骨壊死を合併しやすい骨折はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
大腿骨頸部骨折は関節包内骨折であり、大腿骨頭への主要な血行供給路(主に内側大腿回旋動脈の枝)が損傷されやすいです。これにより、大腿骨頭の栄養血管が遮断され、高頻度に大腿骨頭壊死を合併するリスクがあるため、骨壊死を合併しやすい骨折としてよく知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 鎖骨遠位部骨折では、骨壊死の合併は稀です。この部位の血行は比較的良好であるため、主要な合併症とはされません。正しくは:鎖骨遠位端骨折は比較的血行が保たれやすく、骨壊死の発生はまれです。主な合併症としては偽関節や変形治癒が挙げられます。選びやすい理由:鎖骨は体表に近く、外部からの衝撃を受けやすい部位であるため、血行障害が発生しやすいと誤解する可能性があります。混同注意:肩関節周辺の他の骨折、例えば上腕骨近位端骨折(特に解剖頸骨折)など、血行障害による骨壊死のリスクが高い部位と混同するかもしれません。
- 2. 上腕骨外科頸骨折でも非常に稀に骨壊死を合併することがありますが、大腿骨頸部骨折と比較するとそのリスクはかなり低いです。主に高齢者に発生し、合併症としては偽関節や神経損傷が多いです。正しくは:上腕骨外科頸骨折の主な合併症は、神経損傷(腋窩神経など)、偽関節、そして肩関節の機能障害です。骨壊死のリスクは、より近位の上腕骨頭骨折(解剖頸骨折)の方が高いとされています。選びやすい理由:上腕骨近位端骨折として一括りに考えてしまうと、上腕骨頭壊死を連想し、この選択肢を選んでしまう可能性があります。混同注意:上腕骨頭への血行供給がより直接的に阻害されやすい「上腕骨解剖頸骨折」と混同しやすいです。外科頸骨折では血行路が完全に途絶えることは少ないです。
- 3. 中手骨骨幹部骨折は、通常、血行障害による骨壊死を合併することはほとんどありません。この部位は豊富な血行を持つため、主な合併症は転位や短縮、回転変形による機能障害です。正しくは:中手骨骨幹部骨折では血行障害による骨壊死を合併することは極めてまれであり、主に骨片の転位や短縮、回転変形などが原因で機能障害が発生します。選びやすい理由:骨折一般における合併症として骨壊死を漠然と認識している場合、特定の部位のリスクの差を理解していないと誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:血行不良のため骨壊死のリスクが高い手根骨(例:舟状骨)の骨折と混同しやすいです。中手骨と手根骨では血行支配が異なります。
- 4. 正解。大腿骨頸部骨折は関節包内で発生する骨折であり、大腿骨頭への主要な血液供給路である内側大腿回旋動脈の枝(特に外側上皮枝)が損傷されやすいです。これにより、大腿骨頭の血行が阻害され、高頻度に大腿骨頭壊死を合併します。
- 5. 膝蓋骨骨折では、骨壊死の合併は非常に稀です。膝蓋骨は比較的豊富な血行を持つため、主な合併症は関節可動域制限や大腿四頭筋の筋力低下、術後感染などです。正しくは:膝蓋骨骨折では、骨壊死の合併は極めてまれです。主要な合併症は、膝関節の機能障害(可動域制限や筋力低下)や術後感染であり、血行障害は主な問題ではありません。選びやすい理由:膝関節周囲の骨折として、他の部位(例えば大腿骨顆部)の合併症と混同したり、強い衝撃によって血行障害が起こりやすいと誤解する可能性があります。混同注意:膝関節周囲の骨折で問題となる神経血管損傷(例:大腿骨顆部骨折に伴う腓骨神経麻痺)と混同するかもしれませんが、膝蓋骨自体の骨壊死は一般的ではありません。
国試ポイント
骨折部位と合併症の関連性、特に血行障害による骨壊死のリスクが高い部位を問う問題は頻出です。主要な骨折部位における血行支配と、それに関連する特有の合併症を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
上腕骨近位端骨折(特に解剖頸骨折)と外科頸骨折の骨壊死リスクの違い、手根骨(例:舟状骨)骨折と中手骨骨幹部骨折の血行障害の違いなど、血行支配による骨壊死のリスクが異なる部位を混同しやすいです。また、骨折全般で骨壊死が起こりうるとする漠然とした知識と、特定の部位で高リスクであることを区別できていない場合も混乱しやすいでしょう。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が問われた場合、具体的な血行路の名前(例:内側大腿回旋動脈)を挙げさせて選択させる問題や、他の骨折部位(例:舟状骨骨折、距骨骨折、上腕骨解剖頸骨折など)における骨壊死のリスクを比較させる形で出題される可能性があります。
関連知識
大腿骨頭壊死の病態生理、内側大腿回旋動脈の走行と大腿骨頭への血行供給、各骨の血行支配、他の骨折における特有の合併症(例:舟状骨骨折における偽関節と骨壊死、距骨骨折における骨壊死、脛骨高原骨折における腓骨神経麻痺など)についても理解しておく必要があります。