65歳の男性。心不全のため入院した。現在はβ遮断薬を内服している。心電図モニターの波形(別冊No. 1)を別に示す。所見で正しいのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された心電図波形では、P波、QRS波、T波がすべて確認でき、P波とQRS波が1対1で関連しています。RR間隔はほぼ一定で、心拍数はおおよそ50拍/分程度です。これらの所見は洞結節を起源とする心拍で、心拍数が60拍/分未満であるため、洞性徐脈と診断されます。患者が心不全でβ遮断薬を服用している背景も、洞性徐脈を裏付ける情報となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 下図の心電図波形では、不規則なQRS波の早期出現や、幅広いQRS波は見られず、心室期外収縮の典型的な所見ではありません。P波とQRS波は規則的に連動しており、心室起源の異常な電気活動は認められません。正しくは:心室期外収縮の場合、通常のQRS波とは異なる幅広で変形したQRS波が早期に出現し、その前にP波を伴わないことが特徴です。選びやすい理由:不整脈の種類が多岐にわたるため、心電図の判読に不慣れな場合、漠然とした不整脈の一種として選んでしまう可能性があります。混同注意:上室期外収縮や房室接合部期外収縮など、他の期外収縮と混同する可能性があります。
- 2. 下図の心電図波形では、P波が明瞭に確認でき、RR間隔も規則的です。心房細動では、P波が消失し、基線に細かなf波(細動波)が見られ、RR間隔が不規則になるのが特徴です。正しくは:心房細動の場合、P波の消失と不規則なRR間隔が認められます。選びやすい理由:心不全患者に多い不整脈の一つであるため、知識として知っていると選択肢として魅力的に感じる可能性があります。混同注意:心房粗動や多源性心房頻拍など、他の上室性不整脈と混同する可能性があります。
- 3. 下図の心電図波形では、粗動波(のこぎり状のF波)は見られず、P波が明瞭に確認できます。心房粗動では、P波がのこぎり状のF波に置き換わり、頻拍性の活動が見られます。正しくは:心房粗動の場合、P波の代わりにのこぎり状のF波が認められます。選びやすい理由:心不全患者に比較的見られる不整脈であり、心房細動と並んで上位選択肢となる可能性があります。混同注意:心房細動や洞性頻拍など、他の上室性不整脈と混同する可能性があります。
- 4. 正解。下図の心電図波形では、P波がQRS波の前に規則的に出現し、P波、QRS波、T波がすべて揃っています。RR間隔はほぼ一定で、心拍数は通常の範囲(60~100拍/分)よりも遅く、約50拍/分程度です。これは洞結節からの規則的な刺激伝導による徐脈、すなわち洞性徐脈の所見と一致します。患者が心不全でβ遮断薬を内服していることも、徐脈をきたす要因として整合性が取れます。正しくは:この所見自体が正しいです。選びやすい理由:洞性徐脈の診断基準であるP波の存在、QRS波との関係、そして心拍数の評価が正確にできていれば、正答にたどり着きやすいです。混同注意:洞不全症候群や房室ブロックなど、他の徐脈性不整脈と混同する可能性がありますが、それぞれの特徴(P波の消失、PQ間隔の延長、P波とQRS波の乖離など)を鑑別できれば混同は避けられます。
- 5. 下図の心電図波形では、P波とQRS波が1対1で規則的に関連しており、P波とQRS波の間に規則的な関連性が認められます。Ⅲ度房室ブロックでは、P波とQRS波が完全に乖離し、それぞれが異なるレートで独立して出現するのが特徴です(P波は規則的だがQRS波とは無関係、QRS波は房室結節や心室からの補充収縮として出現)。正しくは:Ⅲ度房室ブロックの場合、P波とQRS波が完全に独立して出現し、P波とQRS波の間に一定の関係性がありません。選びやすい理由:徐脈性不整脈の一種であるため、徐脈であることのみに注目すると選択肢として考慮してしまう可能性があります。混同注意:Ⅰ度房室ブロック(PQ延長)やⅡ度房室ブロック(Wenckebach型、MobitzⅡ型)など、他の房室ブロックの病態と混同する可能性があります。
国試ポイント
心電図の基本的な判読能力、特に洞調律、徐脈性不整脈、頻脈性不整脈、および伝導障害の鑑別が問われています。個々の不整脈の典型的な心電図所見を正確に識別できるか、また患者の基礎疾患や服用薬剤が心電図所見に与える影響を理解しているかが重要です。
混同注意
洞不全症候群、他の徐脈性不整脈(房室ブロックなど)、あるいは心不全治療薬による副作用(特にβ遮断薬による徐脈)と混同しやすいですが、P波とQRS波の関係性や心拍数の正確な評価が鑑別の鍵となります。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出た場合には、まずP波の有無、P波とQRS波の関係性、RR間隔の規則性、そして心拍数を正確に評価する能力が問われます。特に画像問題では、限られた情報から正確な所見を抽出する力が重要です。
関連知識
洞性徐脈の定義(P波が先行し、QRS波とT波が続き、心拍数が60拍/分未満)、β遮断薬の薬理作用(心拍数減少作用)、心不全患者における不整脈の種類(心房細動、心室性期外収縮など)とその特徴。心電図の基本的な波形(P, QRS, T)とそれぞれの意義。