐体路の上位運動ニューロンの主要な経路です。
国試ポイント
随意運動に関わる各部位の機能や解剖学的知識が正確に問われています。特に、一次運動野、補足運動野、小脳、γ運動ニューロン、ベッツ細胞、錐体路・錐体外路といった中枢神経系の主要な構成要素について、その役割や位置付けを正しく理解しているかを確認する問題です。
混同注意
各運動中枢(一次運動野、補足運動野、小脳、大脳基底核)の機能の違い、γ運動ニューロンとα運動ニューロンの役割、錐体路と錐体外路の症状の違い、そして特定の神経細胞(ベッツ細胞)の局在を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後も、脳の各部位が随意運動においてどのような役割を担っているか、その解剖学的な位置付けや主要な神経細胞・神経路の名前と関連付けて問われることが予想されます。特に、損傷部位とそれに伴う症状の組み合わせ問題は頻出です。
関連知識
一次運動野の体部位局在(運動ホムンクルス)、補足運動野と前運動野の役割、小脳の解剖学的区分と機能(前葉、後葉、片葉小節葉)、大脳基底核の機能(運動の開始、抑制、学習)、錐体路と錐体外路の経路と主要な構成要素、運動ニューロンの種類とその支配。