重症筋無力症のクリーゼについて誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
重症筋無力症クリーゼでは、呼吸筋の筋力低下により肺活量や一回換気量が減少し、肺の膨らみや収縮が制限されます。これは肺実質の硬化や胸郭運動の制限によって生じる拘束性換気障害の病態であり、気道の閉塞による閉塞性換気障害とは異なります。したがって、「閉塞性換気障害をきたす」という記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 重症筋無力症クリーゼでは、呼吸筋だけでなく球麻痺症状(嚥下、構音)も悪化するため、嚥下障害を認めます。正しくは:嚥下機能に障害が生じることがある。選びやすい理由:クリーゼというと呼吸不全に注目しがちだが、嚥下障害も重篤な症状であることを忘れやすい。混同注意:呼吸器症状以外のクリーゼ症状との混同。
- 2. 重症筋無力症クリーゼでは、呼吸筋や咽喉頭筋の筋力低下により、有効な咳嗽ができなくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。正しくは:咳をする能力が低下することがある。選びやすい理由:呼吸筋力低下と咳嗽機能低下が直接結びつかないと迷う可能性がある。混同注意:単なる呼吸苦と、痰を出す能力の低下との混同。
- 3. 正解。重症筋無力症クリーゼは、呼吸筋の筋力低下により肺の膨らみや収縮が制限されるため、拘束性換気障害を呈します。気道抵抗が増加する閉塞性換気障害とは異なります。選びやすい理由:呼吸困難があるため、換気障害という言葉に引きずられやすい。混同注意:拘束性換気障害と閉塞性換気障害の区別。
- 4. 重症筋無力症の患者におけるクリーゼの発症率は、一般的に15~20%程度とされており、20%以上という表現は高すぎるか、少なくとも正確ではありません。正しくは:発症率は約15~20%である。選びやすい理由:具体的な数値は記憶が曖昧になりやすく、20%という数字自体は比較的高い印象を与えるため正しいと判断しがち。混同注意:具体的な発症率と、漠然とした発症頻度。
- 5. ステロイド薬の急激な減量は、重症筋無力症の病状を悪化させ、クリーゼを誘発する重要な要因の一つです。正しくは:ステロイド薬の急激な減量が原因となることがある。選びやすい理由:治療薬の減量が病状悪化につながるという知識が、正しい選択肢に見えてしまう。混同注意:薬物療法中の病態悪化の原因。
国試ポイント
重症筋無力症クリーゼの病態生理、特に呼吸障害の種類(拘束性 vs 閉塞性)に関する正確な知識が問われています。また、クリーゼの誘発因子やその他の症状についても理解しているかを確認しています。
混同注意
拘束性換気障害と閉塞性換気障害の病態と検査所見(FEV1.0%やVC)の区別。重症筋無力症クリーゼの主な症状(呼吸筋麻痺、嚥下障害、構音障害)と、誘発因子(感染、ストレス、薬剤、ステロイドの急減量など)。
次に同じ論点が出たら
今後、重症筋無力症クリーゼに関連する問題が出題された場合、誘発因子や初期症状(特に呼吸困難の有無)、緊急時の対応(気管挿管の基準など)、または鑑別疾患(コレリン性クリーゼなど)について問われる可能性があります。また、肺機能検査の具体的な数値(FEV1.0%やVC)を提示して病態を判断させる問題も考えられます。
関連知識
肺機能検査の基本、拘束性換気障害の代表疾患(間質性肺炎など)、閉塞性換気障害の代表疾患(COPD、気管支喘息など)。重症筋無力症の治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ステロイド、免疫抑制剤など)とその副作用。クリーゼの緊急対応。