8歳の男児。転倒して橈骨遠位端骨折と診断され、6週間のギプス固定が行われた。固定除去後、関節可動域制限と筋力低下を認めた。物理療法で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
橈骨遠位端骨折後のギプス固定解除直後は、関節拘縮、筋力低下、浮腫、疼痛がみられることが多いです。渦流浴は温熱効果(循環改善、疼痛緩和)と水流によるマッサージ効果(浮腫軽減)、そして水中での運動による浮力作用(可動域訓練の容易化)を兼ね備えており、この時期の複合的な問題に対して非常に効果的です。特に小児の場合、水を利用した治療は恐怖心や抵抗感を和らげる効果も期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 機能的電気刺激は筋力強化や麻痺の改善に用いられますが、この症例では関節拘縮の改善や痛みの緩和、循環改善が優先されるため、第一選択ではありません。正しくは:急性期の疼痛や炎症が治まり、筋力増強が本格的な課題になった段階で検討されます。選びやすい理由:筋力低下があるため、筋力強化に繋がる電気刺激という選択肢が魅力的に見えるかもしれません。混同注意:筋力低下に対する一般的なアプローチと混同しやすいですが、この症例では初期のリハビリテーション段階でより包括的なアプローチが求められます。
- 2. 極超短波は深部加温作用がありますが、金属プレートやギプス固定中の使用は禁忌であり、骨折後のリハビリ初期において、患部の状態を慎重に判断する必要があるため、安易な使用は避けるべきです。また、骨折部周辺の炎症や浮腫が存在する可能性があり、その場合は温熱療法自体が不適切となることがあります。正しくは:温熱療法としては、よりマイルドな加温効果があり、患部の状態に合わせて調整しやすい方法が適切です。選びやすい理由:深部加温による組織軟化や血行促進効果を期待して選びたくなるかもしれませんが、骨折後の繊細な時期にはリスクが高いです。混同注意:一般的な慢性期の疼痛や拘縮に対する温熱療法と混同しやすいですが、骨折後の急性期~亜急性期には慎重な適応判断が必要です。
- 3. 超音波は組織の治癒促進や疼痛緩和、軽度の深部加温効果がありますが、骨折治癒促進には有効な場合もあるものの、関節可動域制限と筋力低下が主訴であるこのケースで第一選択となることは稀です。特に、成長期の骨端線への影響も考慮すべきであり、安易な使用は避けるべきです。正しくは:特定の治癒促進目的で用いられることはありますが、この症例の主要な問題解決には直接結びつきにくいです。選びやすい理由:組織修復や疼痛緩和に効果があるため、回復期に役立つと誤解しやすいです。混同注意:他の温熱療法や電気刺激療法と混同しやすいですが、超音波治療の適応はより限定的です。
- 4. 紫外線は主に皮膚疾患の治療や殺菌作用に用いられるものであり、関節可動域制限や筋力低下、骨折後のリハビリテーションには全く関連性がありません。正しくは:物理療法の中でも、全く異なる適応を持つため、この状況では検討対象外です。選びやすい理由:物理療法の一種であるため、他の選択肢と同様に検討してしまうかもしれませんが、その治療目的は大きく異なります。混同注意:物理療法の種類を混同していると選択肢として考えてしまうかもしれませんが、適応疾患が全く違います。
- 5. 正解。渦流浴は温熱効果と機械的刺激(水流)を組み合わせた治療法で、患部を温めることで血液循環を促進し、疼痛を軽減します。また、水による浮力は可動域訓練を容易にし、水流によるマッサージ効果は浮腫の軽減にも役立ちます。ギプス除去後の関節拘縮や筋力低下、浮腫の残存に対して非常に有効な初期介入となりえます。正しくは:関節可動域の改善、浮腫の軽減、循環促進、疼痛緩和、筋力トレーニングへの移行準備に最適です。選びやすい理由:水の刺激という点で、他の物理療法に比べて効果が弱そうに見えるかもしれませんが、この時期の患者には非常に適しています。混同注意:単なる温浴と混同しやすいですが、水流による機械的刺激が加わることで、単なる温浴以上の治療効果が期待できます。
国試ポイント
骨折後のギプス固定解除後のリハビリテーション初期における物理療法の選択が問われています。特に、温熱効果、水圧・水流によるマッサージ効果、浮力による運動補助効果を併せ持つ渦流浴の適応を理解しているかが重要です。複数の問題を同時に解決できる治療法を選ぶ視点が必要です。
混同注意
他の温熱療法(極超短波、超音波)も温熱効果があるため誤って選ばれやすいですが、それぞれ適応や禁忌が異なるため注意が必要です。特に極超短波は骨折後の深部組織に対する強い加温で、禁忌となるケースも多いため不適切です。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出題された場合、ギプス固定除去後の時期と症状(可動域制限、筋力低下、浮腫、疼痛など)を正確に把握し、それらの複合的な問題に対して、最も包括的かつ安全にアプローチできる物理療法を選択できるかを確認します。
関連知識
骨折後のリハビリテーションの段階に応じた適切な物理療法、温熱療法の種類とそれぞれの特徴・適応・禁忌、水治療法の効果(温熱、機械的、浮力)、小児患者へのアプローチ。