多発性筋炎の回復初期における理学療法で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
多発性筋炎は、間質性肺炎を合併しやすい膠原病であり、呼吸器系の状態を常に把握し、理学療法プログラムに反映させる必要があります。回復初期の理学療法では、活動性や合併症に十分注意しながら、適切な負荷で漸進的に進めることが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動負荷量の設定において、血小板数は直接的な指標ではありません。筋炎患者では筋酵素レベル(CK値など)や筋力、疲労度などが重要視されます。正しくは:運動負荷量の決定には、筋酵素レベルや筋力、疲労度などを指標とする。選びやすい理由:血液検査データの一部であるため、何らかの疾患で指標となる可能性を想起させやすい。混同注意:他の疾患(例:血液疾患や化学療法後など)における運動制限の指標と混同しやすい。
- 2. 多発性筋炎では、四肢の近位筋(肩、股関節周囲筋)の筋力低下が顕著に現れることが多いため、トレーニングも近位筋を重点的に行う必要があります。正しくは:筋力トレーニングは、主に四肢の近位筋に焦点を当てる。選びやすい理由:遠位筋の障害も起こりうるため、間違いとは言い切れないように見える。また、一般的な理学療法では遠位筋の細やかな運動も重視されるため。混同注意:末梢神経障害や糖尿病性神経障害など、遠位筋障害が主体の疾患と混同しやすい。
- 3. 正解。多発性筋炎は、自己免疫疾患であり、間質性肺炎を合併することが少なくありません。理学療法を行う上では、呼吸器系の合併症に十分注意し、状態を観察しながらプログラムを進めることが極めて重要です。選びやすい理由:正しい知識がなければ、間質性肺炎との関連性を疑わない可能性がある。
- 4. 多発性筋炎において手指の冷感をきたす場合は、レイノー現象の合併が考えられます。レイノー現象がある場合、温熱療法によって皮膚の血流が改善せず、かえって症状が悪化する可能性や、熱傷のリスクが高まる場合があります。医師と相談の上、慎重な判断が必要です。正しくは:手指の冷感がある場合は、原因(レイノー現象など)を評価し、適切な対処法(全身の保温など)を検討する。選びやすい理由:冷感に対して温めることは一般的な対処法であるため、正しい選択肢に見えやすい。混同注意:一般的な冷え性や関節炎などに対する温熱療法と混同しやすい。自己免疫疾患における血管症状の特殊性を考慮していない。
- 5. 多発性筋炎では、筋痛や筋疲労が症状として現れるため、無理なトレーニングは筋炎の悪化を招く可能性があります。筋痛がある場合は、抵抗を減らすだけでなく、運動自体を中止・軽減し、十分な休息を取ることが重要です。正しくは:筋痛がある場合は、運動を中止または軽減し、十分な休息を確保する。選びやすい理由:抵抗を減らすという配慮があるため、安全に運動を継続できると誤解しやすい。また、リハビリテーション継続の重要性から、多少の痛みなら継続すべきと考える学生もいる。混同注意:一般的な運動後の軽度な筋肉痛や、変形性関節症など運動継続が推奨される他の疾患での運動療法と混同しやすい。
国試ポイント
多発性筋炎の基本的な病態と合併症、および回復初期の理学療法の原則を理解しているかを問う問題です。特に、合併症への注意と、筋炎の活動性に応じた運動負荷の判断が重要視されます。
混同注意
多発性筋炎と類似の炎症性筋疾患(例:皮膚筋炎、封入体筋炎)や、筋ジストロフィーなどの神経筋疾患との鑑別、およびそれぞれの疾患に特有の理学療法介入のポイント。
次に同じ論点が出たら
今後、多発性筋炎の問題が出題された場合、筋力低下の部位(近位筋優位)、避けなければならないこと(過負荷によるoverwork weakness)、および主要な合併症(間質性肺炎、心筋炎など)に関する知識が問われる可能性が高い。
関連知識
多発性筋炎の病態生理、好発部位(近位筋)、合併症(間質性肺炎、心筋炎など)、血液検査データ(CK値、LDH値など)、運動負荷設定の原則(overwork weaknessの回避)。レイノー現象とその対処法。