27歳の男性。脊髄完全損傷(第5胸髄節まで機能残存)。日常生活は車椅子使用にて自立している。設計事務所に勤務しており、長時間のデスクワークを行うことが多い。多忙のため除圧を行う機会が少なくなっている。この状況が続いた場合、褥瘡が生じる可能性が最も高い部位はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脊髄損傷患者で車椅子に長時間座る場合、特に除圧の機会が少ない状況では、体重が最も集中し、かつ骨突出している仙骨部が褥瘡の発生リスクが最も高い部位となります。感覚障害があるため、痛みによる回避行動が起こらず、組織の虚血が進行しやすいことも大きな要因です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩甲部は車椅子座位で圧迫されることは比較的少ない部位です。特に、胸髄損傷の場合、体幹の安定性はある程度保たれるため、肩甲部への局所的な強い圧迫は考えにくいです。正しくは:肩甲部は、車椅子座位での主要な圧迫部位ではありません。選びやすい理由:上肢や体幹の可動域が制限される場合、特定の姿勢で圧迫される可能性はゼロではありませんが、長時間の座位における主要な褥瘡好発部位ではありません。混同注意:臥位での褥瘡好発部位(側臥位など)と混同する可能性があります。
- 2. 膝窩部は膝の裏側を指し、車椅子座位では通常、この部位が直接的な強い圧迫を受けることはありません。大腿の裏側から臀部にかけての荷重が主となります。正しくは:膝窩部は、車椅子座位での主要な圧迫部位ではありません。選びやすい理由:下腿部や足部が、車椅子フットレストなどで不適切な位置にある場合に圧迫を受ける可能性はありますが、膝窩部は直接的な好発部位とは言えません。混同注意:足部や下腿の浮腫、フットレストによる圧迫と混同する可能性があります。
- 3. 正解。仙骨部は、車椅子座位で最も体重が集中しやすく、骨突出も顕著なため、長時間の座位や除圧不足によって褥瘡が非常に発生しやすい部位です。脊髄損傷患者では感覚障害を伴うため、特にリスクが高いです。
- 4. 肘頭部は肘の先端の骨突出部ですが、通常、車椅子座位で持続的に強い圧迫を受けることは稀です。腕を置くアームレストの高さが不適切であったり、特定の動作をする際に一時的に圧迫されることはありますが、長時間の座位による主要な褥瘡好発部位ではありません。正しくは:肘頭部は、車椅子座位での主要な圧迫部位ではありません。選びやすい理由:上肢の支持に使われることがあるため、圧迫の可能性を連想させるかもしれませんが、褥瘡のリスクは低いと言えます。混同注意:臥位での褥瘡好発部位(仰臥位)と混同する可能性があります。
- 5. 腸骨部(特に腸骨稜)は、車椅子座位で直接的な荷重がかかる主要な部位ではありません。座位では坐骨結節や仙骨が主に圧迫されます。腸骨部への圧迫は、むしろ体位が崩れた場合などに生じやすいです。正しくは:腸骨部は、車椅子座位での主要な圧迫部位ではありません。選びやすい理由:骨突出部であるため、褥瘡のリスクを連想させるかもしれませんが、座位における主要な圧迫部位とは異なります。混同注意:坐骨結節や仙骨といった、座位での主要な骨突出部位と混同する可能性があります。
国試ポイント
脊髄損傷患者の車椅子座位における褥瘡好発部位に関する知識を問う問題です。感覚障害を持つ患者のリスク要因と、解剖学的な圧迫部位を正確に理解しているかが重要になります。
混同注意
他の骨突出部(坐骨結節、大転子、踵骨など)も褥瘡の好発部位ですが、設問の状況(車椅子での長時間のデスクワーク)を考慮すると、仙骨部が最も可能性が高い選択肢です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出題された場合、患者の疾患(感覚障害の有無)、活動状況(臥位、座位など)、使用している装具(車椅子、義肢など)から、最も圧迫がかかりやすい骨突出部位を特定できるかが問われるでしょう。また、褥瘡の段階評価や予防策についても問われる可能性があります。
関連知識
褥瘡発生のメカニズム(圧迫、剪断力、摩擦)、危険因子(感覚障害、栄養状態、活動性低下、湿潤)、褥瘡の評価スケール(ブレーデンスケールなど)、予防策(体位変換、除圧器具の使用、スキンケア、栄養管理)。