GMFCSレベルⅡの痙直型脳性麻痺児に対する運動指導で最も適しているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
GMFCSレベルⅡは「屋内で制限なく歩行が可能で、屋外や地域社会では長距離移動やバランス保持のために補助具を使用することがあるが、階段昇降は手すりがあれば可能」と定義されます。このレベルの子どもに対しては、自力歩行能力の維持・向上を目的とした、歩行補助具なしでの歩行練習が最も適しています。他の選択肢は、不適切な姿勢の助長、レベルのミスマッチ、あるいはより重度の児に対する介入であるため、適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. GMFCSレベルⅡの子どもは、主に屋外や長距離移動で車椅子を使用することがありますが、自力歩行が可能であり、屋内や短距離では歩行が主となります。そのため、最も適した運動指導とは言えません。正しくは:屋外や長距離移動時の移動手段として、あるいは疲労軽減の手段として導入を検討する可能性がありますが、最も適した運動指導ではありません。選びやすい理由:移動手段の確保は重要ですが、GMFCSレベルⅡの特性を考えると、自力歩行能力の向上に焦点を当てるべきです。混同注意:GMFCSレベルⅢ以上の子どもの移動手段としての車椅子使用と混同しやすいかもしれません。
- 2. 割り座(W-sitting)は、股関節の内旋・内転拘縮や膝関節の外旋ストレスを引き起こしやすく、特に痙直型脳性麻痺児においては下肢の変形を助長する恐れがあるため、推奨されません。正しくは:正しい姿勢での座位保持や、下肢への負担が少ないあぐらや長座位での練習を行うべきです。選びやすい理由:子どもが安定しやすい姿勢に見えるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:安定した座位姿勢を確保することの重要性とは混同しませんが、特定の姿勢が引き起こす悪影響への理解が不足していると選びがちです。
- 3. 正解。GMFCSレベルⅡの定義は「屋内で移動手段に制限はなく、屋外や地域社会では疲労時や長距離移動時に身体装具や歩行補助具を要するが、階段昇降は手すりを使えば可能」です。そのため、通常、歩行補助具なしでの歩行は可能であり、その能力を最大限に引き出すための練習が最も適しています。選びやすい理由:GMFCSレベルⅡの特性を正確に理解していれば、この選択肢が最適であると判断できます。混同注意:GMFCSレベルⅠ(補助具なしで地域社会を歩行)やレベルⅢ(歩行補助具を必要とする)と混同すると、この選択肢の適切性を判断しにくくなります。
- 4. バニーホッピング(うさぎ跳びのように両足を同時に動かす四つ這い)は、股関節の変形を助長する可能性があり、推奨される移動方法ではありません。GMFCSレベルⅡの子どもはすでに歩行能力があるため、四つ這いの練習自体も主要な目標ではありません。正しくは:適切な四つ這い、またはすでに可能な歩行能力の向上を目指すべきです。選びやすい理由:子どもらしい移動様式に見えるため、選択肢として選びやすいかもしれません。混同注意:発達段階に応じた移動方法の適切な選択と、異常なパターンがもたらす影響への理解が混同しやすいです。
- 5. GMFCSレベルⅡの子どもは、通常、自力での立位が可能であり、スタンディングボードは主に自力での立位が困難なGMFCSレベルⅢ以上の児に、下肢への荷重や骨密度維持のために用いられることが多いです。そのため、最も適した運動指導とは言えません。正しくは:自力での立位能力があるため、動的なバランス練習や歩行能力向上に焦点を当てるべきです。選びやすい理由:立位保持の重要性を知っていると、つい選びたくなるかもしれませんが、GMFCSレベルⅡの子どもの自立度を考慮する必要があります。混同注意:立位保持の重要性と、そのための適切な手段や対象となるGMFCSレベルが混同しやすいです。
国試ポイント
GMFCS(Gross Motor Function Classification System)の各レベルの定義と、それぞれのレベルに合わせた適切な運動指導の選択能力が問われています。特に、各レベルの子どもの具体的な運動能力や生活状況を理解しているかが重要です。
混同注意
GMFCSの各レベルの具体的な運動能力が曖昧な場合、不適切な介入を選択してしまう可能性があります。特にレベルⅠ、Ⅱ、Ⅲの細かな違いを混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、GMFCSの各レベル(特にレベルI〜V)の明確な定義を理解し、それぞれの子どもがどのような運動能力を持ち、どのような環境で生活しているかを想像できるかが重要となります。また、その運動能力を最大限に引き出すための介入か、あるいは合併症を予防するための介入かを判断する視点も求められます。
関連知識
脳性麻痺の病態、GMFCSの各レベルの定義、各レベルにおける推奨される運動療法や補助具、避けるべき姿勢や運動、長期的な予後と介入の方向性。