運動時のエネルギー供給で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
有酸素性エネルギー供給は、酸素と栄養素(糖質・脂質)を基盤として、ATPを継続的に、かつ非常に効率的に大量に生産するシステムです。ミトコンドリア内で行われ、長時間の運動において主要なエネルギー源となります。他の選択肢は、クレアチンリン酸系と乳酸生成、運動開始時の優先順位、長時間の運動におけるエネルギー源、嫌気性代謝閾値の定義に関して誤った記述を含んでいます。
選択肢ごとの解説
- 1. クレアチンリン酸系はATP-PCr系とも呼ばれ、非常に短時間でATPを生成するシステムですが、この過程で乳酸は生成されません。乳酸が生成されるのは解糖系(無酸素性解糖)です。正しくは:クレアチンリン酸系では乳酸が蓄積しない。選びやすい理由:運動時のエネルギー代謝は複雑であり、乳酸と関連する代謝経路が多いことから、誤って関連付けてしまう可能性があります。混同注意:乳酸系(解糖系)とクレアチンリン酸系が混同されやすいです。
- 2. 運動開始直後(数秒間)の最も迅速なATP供給源はクレアチンリン酸系です。その後、解糖系(無酸素性解糖)が活性化し、さらに有酸素系へと移行します。正しくは:運動開始後最初に使われるのはクレアチンリン酸系である。選びやすい理由:解糖系も運動開始直後から比較的早く活性化されるため、誤って最初と判断してしまう可能性があります。混同注意:クレアチンリン酸系と解糖系の開始タイミングや寄与度が混同されやすいです。
- 3. 長時間の運動では、酸素を十分に利用できる有酸素性エネルギー供給系(脂肪や糖を主な燃料とする酸化系)が優位になります。無酸素性エネルギー供給は短時間・高強度の運動で主に使われます。正しくは:長時間の運動では有酸素性エネルギーに依存する。選びやすい理由:運動強度が高まると無酸素性代謝の割合が増えるため、長時間の運動であっても「きついから無酸素」という誤解が生じやすいです。混同注意:運動時間と運動強度によるエネルギー供給系の変化が混同されやすいです。
- 4. 正解。有酸素性エネルギー供給(酸化系)は、クレアチンリン酸系や解糖系と比較してATP生成速度は遅いものの、酸素と栄養素(主に糖や脂肪)を十分に利用することで、持続的にかつ大量のATPを生成できる効率的なシステムです。正しくは:(正しい記述のため修正不要)選びやすい理由:(正しい記述のため特になし)混同注意:(正しい記述のため特になし)
- 5. 嫌気性代謝閾値〈AT〉(または乳酸閾値)とは、運動強度を上げていくにつれて、血中乳酸濃度が急激に上昇し始める点、あるいは乳酸の産生が除去を上回り始める点を指します。低下する点ではありません。正しくは:嫌気性代謝閾値〈AT〉とは血中乳酸濃度が急激に上昇し始める点である。選びやすい理由:「閾値」という言葉の解釈や、乳酸濃度の動態についての理解が曖昧だと誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:運動強度と乳酸濃度の関係(上昇と低下)や、AT、OBLA(血中乳酸蓄積開始点)などの専門用語が混同されやすいです。
国試ポイント
運動時のエネルギー供給システム(クレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系)それぞれの特徴、特にATP生成速度、生成量、利用される運動強度・時間、および乳酸との関連性について正確な知識が問われています。また、嫌気性代謝閾値などの関連用語の定義も重要です。
混同注意
各エネルギー供給系の名前とその役割、乳酸の生成・蓄積・除去のメカニズム、運動強度・時間に応じたエネルギー源のシフト、および関連する生理学的指標(例:AT, OBLA)の定義が混同されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、各エネルギー供給系の具体的な反応場所(細胞質、ミトコンドリア)、各栄養素(糖、脂質、タンパク質)がどの経路で利用されるか、疲労メカニズムとの関連性、トレーニングによる各システムの適応など、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
ATP-PCr系、解糖系(無酸素性解糖)、クエン酸回路、電子伝達系、脂肪酸のβ酸化、運動強度とVO2maxの関係、乳酸シャトル、乳酸閾値(LT)、換気性閾値(VT)