無意識の願望と思考を意識的に気付きから排除する防衛機制はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番(いずれも正解)
解説
【公式の取扱い】この問題は1つを選ぶ形式ですが、公式の正答表では3・4のいずれも正解とされています。 防衛機制のうち、「抑圧」と「抑制」は、いずれも自身にとって受け入れがたい感情や思考を意識から遠ざける働きを持ちます。抑圧は、不快な感情や思考を無意識の領域に押し込める、無意識的なプロセスです。一方、抑制は、不快な感情や思考を意識的に意識から遠ざけ、一時的に棚上げする、意識的なプロセスです。設問の「無意識の願望と思考を意識的に気付きから排除する」という表現は、結果として「意識の表面から退ける」という状態を指しており、その手段として無意識的な「抑圧」も、意識的な「抑制」も該当すると解釈できます。特に「意識的に気付きから排除する」という文言は、意識的なコントロールが関与する「抑制」に直接的に合致しますが、問題の意図として「意識から遠ざける防衛機制」の代表例としてこれら二つを問うていると考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 昇華は、社会的に受け入れられない衝動や欲求を、より高次元で価値のある活動へと転換する防衛機制です。これは意識的な気づきから不快な思考を「排除する」というよりも、別の建設的な形へと「転換する」ため、設問の内容とは異なります。正しくは:社会的に容認されない欲求を、社会的に価値のある行動へと転換する防衛機制選びやすい理由:ポジティブな防衛機制として知られているため、一般的な精神的な対処法と誤解されやすいかもしれません。混同注意:反動形成(受け入れがたい感情と反対の行動をとる)、合理化(言い訳をして正当化する)など、他の成熟した防衛機制と混同されることがあります。
- 2. 「統制」は防衛機制の一般的な分類としては使用されない用語です。自己をコントロールするという意味合いで使われることはありますが、心理学における特定の防衛機制の名称ではありません。正しくは:防衛機制の用語としては適切ではありません。選びやすい理由:「自己をコントロールする」という一般的な意味合いから、心理的な対処法の一つであると誤解されやすい可能性があります。混同注意:知性化(感情を抑え、客観的に分析しようとする)や合理化といった認知的な防衛機制と混同される可能性があります。
- 3. 正解。抑圧は、意識にとって不快な観念や感情を無意識へと押し込める防衛機制です。自身では気づかないうちに無意識的に行われる点が特徴ですが、結果として「意識的な気づきから排除する」ことに合致します。このプロセスにより、受け入れがたい内容が意識の表面から退けられます。混同注意:抑制と最も混同されやすいです。抑圧は無意識的なプロセスであるのに対し、抑制は意識的なプロセスです。
- 4. 正解。抑制は、意識的に不快な思考や感情を一時的に意識の外に押し出し、後で対処しようと意図的に棚上げする防衛機制です。設問にある「意識的に気付きから排除する」という表現に最も直接的に合致する防衛機制です。混同注意:抑圧と最も混同されやすいです。抑制は意識的なプロセスであるのに対し、抑圧は無意識的なプロセスです。
- 5. 歪曲は、現実を自分の欲求に合わせて大きく変えて受け止める防衛機制です。現実認識そのものを変容させるものであり、思考や願望を意識から排除するプロセスとは異なります。正しくは:現実を自らの欲求に合わせて大幅に変えて認識する防衛機制選びやすい理由:現実認識を変えることで不快を避けるという点で、他の防衛機制と混同されやすいかもしれません。混同注意:否認(不快な現実を認めない)、投影(自分の感情を他者のものとしてみなす)など、現実と自己の関係性を歪める防衛機制と混同されることがあります。
国試ポイント
防衛機制に関する知識は精神科領域で頻出であり、特に「抑圧」と「抑制」の明確な違い(無意識的か意識的か)は国家試験で繰り返し問われます。具体的な事例を通して、どの防衛機制が働いているかを判断する能力も求められます。
混同注意
「抑圧」と「抑制」の混同が最も多く見られます。それぞれの定義における『無意識的』と『意識的』の違いを正確に理解することが重要です。また、「統制」のように防衛機制ではない用語が選択肢に含まれることで、知識の曖昧さを突かれることがあります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、「感情や思考を意識から遠ざけるプロセスの主体が『無意識的』か『意識的』か」という点に着目して判断します。また、それぞれの防衛機制がどのような状況で用いられるか、その機能的側面からも理解を深めることが重要です。
関連知識
防衛機制には、昇華、反動形成、合理化、知性化などの成熟した防衛機制、抑圧、否認、投影などの神経症レベルの防衛機制、そして歪曲、分裂などの未熟な防衛機制といった分類があります。それぞれの定義と、具体例を関連付けて学習することが有効です。