運動単位で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
選択肢3が示すように、筋が発揮する力を増加させるために、活動する運動単位の数を増やすメカニズムを『動員』と呼びます。弱い収縮では少数の運動単位が活動し、強い収縮では多くの運動単位が追加で動員されます。選択肢5は運動単位の基本的な特性を示しています。一つの運動ニューロンに支配される筋線維は機能的に一体であり、その運動ニューロンが興奮すれば、支配下の全ての筋線維が同時に収縮するという『全か無の法則』が適用されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動単位は、脊髄のα運動ニューロンとそのニューロンが支配する全ての骨格筋線維から構成される機能的単位です。感覚情報を伝える求心性線維(感覚ニューロン)は、運動単位の構成要素には含まれません。正しくは:運動単位には、遠心性のα運動ニューロンと、それが支配する筋線維のみが含まれています。選びやすい理由:筋の機能には感覚入力が不可欠であるため、運動単位全体を神経・筋の複合体と捉え、感覚成分も含まれると誤解しやすいです。混同注意:運動神経と感覚神経が脊髄神経として束になって走行することや、伸張反射のように感覚神経が運動ニューロンに直接シナプスを形成することから、運動単位に感覚成分が含まれると混同する場合があります。
- 2. 筋収縮の際に運動単位が動員される順序はHennemanのサイズ順動員の法則に従います。これにより、まず小さく興奮しやすい運動単位が活動を開始し、より大きな力が必要になるにつれて、より大きな運動単位が順次動員されます。正しくは:筋がゆっくりと収縮を始める際には、まず小さな運動単位から活動が開始されます。選びやすい理由:「大きな力を出すには大きな運動単位が必要」という直感から、力の発生と運動単位の初期動員順序を混同しやすいです。混同注意:運動単位のサイズが発揮できる力と関連することと、動員される順序(サイズ順動員)を逆に覚えてしまっている可能性があります。
- 3. 正解。筋が発揮する力を調整する主要なメカニズムの一つが運動単位の動員(recruitment)です。弱い力では少数の運動単位が活動し、強い力を発揮するにはより多くの運動単位が追加で活動します。
- 4. 精密な動きが求められる筋(例えば、眼球運動筋や手内在筋)では、きめ細やかな力加減や動きの調整のために、一つの運動ニューロンが支配する筋線維の数が少ない(すなわち、小さな運動単位が多い)特徴があります。これにより、最小限の力変化で繊細な運動が可能になります。正しくは:精密な動きが求められる筋では、一つの運動ニューロンが支配する筋線維の数が少なくなっています。選びやすい理由:「多くの筋線維が同時に動けば大きな力を出せる」という考えから、精密な動きにはより多くの制御が必要と誤解し、支配筋線維数が多いと勘違いしやすいです。混同注意:運動単位のサイズ(支配筋線維数)と筋の機能(微細運動か粗大運動か)の関係を逆に理解している可能性があります。
- 5. 正解。運動単位は神経と筋の機能的最小単位であり、運動ニューロンが活動電位を発生させると、その支配下にある全ての筋線維に同時に興奮が伝わり、それぞれの筋線維は全か無の法則に従って最大強度で収縮します。
国試ポイント
運動単位の定義、構成要素、そしてその機能的特性(サイズ順動員、動員と発火頻度による力調整、精密運動と支配筋線維数の関係)を正確に理解しているかが問われています。特に、誤りやすい知識(求心性線維の有無、サイズ順動員、精密運動における支配筋線維数)が誤答選択肢として配置されています。
混同注意
運動単位の構成要素として求心性線維を含めてしまう間違いや、Hennemanのサイズ順動員を逆に解釈する間違いが多いです。また、精密な動きと粗大な動きにおける運動単位の特性(支配筋線維数)を混同しやすい点も注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に運動単位に関する問題が出た場合、運動単位の構成、サイズ順動員、発火頻度と動員の二つの力調整メカニズム、そして運動単位の型ごとの特性(疲労耐性、収縮速度など)を詳細に確認すると良いでしょう。特に、具体的な筋の例を挙げてその運動単位特性を問う問題も想定されます。
関連知識
Hennemanのサイズ順動員、筋収縮の全か無の法則、運動単位の型(S型、FR型、FF型)、発火頻度による力調整、神経筋接合部、筋紡錘とゴルジ腱器官(感覚器としての役割)。