55歳の男性。1か月前に急性心筋梗塞で入院し、経皮的冠動脈形成術を受けた。退院後に在宅において実施する全身持久力運動で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
心筋梗塞後の在宅における全身持久力運動では、患者が安全かつ効果的に運動を行えるよう、自覚症状を指標としたボルグスケール(RPE)を用いることが推奨されます。RPE 11~13は「やや楽である」から「ややきつい」に相当し、心臓に過度な負担をかけずに心肺機能を改善させるのに適切な強度とされています。これは、心拍数など客観的な指標と並んで、患者自身が運動強度をコントロールする上で非常に重要な指標です。
選択肢ごとの解説
- 1. 心疾患患者の運動療法では、効果を最大化するために週3~5回の運動頻度が推奨されます。週2回では効果が限定的です。正しくは:運動頻度は週3~5回を目標とする。選びやすい理由:運動過多によるリスクを避けるために、少ない回数を推奨したくなるかもしれませんが、適切な心臓リハビリテーションの効果を得るには一定の頻度が必要です。混同注意:運動初期の段階と、安定期での運動頻度の基準。
- 2. 心疾患患者の有酸素運動では、1回20~60分の運動が推奨されます。10分以下では運動効果が不十分です。ただし、初期は短い時間から開始し、徐々に延長することが重要です。正しくは:1回の運動時間は20~60分を目指し、初期は短時間から開始し徐々に延長する。選びやすい理由:運動の負担を減らすため、短時間から始めるべきと考えるかもしれませんが、心肺機能の改善にはある程度の運動時間が必要です。混同注意:運動初期の導入段階と、継続的な運動療法段階の運動時間。
- 3. 正解。心筋梗塞後の在宅運動療法において、ボルグスケール(RPE)11~13(「やや楽である」~「ややきつい」)は、安全かつ効果的な運動強度として一般的に推奨される範囲です。これは、自覚症状を指標とするため、患者自身で運動強度を調整しやすい利点があります。選びやすい理由:RPEは患者の主観に頼るため、客観的な指標(心拍数やMETs)を好む人もいるかもしれませんが、在宅運動では非常に有用な指標です。混同注意:ボルグスケール(RPE)と修正ボルグスケール(CR10)の数値の違い。
- 4. 運動療法を行う際の禁忌基準の一つとして、収縮期血圧200mmHg以上、または拡張期血圧110mmHg以上が挙げられます。拡張期血圧120mmHgは運動中止・禁忌の基準値であり、運動は行うべきではありません。正しくは:拡張期血圧が110mmHg以上の場合は運動を中止または見合わせるべきである。選びやすい理由:高血圧でも運動が推奨される場合があるため、その延長で判断を誤りやすいです。しかし、非常に高い血圧はリスクが高まります。混同注意:軽度~中等度の高血圧と、運動禁忌となる重度の高血圧の判断基準。
- 5. 心疾患患者の運動療法において、全身持久力運動の推奨強度は最高酸素摂取量(VO2max)の40~80%とされています。10~20%では強度が低すぎて運動効果がほとんど期待できません。正しくは:運動強度は最高酸素摂取量の40~80%で実施する(個人差や病態により調整)。選びやすい理由:心臓への負担を避けるために、運動強度を非常に低く設定すべきだと考えるかもしれませんが、それでは運動療法の目的が達成できません。混同注意:高齢者や虚弱者の運動強度と、心疾患患者の適切な運動強度。
国試ポイント
心疾患患者の運動療法における運動処方(FITT原則:頻度、強度、時間、種類)の具体的な内容、特に在宅での指導に関する知識が問われています。ボルグスケールのような自覚的運動強度も重要な指標であることを理解しているかどうかがポイントです。
混同注意
運動の『頻度』と『時間』、および『強度』の具体的な数値基準が、病態やフェーズ(急性期、回復期、維持期)によって異なる点。特に運動禁忌となる基準値(血圧など)を正確に覚えておく必要があります。ボルグスケールと修正ボルグスケールの混同も起こりやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、運動療法のフェーズ(入院中、退院直後、維持期など)によって推奨される運動処方がどのように変化するか、また、心拍数やMETsなどの他の運動強度設定方法についても適切に説明できるかを問われる可能性があります。特に、心疾患の種類に応じた運動処方の微調整や、運動中の異常時の対応についても確認が必要です。
関連知識
心臓リハビリテーションのFITT原則(頻度 Frequency、強度 Intensity、時間 Time、種類 Type)。運動中止基準。運動の効果と合併症リスク。メッツ(METs)やカルボーネン法など他の運動強度設定方法。