下肢の異常と金属支柱付き短下肢装具の足継手の設定との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
立脚時に膝折れが生じる場合、足関節を前方制動(底屈制限)に設定することで、下腿の過剰な前方傾斜を防ぎ、結果として膝関節の伸展を助け、安定性を高めることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 尖足(足関節が底屈位で固定されている状態)の場合、足関節の背屈を許可し、底屈を制限するために足継手は『後方制動(背屈補助、底屈制限)』に設定することが一般的です。前方制動では底屈を補助・許可し、背屈を制限することになるため、尖足の改善には繋がりません。正しくは:尖足がある場合 後方制動選びやすい理由:尖足という異常に対して何らかの『制動』が必要という点で混同しやすいですが、その方向性を正確に理解しているかが問われます。混同注意:『前方制動』と『後方制動』の機能と、それぞれがどのような足部変形に対応するのかを混同しやすいです。
- 2. 反張膝(膝関節が過伸展する状態)がある場合、その過伸展を抑制するために足関節は『前方制動(底屈制限)』に設定することが適切です。これにより、立脚後期での膝関節の過伸展を防ぎます。遊動(フリー)設定では反張膝の制動効果は得られません。正しくは:反張膝がある場合 前方制動(底屈制限)選びやすい理由:遊動は一見すると自然な動きを許容する良い選択肢に見えますが、反張膝のような特定の異常に対しては制御が必要です。混同注意:『遊動』と『制動』の使い分け、特に反張膝における足関節の底屈制限の役割を混同しやすいです。
- 3. 正解。立脚時に膝折れ(膝関節が屈曲位に崩れる)が起こる場合、足関節を『前方制動(底屈制限)』に設定することで、立脚中期から後期にかけての下腿の適切な傾斜(前方への移動)を促し、膝関節の屈曲を防ぎ、安定性を高めることができます。前方制動により足関節の背屈を制限し、膝関節の伸展モーメントを助長させます。選びやすい理由:この組み合わせは、足関節と膝関節の連動性を理解しているかが問われるため、安易に選べないかもしれませんが、機能解剖学的に正確な選択肢です。混同注意:膝関節の異常に対して、足関節の装具がどのように影響するかという点で、他の制動方向と混同しやすいです。
- 4. 下腿三頭筋の痙縮は、足関節を尖足位に強く引き起こします。この場合、尖足位を是正し、足関節の背屈を促すために『後方制動(底屈制限・背屈補助)』に設定することが必要です。遊動では痙縮による尖足を抑制できません。正しくは:下腿三頭筋の痙縮がある場合 後方制動選びやすい理由:痙縮による過剰な筋活動があるため、遊動にすることで動きを許容できると誤解しやすいですが、目的は痙縮による変形の制御です。混同注意:痙縮に対する装具の役割、特に『遊動』と『制動』の使い分け、および痙縮が引き起こす足関節の位置(尖足)と、それを矯正するための制動方向を混同しやすいです。
- 5. 前脛骨筋の弛緩性麻痺がある場合、下垂足(足関節が底屈位になる)を呈しやすくなります。この場合、歩行中の足部のクリアランスを確保し、つまずきを防ぐために足関節の背屈を補助する『後方制動(背屈補助)』または『固定』に設定することが適切です。遊動では下垂足を改善できません。正しくは:前脛骨筋の弛緩性麻痺がある場合 後方制動(背屈補助)選びやすい理由:麻痺があるからこそ、残存機能を活かすために遊動が良いと誤解しやすいですが、麻痺による機能不全を補うのが装具の役割です。混同注意:弛緩性麻痺による足部変形(下垂足)と、それを補助する装具の機能(背屈補助)を混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、下肢の異常とそれに対応する短下肢装具の足関節継手設定(特に制動方向)の基本的な知識を問うものです。各異常に対して、装具がどのような力学的な効果をもたらし、症状を改善または代償するかを理解しているかが重要となります。
混同注意
足関節の『前方制動』、『後方制動』、『遊動』のそれぞれの機能(どの運動方向を制限・補助するか)と、それらが『尖足』、『反張膝』、『膝折れ』、『下垂足』といった代表的な下肢の異常にどのように対応するかを混同しやすい。特に、膝関節の異常に対する足関節継手の影響は誤解しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、疾患ごとの詳細な病態生理と装具の適応・効果、またはプラスチック製短下肢装具における継手なしの機能(グラウンドリアクションAFOなど)について問われる可能性があります。また、具体的な歩行周期における各装具の効果についても注意が必要です。
関連知識
短下肢装具の各部品の機能、足関節の運動と膝関節・股関節の連動性(運動連鎖)、疾患ごとの歩行パターンと装具療法の目的、プラスチック製短下肢装具との比較。