脳の領域と機能の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では2・4のいずれも正解とされています。 2. 縁上回は劣後頭小葉の一部であり、空間的構成能力や身体図式の形成に重要な役割を担います。この部位の損傷は、構成失行や半側空間無視を引き起こすことがあります。4. 前頭前野は、実行機能(計画、意思決定、ワーキングメモリ、注意、行動の抑制など)の中枢であり、不適切な行動を自制する機能は特に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 角回は、言語理解(特に読字や書字)、計算、空間認知、記憶の想起など、複数の高次機能に関与しますが、情動の主要な中枢ではありません。正しくは:角回は言語理解、計算、空間認知などに関わる。情動は扁桃体や前頭前野が主に関与する。選びやすい理由:角回は広範な認知機能に関わるため、情動との関連を漠然とイメージしやすいかもしれませんが、直接的な主機能とは言えません。混同注意:情動に関する機能が扁桃体や帯状回、前頭前野などに局在していることと混同しやすいです。
- 2. 正解。縁上回は下頭頂小葉の一部であり、身体図式の認識、空間的構成能力、さらには失行や半側空間無視といった高次脳機能障害に深く関与しています。特に、空間的な情報を統合し、物体の位置関係や自身の身体との関連を把握する上で重要な役割を担います。
- 3. ブローカ野は、言語の産出(発話や書字など)を司る運動性言語野であり、聴覚そのものとは直接的な関係がありません。聴覚情報は側頭葉の一次聴覚野で処理されます。正しくは:ブローカ野は言語の産出に関わる運動性言語野である。聴覚は側頭葉の聴覚野が主に関与する。選びやすい理由:言語に関する領域であるため、言語理解の一部としての聴覚と関連付けてしまいがちですが、ブローカ野の主な機能は言語の運動プログラムです。混同注意:言語の理解を司るウェルニッケ野や、聴覚そのものを処理する一次聴覚野(側頭葉)の機能と混同しやすいです。
- 4. 正解。前頭前野は、計画立案、意思決定、ワーキングメモリ、注意、そして行動の抑制といった実行機能の中核を担っています。不適切な行動を自制したり、衝動的な反応を抑えたりする役割は、前頭前野の重要な機能の一つです。
- 5. ウェルニッケ野は、言語の理解を司る感覚性言語野です。言葉の意味を解釈し、理解する機能が主であり、身体運動の計画やプログラミングには直接関与しません。運動のプログラミングは、補足運動野や運動前野などが重要な役割を担います。正しくは:ウェルニッケ野は言語の理解に関わる感覚性言語野である。運動のプログラミングは補足運動野や運動前野が主に関与する。選びやすい理由:ブローカ野が運動性言語野であるため、ウェルニッケ野も何らかの運動に関わると誤解する可能性があります。しかし、ウェルニッケ野は感覚性です。混同注意:運動性言語野であるブローカ野の機能(発話の運動プログラム)や、純粋な運動皮質の機能と混同しやすいです。
国試ポイント
脳の各領域が担う主要な機能に関する知識、特に高次脳機能障害と関連する重要な部位の機能局在が問われています。言語野(ブローカ野、ウェルニッケ野)や、頭頂葉の機能、前頭前野の実行機能に関する理解が必須です。
混同注意
ブローカ野とウェルニッケ野の機能(運動性vs感覚性)は非常によく混同されます。また、情動や運動プログラミングといった多岐にわたる機能が、特定の単一の脳領域にのみ局在するわけではないため、複数の部位との関連性を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず『主要な機能領域の解剖学的位置と基本機能』を正確に思い出しましょう。特に言語野、頭頂葉の高次機能(空間認知、身体図式)、前頭前野の実行機能は頻出です。それぞれの領域が損傷した場合に生じる高次脳機能障害の症状と結びつけて学習すると、より理解が深まります。
関連知識
中心前回(一次運動野)と運動、中心後回(一次体性感覚野)と感覚、後頭葉と視覚、側頭葉と聴覚・記憶、扁桃体と情動、海馬と記憶、小脳と運動協調性・平衡感覚、基底核と運動調節。