22歳の女性。重量物を持ち上げたことにより腰痛が出現し、翌日腰部筋筋膜炎と診断された。この患者に対する超音波治療で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
腰部筋筋膜炎は深部組織の損傷であるため、超音波の深達性が重要となります。1MHzの周波数は3MHzよりも深部に到達しやすいため、この疾患に適しています。また、急性期の炎症があるため、温熱効果が高い連続波ではなく、非温熱作用を目的としたパルス波を、低強度で用いるのが一般的です。導子は皮膚に密着させ、BNRが高い場合は動かして使用します。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性炎症期である腰部筋筋膜炎では、組織破壊を引き起こす可能性があるため、高すぎる強度は禁忌です。一般的に急性期では0.5W/cm²以下、またはパルス波が推奨されます。正しくは:急性期の炎症性疾患では、0.5W/cm²以下の強度、またはパルス波(間欠モード)で治療するべきです。選びやすい理由:より強い強度の方が効果が高いと誤解しやすいですが、組織の状態に応じた適切な強度設定が重要です。混同注意:慢性期の筋疾患などに対する治療強度と混同しやすいです。
- 2. 正解。腰部筋筋膜炎は深部組織の損傷であるため、深達性に優れる1MHzの超音波が適しています。3MHzは表在組織の治療に適しています。選びやすい理由:周波数選択の基本原則を理解しているか問う選択肢です。1MHzは深部、3MHzは表在と覚えていれば正答できます。混同注意:3MHz(表在性疾患に用いる)と混同しやすいです。
- 3. 腰部筋筋膜炎は急性期の炎症を伴う疾患であるため、連続波(照射時間率100%)を使用すると温熱効果が高くなりすぎ、炎症を悪化させる可能性があります。非温熱作用を目的としたパルス波(間欠照射)が推奨されます。正しくは:急性期の炎症性疾患では、温熱作用を抑え、非温熱作用(機械的作用)を主とするパルス波(例えば20%または50%)で照射するべきです。選びやすい理由:超音波治療といえば温熱効果を期待しがちですが、急性期の炎症では温熱が禁忌となることを忘れてしまうと選びやすいです。混同注意:慢性疾患や温熱効果を主目的とする治療(例:筋の柔軟性向上)での照射時間率と混同しやすいです。
- 4. 超音波治療では、導子と皮膚の間に空気が入ると超音波が透過せず効果が著しく低下するため、専用のジェルなどを用いて導子を皮膚に密着させることが原則です。離して照射することはありません。正しくは:導子と皮膚は超音波用ジェルなどを介して密着させ、空気が入らないようにする必要があります。選びやすい理由:何となく離すことで患部に均一に当たるように見えるという誤解から選ぶ可能性があります。混同注意:ホットパックやレーザー治療など、皮膚に直接触れない治療法と混同することがあります。
- 5. BNRが高い(例えば6:1以上)導子を固定して使用すると、超音波エネルギーの集中する場所(ホットスポット)で組織損傷を引き起こすリスクが高まります。BNRが高い導子を使用する場合は、組織損傷を避けるために導子を常に動かし続ける必要があります。正しくは:BNRが高い導子を使用する場合は、ホットスポットの形成を防ぐために導子を常に動かし続ける必要があります。固定して使用する際は、BNRの低い導子(例えば2:1〜3:1)を用いるのが望ましいです。選びやすい理由:BNRの概念を理解していないと、固定法の可否が判断できません。また、治療効果を高めるために高出力を使うという発想と結びつきやすいかもしれません。混同注意:超音波治療における導子の動かし方やBNRの意味、そしてホットスポットのリスクと混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、超音波治療における基本的な設定(周波数、強度、照射モード、導子の使用方法、BNRの意味)が、疾患の病態(急性期炎症、深部組織)に応じて適切に選択できるかを問うものです。特に周波数と急性期炎症時の対応が重要なポイントです。
混同注意
超音波の周波数と深達性の関係(1MHzは深部、3MHzは表在)、急性期の炎症に対する超音波治療の禁忌・注意点(温熱作用の回避、低強度、パルス波の使用)、BNRの意味とホットスポットのリスク。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、まず疾患の部位(表在か深部か)と病期(急性期か慢性期か)を確認し、それに応じて周波数、強度、照射モード、照射方法を判断できるかを問われます。
関連知識
超音波治療の物理的原理(周波数、強度、パルス比、BNR)、超音波の生理的効果(温熱作用、非温熱作用)、適応と禁忌、各疾患(急性炎症、慢性疼痛、骨折、瘢痕組織など)に対する治療パラメータの選択。