膝関節前十字靱帯再建術後3日経過した時点で行う理学療法として適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
膝関節前十字靱帯(ACL)再建術後早期は、再建靱帯の強度や生着がまだ不十分な時期であり、再建靱帯に過度な負担をかける運動は避けるべきです。ハーフスクワットはクローズドキネティックチェーン運動であり、膝屈曲時に大腿四頭筋の収縮によって脛骨が前方に引き出される力が強く作用し、ACLに大きなストレスをかけます。そのため、術後早期に行うと再建靱帯の伸張や断裂のリスクを高めるため、不適切です。他の選択肢は、早期の炎症管理、可動域改善、軽度の筋力維持・促進に寄与し、再建靱帯への負担が少ないか、管理可能な範囲で行われるため、適切とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. ゴムバンドを使った抵抗運動は、早期から筋力強化に有効であり、膝関節への負担をコントロールしながら行えます。特に、オープンキネティックチェーンでの伸展運動は、ハムストリングスを共同収縮させることでACLへの負担を軽減できます。正しくは:この運動は早期リハビリテーションで適切です。選びやすい理由:負荷がかけられているため、損傷した靱帯に悪影響があるのではないかと感じるかもしれませんが、適切な負荷設定と方法で行えば安全で効果的です。混同注意:高負荷のトレーニングや不適切な方法でのトレーニングと混同しやすいです。
- 2. 膝装具を装着することで、術後の不安定な膝関節を保護し、過度なストレスから再建靱帯を守ることができます。その状態で自動介助運動を行うことは、関節可動域の改善と筋活動の促通に寄与し、早期のリハビリテーションに推奨されます。正しくは:この運動は早期リハビリテーションで適切です。選びやすい理由:装具をつけているからといって、どんな運動でも安全というわけではないと考えるかもしれませんが、可動域制限や方向性を考慮した自動介助運動は重要です。混同注意:装具を過信し、無制限な運動を行うことと混同しやすいです。
- 3. CPMは、術後の浮腫軽減、関節可動域の早期改善、癒着防止、軟骨栄養促進などに有効であり、ACL再建術後の早期から広く用いられています。再建靱帯に負担をかけにくい他動運動であるため、適切な範囲内で行えば安全です。正しくは:この訓練は早期リハビリテーションで適切です。選びやすい理由:機械を使った他動的な運動は、自然な動きと異なり、再建靱帯に予期せぬストレスを与えるのではないかと不安に感じるかもしれません。しかし、低負荷・ゆっくりとした速度で設定することで安全に実施できます。混同注意:無理な可動域設定や高負荷でのCPM使用と混同しやすいです。
- 4. 正解。ハーフスクワットは、クローズドキネティックチェーン(CKC)運動の一つであり、体重をかけた状態で行われます。この運動では膝関節の屈曲角度が深くなるにつれて、大腿四頭筋の収縮が増し、脛骨が前方に引き出されようとする力がACLに強く作用します。術後早期は再建靱帯の生着がまだ不十分で脆弱であるため、この時期にACLに強い負担がかかるハーフスクワットを行うことは、靱帯の損傷や伸張のリスクを高めるため不適切です。正しくは:術後早期には不適切であり、再建靱帯の保護期間が経過し、強度と安定性が確認されてから導入するべきです。選びやすい理由:CKC運動は一般的にOKC運動よりも関節安定性を高めると言われるため、早期から良いと誤解する可能性があります。しかし、スクワットにおける膝屈曲時のACLへの負荷は非常に大きいです。混同注意:CKC運動のメリット全般と、個別の運動(スクワットなど)における特定の関節への負荷を混同しやすいです。
- 5. アイシングは、術後の炎症反応や疼痛、浮腫を軽減するために早期から行われる基本的な処置です。これは再建靱帯への直接的な負担はなく、リハビリテーションを円滑に進める上で非常に重要です。正しくは:この処置は早期リハビリテーションで適切です。選びやすい理由:冷却は血流を悪くして治癒を妨げるのではないかと考える人もいるかもしれませんが、急性期の炎症管理としては有効です。混同注意:長期的な温熱療法と混同しやすいです。
国試ポイント
前十字靱帯再建術後の早期リハビリテーションにおいて、再建靱帯に過度なストレスを与える運動を避けることの重要性を理解しているか、特にクローズドキネティックチェーン(CKC)運動における膝関節への負荷、および各運動療法の早期導入の妥当性について問われています。
混同注意
CKC運動は一般的に関節安定性を高めるとされるため、ハーフスクワットも早期から良いと誤解しやすい点。しかし、ACLにおいては膝屈曲位での大腿四頭筋による前方引き出し力が問題となります。オープンキネティックチェーン(OKC)運動でも、ハムストリングスの同時収縮を伴わない膝伸展運動はACLに負担をかける可能性がありますが、適切な方法と負荷設定で行えば早期から導入可能です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、ACL再建術後の時期に応じたリハビリテーションの原則(特に再建靱帯への負荷管理)を問う問題が予想されます。具体的な運動の種類とその負荷、運動の導入時期、OKCとCKC運動のACLへの影響などを確認しましょう。また、他の靱帯損傷や半月板損傷など、他の膝関節疾患の術後リハビリテーションとの違いも把握しておくことが重要です。
関連知識
前十字靱帯の機能解剖、再建術後の段階別リハビリテーションプロトコル、OKC運動とCKC運動の特徴とACLへの影響、各運動療法の効果と禁忌。