脳卒中後の左片麻痺患者に対するADL練習として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
脳卒中片麻痺患者のADL指導の基本は、残存機能(非麻痺側)を最大限に活用し、安全性を確保することです。浴槽への出入りは不安定になりやすく転倒のリスクが高いため、非麻痺側の脚からまたぐことで、安全かつ安定した動作を確保できます。他の選択肢は、ADLの原則に反しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 麻痺側から着衣することで、非麻痺側で麻痺側の手足の位置を調整しやすくなり、また着衣後に麻痺側を動かす機会にもなります。脱衣時は非麻痺側から行います。正しくは:上着を着るときは、麻痺のある左腕から袖を通すように促す。選びやすい理由:麻痺のない側から先に動作を始めた方が簡単で安全に感じるため。混同注意:脱衣時の手順(非麻痺側から)と混同している。
- 2. 正解。浴槽への出入りはバランス能力が求められるため、麻痺のない健康な脚から先にまたぐことで、安定性を保ち、転倒のリスクを減らすことができます。非麻痺側で体重をしっかり支えながら動作を進めるのが原則です。選びやすい理由:特になし。麻痺側から入ると転倒リスクが高まることが理解できていれば誤らない選択肢です。混同注意:特別な混同点はありませんが、もし麻痺側から入る選択肢を選ぶとしたら、それは動作の原則を理解していないことになります。
- 3. 階段を上る際は、健康な脚で体を持ち上げることが重要です。そのため、健康な脚(右脚)から先に踏み出し、麻痺側(左脚)を後から引き上げます。正しくは:階段を上る際には、「良い方から上がる」の原則に従い、健康な右脚から最初に出すように指示する。選びやすい理由:階段昇降の原則「上りは良い方から、下りは悪い方から」をうろ覚えの場合。混同注意:階段昇降の「上りは良い方から、下りは悪い方から」という原則と混同している。特に下りの原則と混同しやすい。
- 4. 階段を下りる際は、麻痺のある脚から先に踏み出すことで、健康な脚が体を支え、安全に降ろすことができます。この際、健康な脚は体重を支持しつつ、麻痺側のコントロールを補助する役割を担います。正しくは:階段を下りる際には、「悪い方から下りる」の原則に従い、麻痺のある左脚から最初に出すように促す。選びやすい理由:階段昇降の原則「上りは良い方から、下りは悪い方から」をうろ覚えの場合。上りの原則と混同しやすい。混同注意:階段昇降の「上りは良い方から、下りは悪い方から」という原則と混同している。特に上りの原則と混同しやすい。
- 5. 移乗時は、麻痺のない健康な側を目的の場所(ベッド)に近づけることで、健康な側で安定した支持を得て、安全に移乗動作を行うことができます。麻痺側は支えが弱く、転倒のリスクが高まります。正しくは:車椅子からベッドへ移るときは、健康な右側をベッドに近づけるよう助言する。選びやすい理由:麻痺側を目的地に寄せた方が、麻痺側を動かす距離が短くなるため、簡単に感じるかもしれないという誤解。混同注意:麻痺側への意識付けと動作の効率性の混同。
国試ポイント
脳卒中片麻痺患者のADL指導に関する基本的な原則(着脱衣、移乗、階段昇降、入浴など)が問われています。特に、麻痺側と非麻痺側のどちらを先行させるべきか、安全性を確保するためにどう動くべきかを理解しているかが重要です。
混同注意
各ADL動作における「麻痺側先行」と「非麻痺側先行」の原則。特に着脱衣と階段昇降の「良い方から」「悪い方から」の原則を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後もADL指導の基本原則に関する問題は頻出すると考えられます。特に、患者の安全確保を最優先とした動作方法を問う問題が多いでしょう。具体的なADL場面(食事、整容、排泄なども含む)ごとの麻痺側・非麻痺側の使用順序を覚えるだけでなく、その理由(安全性、効率性など)を理解することが重要です。
関連知識
着衣:麻痺側から、脱衣:非麻痺側から。 階段昇降:上りは良い方から、下りは悪い方から。 移乗:非麻痺側を目的物に近づける。 入浴:浴槽へは非麻痺側から、浴槽から出る際も非麻痺側から。 トイレ動作:非麻痺側を便器に近づける。