腹臥位で膝関節を屈曲させたところ、図のような現象が見られた。短縮が疑われる筋はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
大腿直筋は股関節屈曲と膝関節伸展を行う二関節筋です。腹臥位で膝関節を屈曲させようとすると、大腿直筋は股関節が伸展位に固定された状態で伸張されます。この際に大腿直筋が短縮していると、抵抗に抗して股関節が屈曲しようと代償が働き、結果として骨盤が前傾し、殿部が床から浮き上がる現象(エリテスト陽性)が観察されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 大殿筋は股関節の伸展・外旋を主な作用とする筋であり、膝関節の動きには直接関与しません。その短縮は、腹臥位での膝関節屈曲時に股関節の屈曲(骨盤前傾)を引き起こす主な原因とはなりません。正しくは:大殿筋の短縮は、股関節の屈曲制限や伸展可動域の減少として現れることが多いです。選びやすい理由:殿部の筋肉であるため、殿部が浮き上がる現象と結びつけて考えてしまう可能性があります。しかし、殿部が浮き上がるのは股関節屈曲による骨盤前傾のためであり、大殿筋の短縮が直接の原因ではありません。混同注意:股関節周囲の他の筋(例:中殿筋)の機能や、股関節の可動域制限全般の原因と混同する可能性があります。
- 2. 腸腰筋は股関節を強力に屈曲させる筋ですが、膝関節をまたいでいないため、膝関節の動きには直接関与しません。その短縮は、腹臥位での膝関節屈曲時に股関節の屈曲(骨盤前傾)を引き起こす直接的な原因ではありません。正しくは:腸腰筋の短縮は、股関節屈曲位での拘縮や、立位での腰椎過前弯として現れることが多いです。選びやすい理由:股関節屈筋であるため、骨盤前傾(股関節屈曲)と関連付けやすいですが、膝関節屈曲との直接的な関連性がないことを見落とす可能性があります。混同注意:大腿直筋も股関節屈筋であるため、股関節屈筋群として短絡的に結びつけてしまうことがありますが、膝関節の関与の有無で区別が必要です。
- 3. 梨状筋は股関節の外旋を主な作用とする深層筋であり、膝関節の動きには関与しません。その短縮が、腹臥位での膝関節屈曲時に股関節の屈曲(骨盤前傾)を引き起こす原因となることはありません。正しくは:梨状筋の短縮は、股関節の外旋制限や坐骨神経の圧迫(梨状筋症候群)として現れることがあります。選びやすい理由:股関節の深層筋であるため、なんとなく関与しそうだと考えてしまうかもしれませんが、直接的な関連性はありません。混同注意:股関節周囲の他の深層外旋筋や、坐骨神経痛の原因となる筋と混同する可能性があります。
- 4. 正解。大腿直筋は、股関節を屈曲させ、同時に膝関節を伸展させる二関節筋です。腹臥位で膝関節を屈曲させようとすると、この筋は伸張されます。もし大腿直筋が短縮している場合、その伸張に抵抗するため、股関節が屈曲し、結果として骨盤が前傾して殿部が浮き上がる現象が見られます。これは大腿直筋の短縮テスト(エリテスト)の陽性所見です。
- 5. 大腿二頭筋は膝関節屈曲筋で、腹臥位での膝屈曲で殿部が挙上する現象(尻上がり現象)の原因にはなりません。
国試ポイント
この問題は、二関節筋の機能解剖に関する知識と、筋の短縮を評価するテスト(特にエリテスト)の陽性所見の解釈能力を問うものです。特定の体位での関節運動とそれに伴う筋の作用・短縮の関係を理解しているかが重要です。
混同注意
腸腰筋も股関節屈筋であり、骨盤前傾に関与しますが、膝関節には作用しない単関節筋であるため、大腿直筋と混同されやすいです。二関節筋か単関節筋かの違いと、それぞれの筋が膝関節の動きに与える影響を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の二関節筋(例:ハムストリングス、下腿三頭筋)や多関節筋の機能と、それらの短縮がどのようなテストで、どのような陽性所見として現れるかを理解しておく必要があります。また、筋の起始・停止、作用を正確に把握することが不可欠です。
関連知識
エリテスト(Eli's test)、トーマステスト(Thomas test)、二関節筋の機能と短縮、筋のストレッチング、股関節周囲筋の機能解剖。