Danielsらの徒手筋力テスト(原著第10版)において、段階2を座位で行う筋で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2・3番のうち2つ(いずれの組合せも正解)
解説
【公式の取扱い】2つを選ぶ形式で、公式の正答表では「1と2」・「1と3」・「2と3」のいずれの組合せも正解とされています。 Danielsらの徒手筋力テストにおける筋力レベル2の評価は、重力の影響を排除した状態での全可動域運動が可能かを確認します。棘下筋、三角筋後部、前鋸筋は、座位の姿勢で上肢や肩甲骨を水平面で動かすことで重力の影響を排除し、筋力レベル2の評価を行うことが可能です。一方、大腰筋や縫工筋のような股関節の筋肉は、座位では重力の影響を排除することが難しく、通常は側臥位で評価されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。棘下筋は肩関節の外旋筋であり、重力の影響を排除した水平面での運動で筋力レベル2を評価します。座位では体幹が安定し、上肢の水平外転運動が容易に行えるため、この評価に適しています。正しくは:正しい選択肢です。棘下筋の筋力レベル2の評価は座位で実施可能です。選びやすい理由:肩関節の他の外旋筋との混同。重力の影響排除の方向性を理解しているか。混同注意:棘下筋の作用や、重力の影響を排除する姿勢について理解が曖昧だと誤解が生じる可能性があります。
- 2. 正解。三角筋後部は肩関節の水平伸展や外転に作用します。筋力レベル2の評価では、重力の影響を排除した姿勢で行う必要があり、座位で腕を支持しながら水平方向に動かすことで評価が可能です。正しくは:正しい選択肢です。三角筋後部の筋力レベル2の評価は座位で実施可能です。選びやすい理由:三角筋の他の部位(前部、中部)との混同。各部位の作用を正確に理解しているか。混同注意:三角筋後部の作用や、重力の影響を排除する姿勢について理解が曖昧だと誤解が生じる可能性があります。
- 3. 正解。前鋸筋は肩甲骨の突出(前方移動)と上方回旋に関与します。筋力レベル2の評価では、仰臥位で腕を前方へ滑らせる(水平内転)ことで重力を排除した状態で評価しますが、座位でも肩甲骨の突出運動を補助的に行うことで評価は可能です。特にテーブル上で腕を滑らせるような形で行われます。正しくは:正しい選択肢です。前鋸筋の筋力レベル2の評価は座位で実施可能です。選びやすい理由:前鋸筋の主な評価姿勢である仰臥位を想起し、座位での評価可能性を見落とす。混同注意:前鋸筋の作用や、重力の影響を排除する姿勢について理解が曖昧だと誤解が生じる可能性があります。
- 4. 大腰筋は股関節の屈曲筋であり、筋力レベル2の評価は側臥位で股関節を屈曲させることで重力の影響を排除して行います。座位では、股関節屈筋群の作用は重力に抗する方向となり、筋力レベル2の評価には適していません。正しくは:大腰筋の筋力レベル2の評価は側臥位で行うのが適切です。選びやすい理由:股関節屈筋の評価姿勢と混同。特に座位での股関節屈曲運動は、大腰筋以外の他の股関節屈筋群の関与も大きいため、分離して評価しにくい。混同注意:大腰筋の作用と、重力の影響を排除した評価姿勢が関連付けられていない場合に、誤って選択する可能性があります。
- 5. 縫工筋は股関節の屈曲・外転・外旋と膝関節の屈曲に作用します。筋力レベル2の評価は、側臥位で下肢を支持しながら股関節を屈曲・外転・外旋させる動き(カエル足のような動き)で重力を排除して行います。座位では重力の影響が大きくなり、筋力レベル2の評価には適しません。正しくは:縫工筋の筋力レベル2の評価は側臥位で行うのが適切です。選びやすい理由:下肢の複雑な動きに関わるため、どの姿勢が重力排除に適しているか判断が難しい。混同注意:縫工筋の作用と、重力の影響を排除した評価姿勢が関連付けられていない場合に、誤って選択する可能性があります。
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)の各筋における筋力レベル2(重力の影響を排除した状態での全可動域運動)の評価方法、特に重力排除位の姿勢を正確に理解しているかが問われる。体幹や四肢の各筋肉の作用と、その作用を重力の影響なしに行うための体位の知識が重要となる。
混同注意
各筋肉の作用と、重力の影響を排除するための体位が混同されやすい。特に、複数の関節に作用する筋肉や、重力排除位が複数ある筋肉について、適切な体位を選択できるかが重要となる。
次に同じ論点が出たら
筋力レベル3(重力に抗して全可動域運動が可能)やレベル4・5(抵抗に抗して運動可能)の評価姿勢と区別できるか、また、重力排除位が一つでない場合に、状況に応じて適切な体位を選択できるか。
関連知識
MMTの定義(0~5段階)、各段階の評価基準、重力と抵抗に対する考え方。主要な関節運動における主動筋と、そのMMT評価手順(特に重力排除位)。