末梢血管抵抗が上昇するショックはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
失血性ショックは、循環血液量の減少によって血圧が低下するため、心拍出量と血圧を維持しようとする身体の代償機構が働き、交感神経系の活性化などにより末梢血管が収縮し、末梢血管抵抗が上昇します。一方、神経原性ショック、敗血症性ショック、副腎機能低下性ショック、アナフィラキシーショックはいずれも、血管拡張を主な病態とし、結果的に末梢血管抵抗が低下するショックです。これらのショックでは、有効循環血液量が相対的に減少することで血圧が低下します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。失血性ショックでは、出血による循環血液量の減少が、心拍出量低下と血圧降下を引き起こします。身体はこの状態を代償するため、交感神経系を活性化させ、全身の細動脈を収縮させることで末梢血管抵抗を上昇させ、重要な臓器への血流を維持しようとします。
- 2. 神経原性ショックは、脊髄損傷などにより交感神経系の制御が失われることで、血管が拡張し、結果として末梢血管抵抗が著しく低下します。正しくは:神経原性ショックは、血管拡張により末梢血管抵抗が低下するショックです。選びやすい理由:ショックという重篤な病態から、身体が何らかの代償反応で抵抗を上げると短絡的に考えてしまうかもしれません。しかし、神経系の機能不全が原因であるため、血管収縮の制御ができません。混同注意:交感神経の活性化による血管収縮反応と、神経損傷による交感神経機能の喪失(血管拡張)を混同しやすいです。
- 3. 敗血症性ショックでは、感染に対する全身性の炎症反応により、血管拡張作用を持つ物質(炎症性サイトカインなど)が放出され、全身の血管が拡張することで末梢血管抵抗が低下します。正しくは:敗血症性ショックは、全身性血管拡張により末梢血管抵抗が低下するショックです。選びやすい理由:全身に炎症が及ぶため、血管が収縮して血流を滞らせるイメージを持つかもしれませんが、実際は血管透過性亢進と血管拡張が主病態です。混同注意:感染症に伴う発熱や炎症反応と、それによって引き起こされる血管反応(拡張)の具体的なメカニズムを混同しやすいです。
- 4. 副腎機能低下性ショック(アジソン病クリーゼなど)は、副腎皮質ホルモン(特にコルチゾール)の不足により血管のトーヌスが維持できず、カテコールアミンに対する血管の反応性も低下するため、血管拡張が生じ末梢血管抵抗が低下します。正しくは:副腎機能低下性ショックは、ホルモン不足による血管のトーヌス低下により末梢血管抵抗が低下するショックです。選びやすい理由:副腎機能の低下が重篤な循環障害を引き起こすことは知られていますが、それが直接的に血管収縮を促すわけではないため、メカニズムの理解が不十分だと誤答する可能性があります。混同注意:電解質異常や循環血液量減少(これも同時に起こり得る)と、血管そのもののトーヌス変化を混同しやすいです。
- 5. アナフィラキシーショックは、アレルゲンへの曝露により肥満細胞などからヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出され、これらが全身の血管を拡張させることで末梢血管抵抗が急激に低下します。正しくは:アナフィラキシーショックは、アレルギーメディエーターによる血管拡張で末梢血管抵抗が低下するショックです。選びやすい理由:非常に急激かつ重篤な症状であるため、身体が何らかの防御反応として血管を収縮させると誤解するかもしれませんが、主たる病態は血管拡張です。混同注意:気道浮腫や喉頭浮腫による呼吸困難と、全身性血管拡張による血圧低下の機序を混同しやすいです。
国試ポイント
ショックの分類とその病態生理、特に各ショックタイプにおける末梢血管抵抗の変化を正確に理解しているかを問う問題です。循環器系の代償機構や血管トーヌスの調節メカニズムに関する知識が試されます。
混同注意
ショックの病態を学習する際、原因(例:出血、感染、神経損傷)と最終的な結果(例:血圧低下)は理解できても、その間の循環動態の変化、特に『血管が収縮するのか、拡張するのか』という点で混同が生じやすいです。末梢血管抵抗が増加するショックは限られており(例:失血性、心原性)、多くのショックでは血管拡張を伴い抵抗が低下することを明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず提示されたショックの主要な原因が「循環血液量の絶対的減少(失血など)」、「心臓のポンプ機能不全」、「血管のトーヌス調節異常(血管拡張)」、「血流の物理的閉塞」のどれに該当するかを判断します。特に、血管のトーヌスが収縮・拡張どちらに傾くかによって末梢血管抵抗がどのように変化するかを、具体的なメカニズムとともに想起することが重要です。
関連知識
ショックの分類(循環血液量減少性、心原性、血液分布異常性、閉塞性)、循環器系の代償メカニズム(交感神経系、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)、血圧の決定因子(心拍出量×末梢血管抵抗)、各ショックタイプの代表的な原因と治療法、バイタルサインの解釈。