健常成人の血圧で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
平均血圧の算出式に関する知識を問う問題です。平均血圧は、心拍出量と総末梢血管抵抗によって決定される血圧であり、拡張期血圧が収縮期血圧よりも心臓に与える影響が大きいため、脈圧の1/3を加えるという計算式が用いられます。他の選択肢は、血圧測定の基本、ABIの基準値、血圧の日内変動に関する誤った記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 収縮期血圧は、コロトコフ音が聴取され始める時点の圧力(第I相)を指します。音が完全に聞こえなくなる時点の圧力は拡張期血圧(第V相)です。正しくは:コロトコフ音が聴取され始める時点での圧を収縮期血圧とする。選びやすい理由:血圧測定においてコロトコフ音が重要な指標であるため、その音が関連することから、正しい記述のように感じられることがあります。特に、収縮期と拡張期のどちらに該当するか混同しやすいポイントです。混同注意:収縮期血圧(コロトコフ音第I相)と拡張期血圧(コロトコフ音第V相)の定義。
- 2. 触診法では、脈拍が触知できる最低の圧力を収縮期血圧としますが、これは聴診法でコロトコフ音が出現する時点よりもわずかに低いか、同じくらいになる傾向があります。一般的には聴診法の方が高く正確に測定されます。正しくは:触診法では聴診法に比べて収縮期血圧が低く測定される傾向がある。選びやすい理由:測定方法の違いによる誤差が生じることは知っていても、どちらの値が高くなるか、またはなぜそうなるかの理由を正確に理解していない場合に、誤って選んでしまうことがあります。混同注意:触診法と聴診法による収縮期血圧の測定値の相対的な差や、それぞれの測定原理。
- 3. 正解。この式(平均血圧 = 拡張期血圧 + 1/3 × 脈圧)は、平均血圧を近似的に算出するための一般的な方法です。心臓の拍動サイクルにおいて、拡張期の時間が収縮期よりも長いため、脈圧の半分ではなく1/3が拡張期血圧に加算されます。脈圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差です(脈圧 = 収縮期血圧 - 拡張期血圧)。
- 4. 足関節上腕血圧比(ABI)の正常範囲は、通常0.90以上(一般的には0.90~1.30程度)とされています。0.9未満は末梢動脈疾患(PAD)の可能性を示唆する異常値です。正しくは:足関節上腕血圧比の基準値は0.9以上である。選びやすい理由:ABIが末梢動脈疾患の診断に用いられる重要な指標であることは知っていても、具体的な基準値が曖昧な場合に、なんとなくそれらしい数値を選んでしまうことがあります。混同注意:ABIの正常値の範囲と、末梢動脈疾患が疑われるカットオフ値。
- 5. 健常成人の血圧は日内変動を示し、一般的には朝に上昇し、夜間(睡眠中)に最低値となります。夕方の血圧は朝の活動期のピーク値と比較して低くなる傾向はありますが、必ずしも「低い」とは断言できず、個人差や日内変動のパターン(dipper, non-dipper, reverse dipper)によっては変動します。特に、朝より夕方が低くなる、と限定的な言い方をしている点が、常に正しいとは限りません。正しくは:収縮期血圧は、一般的に夜間(睡眠中)に最も低くなる。選びやすい理由:朝高血圧や、日中の活動に伴う変動から、夕方には血圧が下がるという一般的な感覚で選んでしまいやすい記述です。しかし、日内変動には個人差があり、一概には言えません。混同注意:血圧の日内変動の一般的なパターン(朝の覚醒に伴う上昇、夜間の低下)と、個々の変動パターン(dipper, non-dipper, reverse dipper)やその臨床的意義。
国試ポイント
健常成人の血圧測定に関する基本的な知識(測定方法、基準値、生理的変動、算出式)が問われています。特に、血圧の定義、測定方法ごとの特徴、平均血圧の計算式、ABIの正常値は頻出する論点です。
混同注意
収縮期血圧と拡張期血圧の定義(特にコロトコフ音の各相)、各種測定法の原理と結果の差、および血圧の基準値や計算式を混同しやすいです。また、血圧の日内変動は個人差や疾患によって多様なパターンがあるため、一般的な傾向と例外を区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
血圧に関する問題が出た場合、まず「何について問われているか(定義、測定、算出、変動、異常値など)」を明確にし、それぞれの論点について正確な知識を照合することが重要です。特に数値や計算式、段階的な定義(例:コロトコフ音の相)は細部まで確認しましょう。
関連知識
コロトコフ音のI~V相の意味、聴診法と触診法の利点・欠点、オシロメトリック法、白衣高血圧、仮面高血圧、ABIの意義と測定方法、血圧の日内変動パターン(dipper, non-dipper, reverse dipper)、高血圧の診断基準。