70歳の男性。COPD。健康のために家の周りを30分程度、1日2回歩くことを日課にしている。最近、緩やかな上り坂を上るときや平坦な道で早歩きをするときに息切れするようになった。この患者のmMRCスケールはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
mMRCスケールは、息切れの重症度を評価するための指標です。Grade 1の定義は「平坦な道を早足で歩く時、あるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れを感じる」とされており、設問の患者の症状記述に完全に合致します。患者は健康のために散歩を日課にしており、日常的な活動は可能ですが、特定の負荷で息切れが生じている状況はGrade 1の特徴を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. mMRC Grade 0は、激しい運動をした時にのみ息切れを感じる状態を指します。この患者は緩やかな坂や早歩きで息切れするため、これには該当しません。正しくは:Grade 0は激しい運動時のみの息切れ。選びやすい理由:症状がないと誤解する可能性がある。混同注意:安静時や日常活動での息切れとの区別。
- 2. 正解。mMRC Grade 1は、平坦な道を早足で歩く時や、緩やかな上り坂を歩く時に息切れを感じる状態に相当します。設問の患者はまさにこの状況を呈しているため、Grade 1が適切です。正しくは:この記述はmMRC Grade 1の定義に完全に合致する。選びやすい理由:症状が進行しているように感じるかもしれないが、mMRCの定義上はGrade 1。混同注意:「最近息切れするようになった」という記述から、より重度なGradeを想定しがちだが、具体的な活動内容が重要。
- 3. mMRC Grade 2は、息切れのため同年代の人よりも歩くのが遅くなるか、平坦な道を自分のペースで約100m歩くたびに立ち止まって息を整える必要がある状態を指します。設問の患者はそこまでの症状には至っていません。正しくは:Grade 2は同年代の人より歩くのが遅くなる、または100m歩くごとに休む必要がある場合。選びやすい理由:息切れの自覚があるため、この程度の重症度かと思うかもしれない。混同注意:活動量と息切れの程度が連動しているため、正確な定義の記憶が求められる。
- 4. mMRC Grade 3は、平坦な道を約数分間、または約50m歩くと息切れで立ち止まる状態を指します。患者の現在の症状はここまでの重症度ではありません。正しくは:Grade 3は平坦な道を数分、または約50m歩くと息切れで止まる場合。選びやすい理由:症状が進行している感覚から、重度なグレードを選びたくなる。混同注意:各グレードの具体的な活動レベルと距離の基準が混同しやすい。
- 5. mMRC Grade 4は、重度の息切れで、家から出られない、または着替えをする時にも息切れを感じる状態を指します。患者は日常的に30分程度の散歩が可能であり、このグレードには該当しません。正しくは:Grade 4は家から出られない、または着替え時にも息切れを感じる状態。選びやすい理由:最も重いグレードとして選択肢にあるため、症状が進行している印象から選ぶ可能性がある。混同注意:日常生活への影響度合いでグレードを判断するが、その具体的な活動が不明瞭だと誤解しやすい。
国試ポイント
COPD患者の息切れの程度を評価するmMRCスケールの各Gradeの具体的な定義を正確に理解しているかが問われています。特に、活動レベルと息切れの関連性を明確に区別することが重要です。
混同注意
mMRCスケールと他の呼吸困難スケール(Borgスケールなど)との混同、あるいは各Gradeの具体的な定義内容が曖昧な場合に誤った選択をしてしまう可能性があります。特にGrade 1とGrade 2の区別が紛らわしい場合があります。
次に同じ論点が出たら
mMRCスケールだけでなく、CAT (COPD Assessment Test) やSGRQ (St. George's Respiratory Questionnaire) など、他のQOL評価指標や呼吸機能検査(FEV1など)の結果も考慮し、総合的にCOPDの重症度や病態を評価できるか。
関連知識
mMRC (modified Medical Research Council) スケールは、COPD患者の息切れの主観的な程度を簡便に評価できるツールです。Grade 0からGrade 4までの5段階で評価され、数値が高いほど息切れの程度が重いことを示します。COPDの診断や治療効果判定、予後予測にも用いられます。各Gradeの具体的な活動内容を伴った定義を記憶しておくことが不可欠です。