膝関節屈曲運動の制限に関与するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
膝関節の屈曲運動が最大に近づくと、大腿骨の後面と下腿の後面にある軟部組織(筋肉など)が物理的に接触し、それ以上屈曲できないように制限します。これは『軟部組織の衝突』による運動制限の一例です。
選択肢ごとの解説
- 1. 斜膝窩靱帯は膝関節の過伸展を制限する主要な構造であり、屈曲運動の直接的な制限要因ではありません。正しくは:斜膝窩靱帯は膝関節の伸展を制限します。選びやすい理由:膝窩部の靭帯であるため、膝の運動制限に関与すると思われがちです。混同注意:他の膝関節の靭帯と機能が混同されやすいです(例:前十字靭帯、後十字靭帯、側副靭帯)。
- 2. 前十字靱帯は脛骨の前方移動と下腿の過伸展、および内旋を制限します。屈曲運動の制限には直接関与しません。正しくは:前十字靱帯は脛骨前方移動や過伸展を制限します。選びやすい理由:膝の重要な靭帯であるため、あらゆる運動制限に関与するように感じられることがあります。混同注意:膝関節の様々な運動制限要因、特に後方組織との混同。
- 3. 正解。膝関節が最大屈曲位に近づくと、大腿骨後面(特に大腿二頭筋や半腱様筋の付着部付近)と下腿後面(腓腹筋などが存在する部分)が物理的に接触し、それ以上曲がらないように制限します。これは軟部組織の衝突による制限です。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:物理的な接触による制限は、靭帯や筋肉の緊張による制限に比べて見落とされがちです。混同注意:筋の張力や靭帯の緊張による制限と混同されることがあります。
- 4. 大腿骨の転がり運動(ロール)は、膝関節屈曲時の初期から中期にかけて起こる関節運動の一部であり、関節運動を制限する要因ではありません。むしろ、円滑な関節運動を可能にするメカニズムです。正しくは:大腿骨の転がり運動は、膝関節屈曲時の運動様式であり、制限要因ではありません。選びやすい理由:膝関節の複雑な運動学に関連するため、誤解を招きやすいです。混同注意:関節運動のメカニズム(転がり・滑り)と、運動制限の要因との混同。
- 5. 内側側副靱帯は、膝関節の外反動揺性と下腿の外旋を制限します。屈曲運動に対しては、軽度屈曲位でやや緊張しますが、主要な屈曲制限因子ではありません。正しくは:内側側副靱帯は膝関節の外反動揺性や下腿の外旋を制限します。選びやすい理由:膝の安定性に関わる重要な靭帯であるため、運動制限全般に関与すると思われがちです。混同注意:他の膝関節の靭帯や、屈曲・伸展以外の運動制限要因との混同。
国試ポイント
この問題は、膝関節の運動制限因子に関する基本的な解剖学的知識と運動学の理解を問うものです。特に、靭帯の機能、関節包の緊張、筋の伸張性、そして骨-骨または軟部組織-軟部組織の衝突といった多岐にわたる制限因子を正確に区別できるかが重要です。
混同注意
膝関節の各靭帯の機能と、関節の最終域で働く様々な制限因子(筋の伸張性、関節包の緊張、骨性・軟部組織性衝突)が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、まず『問われている運動(今回は屈曲)』と『制限の方向』を確認します。次に、それぞれの選択肢がどのような運動を制限する因子であるか、または制限因子ではないかを見極めます。特に、靭帯や筋の機能と、軟部組織・骨性の衝突による制限を明確に区別する視点が求められます。
関連知識
膝関節の屈曲制限因子には、軟部組織の接触の他に、膝関節後方の筋肉(大腿四頭筋など)の伸張性、関節包の後方部分の緊張、後十字靱帯の緊張などが挙げられます。伸展制限因子は、前十字靱帯、関節包前方部分の緊張、大腿後面筋群の受動的張力、骨性衝突などです。