寒冷療法が痙縮を低下させる機序はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
寒冷療法は神経伝導速度を低下させる効果があります。特にγ神経線維の伝導速度が低下すると、筋紡錘の感度が抑制され、結果として伸張反射が減弱し、痙縮の緩和につながります。
選択肢ごとの解説
- 1. 寒冷は一般的に代謝活動を抑制します。代謝の増大は血流増加や組織活動の亢進を招き、痙縮の軽減とは逆の作用を示す可能性があります。正しくは:筋肉組織における代謝活動の抑制選びやすい理由:炎症抑制作用として知られるため、代謝への影響があることは予測されるが、亢進は誤り。混同注意:温熱療法による代謝亢進効果と混同しやすい。
- 2. 寒冷は血管を収縮させ、毛細血管の透過性を減少させることで浮腫の形成を抑制します。透過性の増大は炎症反応を強める方向に働き、痙縮の軽減には寄与しません。正しくは:毛細血管透過性の低下選びやすい理由:炎症反応への影響はあるが、透過性の増大は誤り。混同注意:炎症時の透過性亢進と混同しやすい。
- 3. 正解。寒冷は神経の伝導速度を低下させる作用があります。γ神経線維は筋紡錘の感度を調整しており、その伝導速度が低下すると筋紡錘の活動が抑制され、結果として伸張反射が減弱し、痙縮の低下につながります。選びやすい理由:神経伝導速度の低下は寒冷療法の主要な効果の一つであり、痙縮との関連性も高い。混同注意:α神経線維やδ神経線維との役割の違いを理解していないと迷う可能性がある。
- 4. δ神経線維は主に痛覚や温度覚の伝達に関与しており、痙縮の直接的な原因となる伸張反射には関与しません。その伝導速度が低下しても痙縮の軽減には直接つながりません。正しくは:δ神経線維は痛覚・温度覚に関与するため、痙縮の直接的な軽減作用とは異なる。選びやすい理由:寒冷が神経伝導速度を低下させるという知識がある場合、他の神経線維と混同しやすい。混同注意:γ神経線維やα神経線維の機能と混同しやすい。
- 5. 筋紡錘からの求心性放電の増大は、伸張反射を亢進させ、痙縮を悪化させる方向に働きます。寒冷療法は筋紡錘の感度を低下させることで、求心性放電を抑制し、痙縮を軽減します。正しくは:筋紡錘からの求心性放電の抑制選びやすい理由:筋紡錘が痙縮に関与する点は正しいが、その放電が増大するのではなく、抑制されることが痙縮軽減につながるため。混同注意:伸張反射の機序を理解しているが、寒冷の作用がどちらの方向か混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、寒冷療法の生理学的効果と、痙縮の病態生理、特にγ神経線維と筋紡錘の役割に関する基礎知識を問うものです。各選択肢の作用が痙縮に対してどのような影響を与えるかを正確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
寒冷療法の様々な効果(炎症抑制、鎮痛など)と、そのメカニズム(血管収縮、神経伝導速度低下、筋紡錘感度低下など)を混同しやすい。特に、どの神経線維が痙縮と直接関連するかの理解が重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、寒冷療法だけでなく温熱療法も含めた物理療法の生理学的効果全般、特に神経系や筋系への影響について深く理解しているかを問われる可能性があります。また、具体的な疾患における適用や禁忌についても確認が必要です。
関連知識
温熱療法と寒冷療法のそれぞれの効果と禁忌、神経生理学(α、γ、δ神経線維の機能)、筋紡錘とゴルジ腱器官の機能、伸張反射のメカニズム。