自分自身が受け入れることができない衝動・観念を、他の人が持っているとする防衛機制はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
投影(projection)とは、自分自身が受け入れがたい衝動、感情、観念、特性などを、あたかも他人が持っているかのようにみなす防衛機制です。自己の欠点や嫌悪感を他者に転嫁することで、自尊心を守ろうとします。設問の記述は、この投影の定義に完全に一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 反動形成は、受け入れがたい衝動や感情を打ち消すために、正反対の行動や態度を取ることです。例えば、嫌いな相手に過度に親切にするなどです。正しくは:受け入れがたい衝動や感情を打ち消すために、正反対の行動や態度を取ること。選びやすい理由:自分の感情とは異なる行動をとる点で混同しやすいかもしれません。混同注意:投影とは異なり、感情の対象は自分自身に向けられ、行動として表出されます。
- 2. 合理化は、自分の行動や感情に対して、社会的に受け入れられやすいもっともらしい理由を後付けすることです。例えば、「酸っぱいブドウ」の話のように、手に入らないものを価値がないと見なすことです。正しくは:自分の行動や感情に対し、もっともらしい理由を後付けし正当化すること。選びやすい理由:自分にとって都合の悪い感情を処理する点では共通していますが、他者に責任を転嫁するわけではありません。混同注意:投影が他者に感情を移し替えるのに対し、合理化は自分の行動の理由を捻出します。
- 3. 否認は、現実の苦痛な事実や受け入れがたい状況を、まるで存在しないかのように無視したり、認めようとしないことです。例えば、末期がん患者が自分の病状を認めないなどです。正しくは:現実の苦痛な事実や受け入れがたい状況を、存在しないかのように無視すること。選びやすい理由:受け入れがたいものを避けるという点で共通しますが、他者に押し付けるわけではありません。混同注意:投影が自分の感情を他者に見出すのに対し、否認は現実そのものを否定します。
- 4. 正解。投影は、自分自身が持つ受け入れがたい衝動、感情、特性などを、あたかも他人が持っているかのように認識する防衛機制です。この問題文に最も合致する説明です。
- 5. 抑圧は、苦痛な記憶や受け入れがたい衝動などを、意識から無意識へと押しやり、思い出さないようにすることです。意識的にコントロールされるものではありません。正しくは:苦痛な記憶や受け入れがたい衝動などを、無意識的に意識から排除すること。選びやすい理由:自分の感情を処理しようとする点では共通していますが、他者に移すのではなく、意識から排除します。混同注意:抑制が意識的な行為であるのに対し、抑圧は無意識的な行為です。
国試ポイント
防衛機制の種類と具体例の組み合わせを正確に理解しているかが問われる問題です。各防衛機制がどのような心の働きを示すのかを、具体的な状況と結びつけて記憶しておく必要があります。
混同注意
投影と反動形成、合理化、否認、抑圧などの他の防衛機制とは、いずれも受け入れがたい感情や衝動を扱う点で共通しますが、その処理の仕方(他者への転嫁、逆の行動、理由付け、現実無視、無意識化)が異なります。特に反動形成は自分の感情とは逆の行動をとるため、混同しやすいですが、投影は「他者が持っている」と認識する点が決定的な違いです。
次に同じ論点が出たら
この論点が次に問われる際は、別の防衛機制の定義を問う問題、あるいは具体的な患者の行動例から適切な防衛機制を選択させる問題が考えられます。複数の防衛機制を組み合わせて選択させる応用問題の可能性もあります。
関連知識
防衛機制はフロイトの精神分析学において提唱された概念で、自我が葛藤や不安から自己を守るために無意識的に用いる心理的な戦略です。未熟な防衛機制(例:否認、投影)と成熟した防衛機制(例:昇華、ユーモア)があり、その使い分けが適応の度合いを示します。精神科の知識だけでなく、リハビリテーションにおける患者の心理理解にも重要な視点です。